菅総理が「国民のために働く内閣」と銘打った新内閣。ところがその顔ぶれに対し、「いきなり半分は無理にせよ、女性大臣2人は少なすぎる」「能力があれば問題ないが、さすがに高齢者が多すぎる」といった批判の声が上がっている。また、組閣前日に新体制となった自民党執行部も全員が男性、しかも平均年齢71歳を超えている。
「安心して子どもを産み育てることができる社会、女性が健康に活躍することのできる社会、そうした環境をしっかりと整備をしていきたいと思う」として、安倍政権の少子高齢化対策と女性の活躍の推進も継承する方針の菅総理だが、やはり人事は難しかったのだろうか。
政治専門の広告代理店「POTETO media」の古井康介社長は「やるせない気持ちがヤバい。自民党のおじいさんが5人並んで写っていた。僕らはあの人たちのことを“5G(5爺)”と呼んでいる。お前ら、どっちの5Gに行くの?デジタルじゃないの?ヤバいよ、と。結局、若者は蚊帳の外なんだと思った。例えば閣僚のうち、何人がスマホを持っているのか。ガラケーの人ばっかりじゃないのか。そんな人たちがどういう改革をしてくれるんだろうと、この数日、憂鬱な気持ちだ」と憤る。
「もちろん、若いければと思っているわけではない。しかし、例えば彼らと僕たちって、決定的にLGBTへの価値観だったり夫婦別姓への価値観だったりが違っているはずだ。僕たちの“当たり前”は、30年くらいしてからでないと反映されないのか。例えば入試改革をやろうとして“やっぱりやめた”、ということがあった。自分が高校3年生だったら、絶対に許せないと思う。仮に芦田愛菜ちゃんが文部科学大臣だったら許しただろうか」。
また、「年寄りの票が多いから年寄り政治になる。若者はまず選挙に行けよ」「大臣クラスの要職を女性や若者でできる人間はいるのだろうか。性別問わず、能力がある人を選べばいいだけ」といった意見に対しては、「ベンチャーをやっている人たちは20代のうちに上場するとか、一発逆転して何かを掴む可能性がある。僕もやっと25歳になったので、政治家への挑戦権は手に入れた。能力次第だと言われるかもしれないが、政治の世界で大臣になろうとすれば、慣例的には当選5回、せめて2回が必要だ。“あれ?20代は無理?”みたいな。だから僕が次の衆院選に出て勝ったとしても、意思決定ができる立場まで登りつめられるかといったら、そうではない。元気な20代のうちに世の中のためになる、もっと社会にインパクトを与えることってあるよね、と思ってしまう」と話した。
さらにフリーアナウンサーの柴田阿弥は「今、このスタジオでも女性は私一人だ」としつつも、「少数派の人や立場の弱い人への配慮はすべきだし、女性の閣僚が増えるのはもちろん嬉しいことだが、国を運営していくことを考えれば、どちらかといえば適材適所の方がいいと思う。むしろ、どうしたら大臣になれるような若い人を育てられる環境になるのだろうか」と疑問を呈する。
テレビ朝日政治部官邸キャップの吉野真太郎記者は「菅さんの中で、優先順位として性別や年齢はそんなに高いものではなかったのだろう。そもそも大臣というのは社長さんみたいなものなので、判断をするのが仕事になる。例えば防衛大臣はどういうふうに国を守っていくかを考えればいいのであって、銃の使い方まで知っている必要はない。細かいことまで知っていて、下にどんどん圧をかけてくるような大臣が必ずしも良い大臣とは限らないと思っている。加えて、今回の菅政権に保障されている任期は1年だけ、という“宿命”がある。政権として長生きするには、結果を出さなくてはいけない。だから菅さんが即戦力となりそうな人を起用していったのはやむを得ないところもある」と話す。
閣僚人事の背景には、自身を総理の座に押し上げた党内派閥の力学もあるとみられる。さらに初入閣の目安は衆院が当選5回以上、参院は当選3回以上となっていることから、“入閣待機組”と呼ばれる60人ほどの与党議員たちへの配慮もありそうだ。その“代表格”だった平沢勝栄議員(75)は、菅内閣で復興大臣として初入閣した。
吉野記者は「菅さん自身は派閥が好きではないので、居心地が良くないと感じているとは思う」とした上で、「私は今40歳なので、政治の世界では超若輩者になる。50代でも“よちよち歩き”の若手と認識されるし、人によっては、60歳になってもまだまだ、という場合もある。もちろん、そうした年代でも、注目されている先生はいる。あるいは自治体の首長の中には、若くてガンガンやってらっしゃる方もいる。そういう方が国政に来てくれると、面白くなると思う。また、確かに年齢で見れば、閣僚たちは僕の親の世代だ。しかし、政治家というのは別の生き物なんじゃないかと思うくらい若い。いわば権力闘争という名のエクササイズを毎日やっているので、だいたい“実年齢マイナス10歳”と言っていいと思う。菅さんも麻生さんも、マイナス10歳しても60代だが、毎朝の散歩に20代の番記者が同行したら、“速すぎて付いていけない”と言っていた。価値観の違いなどがあるとすれば、そこは逆に若い人たちが教えてあげたらいいんじゃないかなという気もする」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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