「これができなかったら大恥だ」 菅政権肝いりの“デジタル庁”創設 平井デジタル改革担当大臣に聞く
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 菅政権肝いりの政策、「デジタル庁」の創設。平井卓也デジタル改革担当大臣(62)は「徹底的なディスカッションと意識合わせを最初にしておかないと、うまく立ち上がらない」と、19日からの4連休で合宿が始まった。

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 デジタル庁は2022年4月までに創設という話もある中、平井大臣は「それより早いペースでやらなければ、総理の期待に応えられない」と意気込みも十分だ。さらに、改革の行程表を作成し、民間からも人材を起用する考えを示した。

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 省庁をまたいでの改革が必要とされるデジタル庁の創設。平均年齢が60.38歳の菅内閣はインターネット上で“高齢者内閣”と呼ばれ、「本当にデジタル化を進められるのか」という批判の声も上がっている。そんな中、党内きってのIT政策通である平井大臣。元電通マンとして、メディア戦略にも長けている。

 行政から人々の暮らしまで、日本のデジタル化をどう進めていくのか。18日の『ABEMA Prime』は平井大臣を招き、直接話を聞いた。

■「一過性で終わらせてはダメ。デジタル化の司令塔に」

 平井大臣の初当選は2000年。ITを「イット」と読み間違えた当時の森喜朗総理大臣が、「神の国」発言で解散した総選挙でのことだ。2013年から解禁された、選挙におけるネット利用を推進。スマホアプリ「あべぴょん」も平井大臣が手掛けた。その後もIT基本法に尽力するなど日本のデジタル化に貢献し、2018年にはIT担当大臣として初入閣を果たした。

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 今回、デジタル改革担当大臣に任命されたことについて「IT担当大臣を退任する時の記者会見で、『今のIT担当大臣では社会のデジタル化を進められないので、次は変えるべきだ』ということを言った。それから1年経ってこういう立場になり、自分の言ったことが回ってきた」と話す平井大臣。

 前回との立場の違いについては、「手に入ったものはないが、広い範囲で口を出せる立場にはなっている。前はIT戦略本部というところを所掌する、IT戦略を作るということだったが、今回はフリーハンド。デジタルに関して言えば、どの省庁の話にも首を突っ込める。社会全体のデジタル化は、行政だけではなく民間にもやってもらわなければならないので、とにかくやれることは全部手を付けていこうと思っている」と意欲を示す。

 また、新たにデジタル庁を立ち上げる意義について、「一過性で終わらせてはダメで、今後も日本社会を引っ張っていけるような、いわば成長戦略の旗頭にもならなければならないし、規制改革のシンボルにもならなければいけない。その意味で、デジタル化の司令塔みたいなものにもしていきたい」と説明した。

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 一方、2ちゃんねる創設者の西村博之(ひろゆき)氏は「総務省や経産省は、IT関係は自分たちでやりたい、手を出してくるな、と嫌がると思う。それを覆していくための根拠や強さはあるのか」と質問。

 平井大臣は「年間のIT投資は全省庁で約7000億円だが、予算要求からすべて一括してデジタル庁に集めて、各省庁で調達をやらせない。デジタル庁が“こういうスペックで作れ”ということを決めて、各省に流していく形にしたいと思う。今まで(各省)バラバラで繋がらなかったという問題もあって、一気にクラウドでやろうと思ってもなかなかできない。そもそも調達能力が役所になく、いろいろなベンダーにハードばかり売りつけられたりしていた。今回はそういうことがないよう、クリエイティブな調達をしていくために民間の力も欲しいと思っている」との考えを示した。

■「これができなかったら大恥だし、総理に申し訳ない」

 デジタル庁はいつ、どのような形で作るのか。どのくらいの規模をイメージしているのか。

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 平井大臣は来年中のスタートを目指すとしているが、「まずは準備委員会のようなものを早急に立ち上げる。結局、ベンチャー企業を立ち上げるような話だと思うが、違うのは法律を出さなければならないこと。企業でいうところの定款のようなものだと思うが、その法律をつくるという作業が非常に大変だ。ここでまずいろいろな役所とぶつかると思う。デジタル庁を会社に例えると、法律を作るチームと実際に人が集まって仕事をする会社の立ち上げを同時進行でやっていくということだ」と話す。

