マット界はシングルリーグ戦の秋を迎えた。新日本プロレスがG1クライマックス、全日本プロレスはチャンピオン・カーニバル。そしてプロレスリング・ノアではN-1 VICTORYが9月18日に開幕した。
トップ選手たちのシングルマッチだけに、どの試合も見応え充分。同時に星の潰し合いもシビアなものになる。
昨年1年間、GHCヘビー級王座を守り続けたノア新世代のエース・清宮海斗も例外ではない。望月成晃との初戦がドロー、続くマサ北宮戦では敗れ、2戦して勝ち点1と苦しむことに。
序盤はしつこくヘッドロックで固めてダメージを与え、そこからダイビングエルボー、ミサイルキックなど立体的な攻撃。持ち味を出していった清宮だが、それを上回ったのが北宮の気迫だった。
北宮は拳王率いる反体制軍団・金剛の副将格。現在の金剛は次々と選手が加入し、戦力が分厚くなっているだけに存在感を見せるためにもリーグ戦で結果を出したいところだ。
高速のサイトースープレックス(バックドロップ)で流れを掴んだ北宮は重量感のある大技を連発。途中、足を傷めるアクシデントがあったものの構わず攻撃を続け、サイトースープレックス3連発で清宮を仕留めた。
北宮はもともと健介オフィス(ダイヤモンドリング)出身。師匠にあたるのが佐々木健介とマサ斎藤だ。リングネーム、コスチュームに加え監獄固め、サイトースープレックスとフィニッシュ技もマサ斎藤直系のもの。歴史を背負って闘っていると言ってもいい。先に大出世を果たした後輩に、自身のルーツを叩き込んだのだ。
「リーグ戦だから当然、誰にも負けられないが、こと清宮に関しては死んでも負けたくねえんだよ!」
インタビュースペースで吠えた北宮。足の負傷という代償はあったものの、大きな結果を残したのだった。
写真/プロレスリング・ノア