ものまねタレントりんごちゃんが、9月11日より全国364館にて公開中の『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』で声優に初挑戦している。防衛大臣の命を受け、地上の人間たちに無理やりラクガキをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を実行する指導官リンゴ・イチゴ・メロンの3役を演じている。
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りんごちゃんといえば、武田鉄矢・大友康平・吉幾三などの数多くのレパートリーを持ち、野太い歌声で披露する“ギャップものまね”を得意としているものまねタレントだ。当然ものまね芸で3役をこなすのかと思いきや、収録現場で突如、京極尚彦(たかひこ)監督から“ものまね封印指令”が下ってしまったという。
りんごちゃん、そのままの声でいいよ!
青森県十和田市出身のりんごちゃん。物心ついた頃から『クレヨンしんちゃん』は身近なものだったという。今回、声優オファーが来た時の感想を聞くと、「信じられませんでした。テレビをつけると映っていたしんちゃんとこうして映画で共演しているというのは、どこか不思議な気持ち。本当に夢のようです」と明かす。
本作では「なんでも好きなものを描いていいのよ」とラクガキを勧める優しい人柄と思いきや、その意に反すると性格が豹変する指導官リンゴ・イチゴ・メロンの3役を務める。「1発目のシーンは本当にガチガチに緊張していました。実際自分が声を吹き込んでみると、アニメーションと合わないことがあって『なんだこの難しさは!?』と声優さんの凄さを実感したんです。今回、声優自体初めての経験だったのですが、いつもの声を出す仕事とは全然畑が違うというか、戸惑うことばかりでした」と振り返る。
数多くのものまねレパートリーを持つりんごちゃんは、“かわいらしい声”“お姉さんぽい声”、そして“りんごちゃんらしいワイルドな声”といった3つの声色を用意し収録に臨んだ。しかしここでも予想しなかった出来事が起きてしまったという。「いざスタジオに入ると、京極監督から、『りんごちゃん、そのままの声でいいよ!』と言われてしまいました(笑)。その自然体の声で収録するというのがまた難しくて。普段私は誰かを演じることを芸にしているから、『あ~私らしさってなんだろう』と悩んでしまいました」。
しかし収録が進むにつれて徐々にコツを掴むと、自分なりの遊び心も加えながらキャラクターに命を吹き込んでいった。「ほぼ、りんごちゃんの声ではあるんですけど、実は3役それぞれ自分の中で『誰々風』とイメージした芸能人の方がいるんです(笑)。なので、観てくださる方には、『誰を意識しているんだろう?』と想像してもらえると楽しいかもしれないですね」と微笑んだ。
収録に臨む前は過去に発表された作品を見返して、声の研究を行ったという。2014年に公開された『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』では、ものまねタレントの大先輩のコロッケもゲスト出演したが、「あの作品は当時も観ていたんですが、今こうしてものまねタレントで活動させてもらっている中で改めて見返した時、『やっぱりいい声出しているな~』と思いました。コロッケさんは頑馬博士役を演じられていましたけど、すごく勉強になりました」とリスペクトした。
映画館に足を運んで思いっきり楽しんでほしい
これまで『映画クレヨンしんちゃん』シリーズは数多くの作品が公開されているが、りんごちゃんには、見るたびに涙してしまう作品があるという。それは2001年に公開された『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』だ。「大人になったらまた違う見方が出来る様になったんですよ。しんちゃんだけの感情ではなくて、ひろし・みさえの気持ちにも共感できる部分が出てきたんです。すごく感情が揺さぶられるし、物語の終盤で、しんちゃんが傷だらけになりながら階段を駆け上るシーンではいつも号泣しちゃいます」。
幼い頃はただただ楽しい気持ちで『映画クレヨンしんちゃん』シリーズを観ていたというりんごちゃん。「子供は楽しめて、大人になると泣けるってことはどの世代にも響く作品作りをされているってことですよね。改めてすごいなと思います」と言葉に力を込めた。
好きなキャラクターは父・ひろしだという。「理想の男性なんです。普段は頼りない感じなのに、いざという時はめちゃくちゃ男らしくなる。よくしんちゃんがひろしの靴下を『臭~い』とネタにするんですけど、あれもフェロモンというか。仕事を頑張った末に足が臭くなっているのかなと想像すると、キュンとしちゃいます」と明かした。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本来4月公開だったが延期になった本作。「すごくお待たせしてしまいました。でも私はこの延期された期間をポジティブに考えると、ワクワクを増幅させた時間だと思っています。より皆さんの楽しみな気持ちが増えたんじゃないかな」と微笑む。
本作では人との絆の大切さが描かれている。最後にりんごちゃんは「私も完成した作品を観て、号泣してしまいました。友達とか家族とかとの繋がりの大切を感じさせてくれて、最後は本当に晴れやかな気持ちになることができます。ぜひ映画館に足を運んで、クスッと笑ったり、泣いたりしながら、思いっきり楽しんでほしいですね」とアピールした。