「短期間で結果を出すという強い意志を感じた」菅総理の初会見を、どう見た? 秋本真利議員、宇佐美典也氏、夏野剛氏
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 内閣発足後、初の記者会見に臨んだ菅義偉総理大臣。安倍政権の路線を継承しつつも、「縦割り、既得権益、前例主義を打破する「国民のために働く内閣」として、行政改革や規制改革、そして年来訴えてきた地方創生・地方分権、携帯電話料金の引き下げなどにも意欲を示した。

・【映像】「結果を出す意思を感じた」菅グループ中核メンバー

 今回の会見の内容を党内の議員や識者はどう見たのか。『ABEMA Prime』で話を聞いた。

■「具体例を挙げて約束、非常に重い」秋本真利衆院議員(“菅グループ”「ガネーシャの会」メンバー)

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 “国民”というワードが非常に多く出てきた。安倍前総理の記者会見も見てきたが、これほど多く登場したことはなかったのではないか。まずは国民目線を大事にするということを伝えたかったったのだろう。

 経済・外交面は安倍政権の継承を強く打ち出した一方、内政面では独自路線を貫くという強いメッセージも感じた。総裁選ではミクロの話が多く、マクロ的な話がない、つまり国家ビジョンがないんじゃないかと指摘されていたが、菅さんはやると決めたら必ず成し遂げるというタイプの人。逆に言えば、具体例を挙げて約束するというのは非常に重いことでもある。ダムや、携帯の話も、その現れ。国民が便利になり、国民が望むのなら、省庁の壁を壊してでも規制改革、行政改革をやるという意志の現れだろう。特にマイナンバーに対する思いは相当強いものがあると感じたし、この制度そのものを見直す中で、行政のデジタル化の推進をしていきたいということだと思う。

 また、前例を言い訳にすることをものすごく嫌う人だと、側で見ていて感じていた。私は国土交通政務官をした経験があるが、国交省の枠を超えるようなことをすると、必ず返り討ちに遭い、“討ち死に”してしまうのが大方のパターンだ。しかし官房長官は全省庁に横串を刺して権限を振るうことができる。菅総理はそれを7年8カ月もやっていたので、できること・できないこと、どこのネジを巻き、どこを緩めれば何がどうなるかという経験を蓄積していると思う。今までは安倍総理の政権運営を支えるナンバーツーとしての矜持があったと思うが、総理になったことで、そうした経験を一気に解き放つと思う。その意味で、河野さんを行革担当大臣にしたのは大きなポイントだろう。

 一方で、今回の会見で憲法についての発言が無かったし、記者からも質問がなかったことを見ると、安倍総理よりは改憲へのこだわりは薄いのではないか。ただ、憲法を改正するというのは自民党の党是。菅総理も総裁選の時には触れていた。

■「地銀再編のトーン弱まる?」宇佐美典也氏(元経産官僚)

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 何とか1年は持たせるぞ、という決意、あるいは1年の間に具体的な成果を見せるぞ、という決意が見えた。特に菅総理のこれまでの経験上もあって、総務省が所管する分野の話が多いと感じたし、いわば“総務省政権”としてスタートするのではないか。具体的には電波、デジタル庁。あるいはダムの見直しも重要なポイントだが、これまで発電に使われていたダムを防災にも使おうということになれば経産省と、やはり総務省だ。

 ただ、体制が弱いのではないかとも思う。官房長官秘書官を首相秘書官にずらしたが、ちょっと経験不足感が否めない。そこでまずは総務大臣、官房長官時代のネットワークを使って課題を整理し、国民に見えるような成果を出すということではないか。また、デジタル庁には消費者庁と同様、長官は役人か民間人ということになると思う。

 気になるのは、総裁選では地銀の再編の重要性を謳っていたが、会見では語られなかった。それはなぜなのだろうか。

■「オンライン診療、携帯電話料金に注目」夏野剛氏(ドワンゴ社長・慶應大学特別招聘教授)

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 初の会見でこれだけ具体的な話が出てくるのは珍しいと思う。短期間で結果を出すという意気込みの現れだと思う。

 規制改革で注目するのはオンライン診療の継続だ。僕は安倍総理のタスクフォースのメンバーだったが、医師会さん、厚生労働省さんの理解は“コロナが収まったら元に戻す”だった。それを菅総理は“これは継続しなきゃいけない”と言った。相当なことだ。この分野は自民党の議員たちも長い間ロビイングをしてきたが、反対意見が強かった。ところがコロナで状況が変わり、リモートワークをするのも普通になった。そこを菅さんは見ていて、できるという確信を持ったのだと思う。

 そして携帯電話料金の話だが、電波事業は公共の資産を使うもの。そういうインフラ企業が営業利益20%というのは、普通はない。経産省は電力会社やガス会社を監督してきたし、昔の郵政省、つまり今の総務省もNTTの固定電話については厳しく見てきたが、携帯電話業界はこの25年間くらい自由競争で発展してきたので、国が介入してこなかった。その結果、今や完全に寡占状態になり、昔ほどの競争は働いていない。料金は法律で上げ下げできるものではないので、かなり難しい問題になるはずだが、現段階で特定の業界に対してこれだけ明確なメッセージを発するというのは異例だ。これも相当のやる気があるのだろうし、何らかの手応えもあるのだろう。おそらく業界は震撼しているはずだ。

 そしてデジタル業界の人間としては、平井卓也デジタル改革担当大臣https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p2224が何を言うのかが気になる。あんなにインターネットに詳しく、テクノロジーにも関心があって、自分で色んなことをやっている政治家はいない。自民党の議員の中で一番ITに詳しいと思う。しかもマイナンバー制度も担当する。これは相当やる気だ。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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