9月19日の修斗・渋谷O-EAST大会第1部は、5試合中4試合がKO・一本などフィニッシュの連続となった。その口火を切った西川大和と椿飛鳥の新鋭対決の結末もまた、見事な三角絞めでの一本。わずかな隙を見逃さなかった西川が劇的な逆転勝利を飾ると、視聴者から驚きと称賛の声が相次いで寄せられた。
椿は格闘リアリティ番組『格闘代理戦争』で注目された選手。青木真也の指導を受け、その“名(迷)コンビ”ぶりも話題になった。プロではONEウォリアー・シリーズでキャリアを積んでいる。
対する西川は2002年生まれの17歳。幼少期から父とともに二人三脚で総合格闘技のチャンピオンを目指してきた。今年4月には『Road to ONE』無観客大会に参戦。キックボクシング中量級のトップ選手である緑川創とムエタイルールで対戦し、敗れはしたが大善戦を見せた。試合後には青木真也が直々にアドバイスするなど、その将来性を高く買われている。5月に修斗初参戦を果たすと判定勝利を収め、今回はさらなる飛躍を期しての椿戦だ。
序盤、テイクダウンに成功した西川だが、椿が立ち上がって金網に押し込む。そこからバックを取ってマットに叩きつけるとシングルレッグ、ダブルレッグへと攻め込む椿。粘り強く、かつ変化をつけた攻撃が光った。そして大きく持ち上げるとテイクダウン。西川の背中をマットにつける。
こうなると椿が完全に優位。だが、そこに一瞬の落とし穴が待っていた。西川はすかさず三角絞めへ。これが見事に決まり、逆転の一本勝ちだ。
「こんな高校生いるのかよ」
「キレイな三角」
「強い、なんやコイツ」
視聴者コメントもフィニッシュの衝撃を物語っていた。立ち技の試合でも能力の高さを見せ、修斗1戦目ではテイクダウンで主導権を握って判定勝利。そして今回は下からの“極め”で一本と、試合ごとに新たな引出しをあけている感のある西川。年齢を考えればまだまだ成長する余地も充分なだけに、修斗と日本MMAの未来を担う逸材として期待が高まる。
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