「ちょっとぐらいなら…」一人で断酒を決断するのが難しいアルコール依存、欠かせない周囲の支援
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 酒気帯び運転の疑いで逮捕され、「自宅で一晩中酒を飲んでいた」「一人で飲んでいた」と供述している元TOKIOのメンバー・山口達也容疑者(48)。呼気からは基準値の5倍近いアルコールが検出されている。

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 山口容疑者は2018年、女子高校生に対する強制わいせつの疑いで書類送検され、起訴猶予処分となっていた。このときも「かなりの量を飲んだと思うんですけど、酩酊状態という感じになっていました」と説明。飲酒による肝臓の不調で入院治療していたことを明らかにした。ただ、記者からの「アルコール依存症ではないのか」との問いには「そのような診断は受けていない」と否定していた。

 アルコールによる再度の不祥事。山口容疑者の行動に、依存症の可能性を指摘する声もある。

 厚生労働省によると、「アルコール依存」とは、酒を長期間大量に飲み続けることでお酒がないといられなくなる状態に陥る病気で、国内の患者数は80万人以上、予備軍を含めると約440万人と推定されている。

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 依存症問題に詳しい精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳氏によれば、「飲んでいる時の自分は楽しい人間だと思う」「飲んで記憶をなくすことがある」「飲んで目的地にたどり着けないことがある」「飲んでケガをしたことがある」「今日は飲まない、途中でやめる、ができない」「飲まないと眠れない」「飲み会の翌日、皆の態度が冷たい」「『飲まなければいい人なのに』と言われる」といった点に心当たりのある人は、その予備軍に入る可能性があるのだという。(斉藤章佳『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』より)。

 「周りが“依存症かもしれない、何らかの治療を受けた方がいいのではないか”促しても、本人はなかなか受け入れられない。自分でも問題だとわかってはいるが、お酒を断つのは避けたいという思いから、その問題を過小評価してしまう」。

 一般財団法人ワンネスグループ共同代表で精神保健福祉士の三宅隆之さん(45)は、10代から依存状態が続き、そして抜け出した一人だ。

 進学した高校で勉強になかなかついていけず、クラスメイトや部活での人間関係でも悩む中でアルコールに出会い、大学時代も酔ってトラブルを起こしていた三宅さん。社会人になってからもそれは変わらず、会社を解雇される。それでも飲酒による「癒やし」の効果を感じていた三宅さんは、周囲の忠告にも向き合うことができず、「ちょっとぐらいなら」と飲酒を続けていたという。

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 しかし、家族の毅然とした対応を機に、依存状態からの脱却を目指すようになる。「“我慢しよう”とか、“お酒のことはなかったことにしよう”というのではなく、なぜ自分の人生にお酒、あるいは酔いというものが必要だったのか。そして、なぜ自分はストレスを抱えやすいのかというところに視点を移していった。その頃から、本格的にお酒をやめる軌道に乗っていったと思う」。

 それでも、「今でもたまに、“ああ、こういう時に飲めたらどんなに楽か”と思う時はある」と話す三宅さん。「それはストレスを解消できないままモヤモヤしていて、自分の中で黄色信号が灯っている時だ。飲みたいという気持ちが湧いてきても、自分のメンタルの状態について考える必要があるということなんだと切り替えて、人に相談するなどの対応を取るようにしている」。

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 現在は当事者を支援する立場でもある。市民向けセミナーなどの啓発活動や、電話、メール、SNSを通じた相談を行い、最終的には施設等における回復支援、脱却支援といったサービスを提供している。「断酒を続けられてきた方がコロナによって通院やグループの会合が無くなり、不安を抱えているという声も聞く。ただ、Zoom等を使ったオンラインミーティングを企画し、頑張っていらっしゃる方もいる。我々もオンラインでのプログラムに活路を見出して、模索しているところだ」。

 周囲に依存が疑われる人がいた場合の対応について、三宅さんは「一昔前に比べて様々な問題で依存症というキーワードを目にするようになり、誰でも当事者になってしまう可能性があるという認識も広まっていると思う。それでも当事者になってしまうと、“自分事”として捉えることが難しいし、“治らないんじゃないか”というと思ってしまう。しかし、飲酒によるトラブルで落ち込んでいる時であれば、問題を受け入れやすいといわれている。そして大事なのは、ただ問題を指摘するのではなくて、やめられない背景に何かがあるのではないか配慮しつつ、治療などを受ける必要があるんだということを話していくことだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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