5日に開幕を迎えたフットサル最高峰のリーグ戦「Fリーグ」の開幕戦で、リーグ最年長となる43歳の大ベテラン・金山友紀(ペスカドーラ町田)が、驚愕のゴールを奪いファンやサポーターを感動させた。
その賑わいは、今季初となるベンチ入りを果たし、4670日ぶりとなるJ1のピッチに迫ったレジェンド・三浦知良に対する反応に似ている。カズのベンチ入りを知ったファンたちが、SNS上で「尊敬しかない」、「生きる伝説」と賛辞を送ったように、フットサル界のレジェンドも多くの称賛を浴びた。
■見るものを感動させる「フットサル界の三浦知良」
シーズン開幕を告げるファーストゲームを戦うことになったペスカドーラ町田は、昨季のF2(2部相当)を制して昇格したY.S.C.C.横浜と対戦。世代交代を進めるチームの中で、金山はキャプテンマークを巻いてベンチ入りを果たした。
第1ピリオド(前半)で1度ピッチに立つと、試合終盤の第2ピリオド(後半)15分にも再び登場。3-2と町田が1点をリードしている場面ながらも、Y.S.C.C.横浜が徐々に試合の流れを掴み始めていた。この状況で金山の投入について、解説を務めた稲葉洸太郎さんは「今は(ベテランとしてプレーで)示して欲しいということでしょうね」と、その意図を説明する。
すると直後の16分にドラマが起こった。
右サイドで仕掛けたクレパウジ・ヴィニシウスが、巧みなドリブルで2人の間を抜けて縦に突破。ファーサイドでフリーとなっていた室田祐希にボールを通そうとするが、ブロックに入った相手の背中に当たってしまう。
その瞬間、誰もが「ダメだ」と思った。しかしベテラン・金山だけは違った。
今しかないという絶妙なタイミングで後方から飛び出し、難しい浮いたボールをふかさないように、丁寧にダイレクトで合わせてゴールに蹴り込んだ。まさにベテランの妙技が詰まった一撃だった。
このゴールにABEMAの視聴者もすぐさま反応。試合のコメント欄で「友紀 泣いてまうやろ」、「43歳の動きではないシュートだ!」と金山のゴールに感動を覚え、さらには「フットサル界の三浦知良」と最大級の賛辞を送った。
かつて日本代表の一員として、金山と共に戦った稲葉さんは「すごい…。すごい…。ちょっと鳥肌立っちゃいましたね」と冷静な口調ながらも興奮を抑えきれず。「先ほど示して欲しいという話をしましたが、最高の形で示してくれましたね。感動して泣きそうです」と戦友の活躍を称えた。
最終的に5-2とした町田が白星スタート。MVPは2得点を奪ったクレパウジ・ヴィニシウスに譲ったが、この日の金山のプレーは多くの人の感動を生んだ。
以前のように、長い時間ピッチに立ち、何度もアップダウンを繰り返すようなプレーはもうできないかもしれない。それでもこの一瞬に全てをかけて、諦めることなく全力で戦い続ける姿はまさに「フットサル界のカズ」そのものだ。
文・川嶋正隆(SAL編集部)
写真/高橋学