“受験生に2万円給付”案がネットで賛否 「Fラン大学無償化は税金の無駄」主張のひろゆき氏と考える、大学進学の意味
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 コロナ禍で影響を受けた高校3年生らを支援する、新たな給付金制度の話が持ち上がっている。

【映像】「Fラン大学無償化は税金の無駄」ひろゆき氏と激論

 公明党が政府に提言したのは、大学受験を控えた高校3年生らに一律2万円の「受験生等支援給付金」を支給するというもの。対象となるのは浪人生を含む約126万人で、総額380億円を想定。予備費を活用し実現を目指している。これに対し麻生大臣は「この4月に拡充された高校生の就学支援金が支給されているという事実もあるので、よくよく留意しなければならない」との考えを示した。

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 去年5月、低所得世帯の学生を対象に大学を無償化する法律「大学等就学支援法」が成立し、今年4月から支援が始まっている。こうした高等教育無償化をさらに拡大すべきという意見もある一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「Fラン大学無償化は税金の無駄」と主張する。

 受験生等支援給付金に賛否両論が飛び交う中、9日の『ABEMA Prime』は多くの若者が大学に通う意味について考えた。

■“受験生に2万円給付”案 政治的な思惑も?

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 受験生等支援給付金の2万円という額は、大学入学共通テストの検定料が1万8000円(3教科以上)であることによる。ひろゆき氏は「とりあえずセンター試験(大学入学共通テスト)を無料にすれば大学受験している人の経済負担は減るので、それでいいのではないか」と話す。

 一方、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「8日に共通テストの出願を締め切っているので、やるならもっと早い方がよかった」と指摘。「2万円を支給するのはいいが、問題はその支給の事務作業を誰がやるのか。十中八九、高校の先生か自治体の職員ということになるだろうが、高校の先生だと、ただでさえ受験指導や就職指導で大変な時期に2万円をどうするかという事務作業が出てくると大変だ」と、運用面での影響を危惧する。

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 受験生等支援給付金に対してインターネット上では、「大学の受験料は高いから助かる」「子どもの未来のために税金を使うのは良いこと」という賛成意見のほか、「またバラマキ?」「そもそも受験料を無料にすれば良いのでは」「目的もないのに大学に進学する人が増えるのでは」など反対の声も上がっている。

 なぜ、受験料無料ではなく一律2万円給付なのか。石渡氏は「考えられるのは、地方の高校だと大学進学よりは就職、あるいは短大・専門学校進学を希望する人の方がどちらかというと多い。大学進学者だけに2万円を出して、それ以外の生徒にお金を出さないとなると無用な軋轢を生むので、一律でという発想ではないか」との見方を示す。

 一方、元経産官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「もっとゲスい話だと思っている」と推察。「恐らく(衆議院の)解散が来年の1月か4月くらいに行われる。18歳から選挙権を持っているわけだが、初めに投票した政党に思い入れを持つという傾向があり、ここで公明党か自民党に入れさせようという思惑があるのだと思う。額を多めにしているのは、財務省に削らせてあげることで麻生さんの面子も立つということ。政策目的で考えたら、絶対無料化した方がいい。無料化して漏れた人に2万円を配るなら理屈がつくが、やっていることが支離滅裂なので全然違う目的があるのだと思う」と述べた。

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 これを受けてAV女優の紗倉まなは「そういう公明党のアピールなのだと言われると確かに巧妙というか、自分がもしその世代だったらすごくポジティブなイメージに映ると思う。こういう案はぽっと出というか、短い期間で考えて出したものなのか」と疑問を呈する。

 石渡氏は「急に決まったようだ。“共通テストの受験料を無料にします”“金融機関に振込に行かなくても結構です”とする方が話は早いし皆幸せなので、かなり驚いた」とした。

■ひろゆき氏「Fラン大学無償化は税金の無駄」

 大学全入時代と言われて久しい中、進学率の上昇とともに大学の数も増えている。しかし、日本は少子高齢化社会。子どもが減る中で大学が増えていることをどう考えればいいのか。

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 石渡氏は「大学の数が増えた割に、意外と減っていない」と指摘。「2000年に649校あった四年制大学が、2019年には786校に増えている。全入時代だの、定員割れの大学が一時期5割を超えていて経営がボロボロだのと言われたが、その間に潰れた大学はわずか15校。20年連続で定員割れでも、未だに経営が持っている大学もあるくらいだ。2000年代から、それまで短大や専門学校が中心だった職業教育が、四年制大学にどんどん移行していった。高等専門学校や一部の公立の短大、公立の専門学校はいまだに学生が集まっているが、それ以外の短大や専門学校はかなり経営が苦しい状態。その中で結果的に四年制大学に衣替えしていったところが増えて、現在に至っている」と説明する。

 では、なぜ大学に行くのか。ひろゆき氏は「大学に行くのは教育レベルがある程度高くなって、稼げるようになって下さいということ。そのために税金を突っ込むわけだ。私塾や専門学校などほとんど補助金のないところは、自分たちでお金を払って勝手にやればいいと思う。ただ、国が税金を突っ込む以上はそれなりの教育レベルになってもらわなければ、お金がもったいないという話だ」と持論を述べる。

