プロレスリング・ノアのシングルリーグ戦「N-1 VICTORY」が9月18日に開幕した。ノアのトップ選手たちが2ブロックに分かれて連日、対戦するハードな闘い。その中で異彩を放つ存在が桜庭和志だ。
総合格闘技のレジェンドである桜庭は昨年からノアに参戦。8月には杉浦貴と組んで、51歳にしてタッグのベルトを巻いた。リーグ戦出場にあたっては「大きい選手が多いのでケガしないように乗り切りたい」としつつ「寝かせてしまえば一緒」と大型選手対策に自信を見せてもいた。
20日の初戦で望月成晃との50代対決を制した桜庭は、22日の後楽園ホール大会では現GHCヘビー級チャンピオンの潮崎豪と対戦した。
チョップ、ラリアットとパワフルな打撃が武器の潮崎。桜庭はそれを封じるべく右腕を攻めていく。腕十字、アームロックと関節技で展開を支配すると、場外では鉄柵を使って腕を傷めつける。さらには左ミドルキックを腕に連打。総合格闘技的なテクニックと純プロレスの“一点集中攻撃”をミックスさせた、桜庭らしい攻撃だ。
しかし、ノア王者の牙城はそう簡単には崩れない。潮崎は傷めつけられた右腕で、あくまで打撃勝負。コーナーで逆水平チョップを連打し、走り込んでのラリアット。2発目の右はかわした桜庭だが、すかさず左のラリアットが飛んできた。
「I am NOAH」を標榜する潮崎の“ザ・プロレス”とも言える攻撃を食らう桜庭。まさにノアでしか見られない光景だった。最後は再度、豪腕ラリアットを叩き込んで3カウント。桜庭は2戦目で初黒星となった。
勝った潮崎は「これだけのメンバーが集まったリーグ戦、崇高な闘いにしていく」とファンにアピール。難敵であり曲者と言える桜庭を下し、チャンピオンとしての威厳をあらためて示した。
文/橋本宗洋
写真/プロレスリング・ノア