1ラウンド終了間際、残り18秒の衝撃失神KOだった。死角から飛んできた不意打ちのヒジをまともに受け、敗戦を喫した選手が目を丸くして愕然とする様子がネットで「記憶をなくした顔」「あ然としている」など反響を呼んでいる。
10月9日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE Reign of Dynasties」。アミール・カーン(シンガポール)とラウル・ラジュ(インド)の対戦。カーンはONEでも将来が嘱望された選手の一人だったが、近年の戦績は5戦で4敗と苦戦中。心機一転、ライト級に転向し、活路を見出そうとしている最中だ。対するラジュは新興勢力であるインドの総合格闘技のスター候補で、ベースはカンフーという異色の選手。
1ラウンドはお互いに奥足を狙うカーフキックを蹴り合う攻防から、距離を測りパンチとミドルで探り合う出だし。ラジュが数発フックを放つが、これは不発。カーンのカーフキックを嫌い、ケージ際に押し込んでテイクダウンを狙うラジュだが、ケージの使い方に長けたカーンにあっさりとかわされてしまう。
その後も積極的に攻め続けたラジュ。テイクダウンを諦めるとバックを取り、再び正面から崩しにかかるが、カーンは冷静に相手の攻撃を防御。あえて相手に上を取らせる余裕も。
残り時間30秒。カーンがケージを背にしながらラジュの打撃を数発貰うが、ここも冷静に相手の腕を封じると、するりと体を入れ替えたところで、死角から右ヒジを一閃。これをまともに喰い、予想外の一発に倒れ込んだラジュ。カーンが追い打ちのパウンドを浴びせると、レフェリーが即刻試合を止めた。
ABEMAでゲスト解説を務めた仙三が「(ヒジの攻撃が)わからなかったんじゃないですか?」と解説したとおり、スロー映像では、カーンが体を離した瞬間にラジュが見えない角度から、ラジュをなぎ倒すように強烈なヒジを放つシーンが映し出された。
一方の試合後、敗者であるラジュの表情は印象的で、衝撃の瞬間を物語っていた。KO負けの状況を把握できず、目をまん丸と見開いて「何が起きたの?」と、まさに鳩が豆鉄砲を食ったような顔を見せると、仙三が「あれやられたの? って感じかもしれませんね。あるあるですよね、意識飛ばされて『あれ、オレ負けたの?』というのは(笑)」と、現実を受け入れられないラジュの心理状態を解説。仙三の解説を聞いた視聴者からは「記憶なくした顔」「あ然としているね」などの声が上がっていた。
見事なタイミング、角度からヒジ一発で失神KO勝利を収めたカーンについて、同じく解説を務めた大沢は「スペースをつくってからヒジは狙ってましたね。狭いところでのヒジは想定していないので効きますよね」と衝撃のシーンを振り返った。
(C)ONE Championship