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 多くの若者が大学に行く必要があるのかという話の中で、しばしば俎上にのるのが「Fランク大学」。Fランク大学とは、定員割れで不合格者が少なく、偏差値を明確に設定できない大学のこと。BF(ボーダーフリー)大学とも呼ばれ、ネット上では単純に偏差値が低い大学の総称としても使用される。石渡氏によると、偏差値40未満が1つの目安で、その数は100校未満だという。

 冒頭の「Fラン大学無償化は税金の無駄」は、ひろゆき氏が『日刊SPA!』に寄稿したものだ。その意図について、「大学にお金を入れるのではなく、センター試験で一定以上の点数を取った生徒は学費を払わなくていいという制度にした方がいいと思う。例えば、Fランク大学と言われるところでも『僕はこの大学でこの勉強をしたい』という生徒がいっぱいいるのなら、国が生徒たちの学費を無償にして、大学は残っていいと思う。だが今は、入りたいけど勉強もしていない人、何の勉強もできない大学があるので、それらを減らすべきだという話だ」と説明する。

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 一方で、石渡氏はFランク寸前の大学が入学難関校になった事例を紹介。「1999年に開学した群馬県の共愛学園前橋国際大学は、開学2年目で定員割れになり、Fランクに落ちる寸前までいった。この大学がどうしたかというと、実用英検2級を取得していれば学費を2年間無償にするという制度を取り入れた。他にもあれこれやり、結果的には群馬県内で一番入りづらい大学になった。ひろゆきさんの提言に近いことを大学個別ではやっているところもある」と指摘する。

 これに対しひろゆき氏は、「うまくいっている大学は頑張ればいい。留学生をどんどん入れて生徒数を増やしているようなところは潰すべきだという話だ」と主張した。

■“大学全入時代” みんなが大学に行く意味は

 一部のFランク大学は潰すべきという主張に対しては、「偏差値で測れないような分野で学びたいという方からするとFランの基準も違ってくるし、地元のこの企業に勤めたいという明確な目標があるなど、自分にとっては必要な過程だということもあるだろう」(紗倉まな)、「頭はそんなに良くないけど、大学に行きたいとか学びたいという人を切り捨ててしまうことにならないか」(お笑いトリオ・パンサーの向井慧)など、共演者からも意見が飛び交う。

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 先ほど「一定以上センター試験で点数を取った生徒は学費を払わなくていい制度」を提唱したひろゆき氏は、「学びたい人がちゃんと頑張れば、センター試験でそこそこの点数は取れる。でも、“学びたくない。勉強したくない。でも大学は行きたい”なら、自分でお金を払って行くべき。それは税金を突っ込むことではない」と主張する。

 これに紗倉が「ある一定のラインを引くと、合格ラインの近くにいた“でも学びたい”という人は取りこぼされないか」と疑問を呈すると、ひろゆき氏は「やる気と学力は基本的に比例すると思う。受験者全体のうち30%の点数をとれなかった人は“やる気がなかった”とみなすとか、要は足切りをどこにするかという話だと思う」との考えを示した。

 やる気があっても最低限のレベルに届かない人、ポテンシャルがない人はダメなのか。ひろゆき氏は「センター試験で点をとるのにポテンシャルはそんなに必要ない。言われたことをちゃんと学習できる能力があって、努力できればある程度取れる。逆に言うと、それすら理解できない人であれば高等教育を受けても無駄だ。例えば、大学では英語の授業がほぼ必ずあるわけで、“英語の勉強をしたけどセンター試験で10点もとれません”という人は、大学に行っても英語の授業がわからない。行きたいという気持ちはわかるが、最低限のことができないのであればそれはもう大学に向いていない」と持論を述べる。

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 宇佐美氏は「足切りは色々あると思うが、とりあえず思想が必要。今の日本はグダグダで進んでしまっていて、“平等だったらいいでしょ”という感じだ。大学の経営をこれからどうしていくのかに関しては、“各自頑張ってください”で留まっているが、税金を突っ込んでいるのにそれではダメ。ひろゆきさんが仰っているのもひとつの思想で、Fランをどのラインで引くか分からないが、Fランを専門職系に変えていくとかある程度経営破綻を促すとか、どっちかにしないといけないと思う」と述べた。

 一方で、新卒一括採用で大卒が条件という企業も根強くあるために、Fランクかはともかく大学を出ておこうという考えもある。

 ひろゆき氏は「個人にアドバイスをするのであれば、“どんなFランでもいいから大学に行っておけ”と僕は高校生に言うと思う。それは就職する時もそうだし、海外で労働ビザを取る時に大学卒じゃないと基本デスクワークのビザが下りない。“大学を出てないってことは肉体労働者だね”ということで、デスクワークの能力がないと判断されてしまうので、どんなFランでも大学は行っておけとは言う。ただ、日本の国として税金が無限にあるわけではないので、ダメな大学を減らすとにしないと、大学の質は上がらないと思っている。社会と個人は別だ」との考えを示した。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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