 一方、幅広く民間を登用するという点にひろゆき氏は、「志のある人が集まって平井さんの元でやっていくうちは大丈夫だと思うが、結局民間からいろいろなベンダーの人たちが入ってきて、“これはこの企業”“それはあの企業”と、今まで通りのことをデジタル庁でもやり始めてしまう可能性はないか」「平井さんが関わっているうちはいいと思うが、民間の人が長官になった時、そこまで政治的な力はあるのか、菅さんに『これはこうした方がいい』と言えるだけのパイプがあるのか。糸が切れた凧のように変な方向に行ってしまうことはないか」と懸念点をあげる。

 こうした意見に平井大臣は、「とりあえず私が責任者として、最初のスタートを間違わないようにしなければならないが、この世界でたくさんの人や会社を見てきて選別の目利きはある」とした上で、「民間の人が長官になる設計にするか、大臣、役人がやるのかは最終的に決まっているわけではない。ただ、民間の人を登用したいという個人的な思いはある。会社には“思想”のようなものがあるが、デジタル庁を今までの役所と同じような志で作ってしまうと、役人のポスト争いやベンダーのロックインの問題になったりするので、今回はそれを避けるために過程をオープンにすると言っている。知らない間にいろいろな人が来て固めてしまったということにはしない」と説明した。

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 また、実際に人を集める方法について慶應大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純氏は、「若い人たちで集まると、二言目にはオードリー・タン(台湾のIT担当大臣)の話をするが、日本の社会はカリスマの社会ではなく組織の社会だと思う。デジタル庁が新しくできるという時、今までの省庁とは違う文化ができるのは大事。今回、スタッフは公募で集めていくのか、ある程度目ぼしをつけた企業単位で集めていくのか、それとも新しい組織を作るアイディアがあるのか」と質問。

 平井大臣は「基本的には公募しようと思っている。最初の合宿は経産省や総務省、内閣官房などから集めてスタートするが、そこからブレーンなどを入れながら広げていって、実際にデジタル庁で働く人たちは完全に公募で。一般の人が行きたいと思える役所を作りたい」とした。

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 先導役について、企業のデジタル化支援ソフトなどを販売するサイボウズ株式会社社長の青野慶久氏は、「私はベンダー側の人間だが、どちらかと言うとベンダー側ではない人が、デジタル庁の創業者として、軌道に乗っていくまで剛腕で引っ張っていくような動きが必要だと思う」と指摘。

 元文部科学省の官僚でGoogleの執行役員も務めたマカイラ株式会社CEOの藤井宏一郎氏は、「やはり民間の方が長官になってどんどん引っ張っていくのがいいと思う。もちろん庁を作るところのリーダーシップは大臣に執っていただいて、そこを仕上げるということ。いわゆるカリスマカルチャーではないと思っていて、スタートアップや創業社長の元でエンジニアをやっていた人、CTOみたいなポジションにいた人が入るといいのではないか。私のイメージでは、政府CIO補佐官をやられていたようなタイプの方だと、きちんと日本のカルチャーを分かった上で自らコードも書けるので、いいのではないかと思っている」との見方を示す。

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 こうした声を受けて平井大臣は、「これができなかったら大恥だし、総理に申し訳ない。リスクを負っているが、やりがいはある」と話した。

■「“新しいデジタルワーキングスタイル”ができたら、まったく新しい役所になる」

 デジタル庁の設置場所について、「東京でなくてもいいのでは」という声もある。平井大臣は「究極のことを言えば、最初からオフィスがなく全員リモートでもいいと思う。それくらいコロナで世の中が変わったと。今は東京のIT企業の9割が在宅だ。本当の意味での“新しいデジタルワーキングスタイル”がこの役所でできたとしたら、まったく新しい役所だと思う」との見方を示す。

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 また、ひろゆき氏は「今までのように雇って給料を払うのではなく、ソースをGitHubに上げてしまって“直せる人直して”と。“作れる人が作って、いいものできました”“省庁で使って下さい”ということにする方が、ひょっとしたら早くうまくいくのではないか」と提言する。

 平井大臣は「まだアイディアの段階だが、デジタル庁という1つの役所の横に、新しいテクノロジーや若い人たちの技術を政府がインプリ(メント)できるように、ジョイントしてお金を流すシステムを作りたいと思っている。アメリカではGSA18Fという組織があり、若い技術者が作ったものを政府が採用してしまうということがある。今まで大手ベンダーに全部投げてしまって採用できなかった“リスクはあるが新しい技術”を、部分的にでも採用できるような仕掛けを入れておこうと思っている」との考えを述べた。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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