現職の神戸市議が“ネトウヨ宣言” 保守や右派は古い定義に? ひろゆき氏らと議論
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 「私はネトウヨです。ネトウヨであることに誇りを持っています」

 先月、Twitterで堂々と“ネトウヨ宣言”したのは、岡田ゆうじ神戸市会議員。国会議員の政策担当秘書を経て、2017年に神戸市議に当選した現職の自民党議員だ。そのような身分もありながら、なぜわざわざネトウヨを表明したのか。

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 「今ネット上では、ネトウヨがある種の差別用語というか、禁句のようなものになっている。『あいつはネトウヨだ』『そんなネトウヨに発言権はない』とレッテル貼りをして差別をするのは一体どうなのかな、という問題意識が昔からあった。ちょっと考え方が保守的な普通の人も含めてネトウヨと言われている。政治家として宣言したいと思ったものだから、いわゆる“ネトウヨ宣言”をさせていただいている」

 ネトウヨは普通の人と変わりないと訴える岡田議員。さらに同じツイートでは「私は別に右でも左でもないし、保守派を自称する気もありません。ただのネトウヨです」と続けた。右寄りでも保守でもない、ただのネトウヨとは。

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 一般的なネット右翼(通称:ネトウヨ)といえば、「旭日旗の拡散は韓国を刺激するからやめようなどという輩に限って日本人ではない」「与党批判しかしない野党や左派メディアは今の日本に必要か?」などの激しい言葉で、韓国・中国や政権を批判するメディアなどにとにかく噛みつきまくるというイメージだ。去年番組が取材したネトウヨ的発言を繰り返す男性も、韓国を中傷する投稿や記事を毎日50以上、五月雨式にリツイート。そこにはためらいも後ろめたさもなかった。

 与党支持のネトウヨたちは、長期政権下で存在感を増し、増殖したとも言われる。これまでのネトウヨ観はひっくり返ることになるのか。9日の『ABEMA Prime』は、岡田議員を交え言葉の定義や存在意義について議論した。

■“保守”や“右派”ではないネトウヨとは

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 “右でも保守でもないただのネトウヨ“とはどういうことなのか。ツイートの経緯について岡田議員は「実は元ネタがあり、“私はネトウヨとか保守議員とか言われて引っかかっていたんだけど、私は右でもないし保守でもない。当然左でもない。ただの愛国者だ。特定の思想は持っていない。すべて自分で考えての是々非々だ”というツイートを自民党の小野田紀美参議院議員がしていた。私たちの世代は自民党と社会党の保革対立の時代を終えて、どちらかというと右左といったイデオロギーの観念が弱いものだから、どうしてもネット上の対立は先鋭化して見える。だけれど、“私たちだってSNSで自由に発言したい”という思いをうたった時に、右でも左でもないというのが非常にいいフレーズで、私の考えにぴったり合う言葉だと思って使った次第だ」と説明する。

 岡田議員は“ネトウヨの定義”として、「1.国を愛し、2.弱者を助け、3.日本の歴史と伝統文化を尊び、4.自由と平和を希求し、5.皇室の弥栄を護ること」とし、女性や弱者に冷酷で根拠のないヘイトをする人は「偽ネトウヨ」だと指摘している。

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 その理由について、「ネトウヨと言われてバカにされ、攻撃されている人たちというのは、実は普段の生活では普通の人たちだ。そういう人に実際に会う中で、いざスマホを持つと、例えば韓国や政治について極端なことを書き込む人はいる。そういう人でも、深く付き合ってみると普通の人が多い」と述べた。

 一方、『ネトウヨとパヨク』の著者で学習塾代表・著述家の物江潤氏は「自称される分には全く問題ないと思うが、他者に当てはめる分にはちょっと賛同できない」との考えを示す。「私自身はネトウヨのことを“対話不能な人”と定義している。議論のルールを守れる人、対話をしようという心構えがある人であれば、みんな完全に自由で平等であるべきで、そういう人に対してネトウヨとか侮蔑的なニュアンスを含んだ言葉を投げるべきではない。この大前提を裏返すとどうなるか。ルールを守れない、守ろうという気構えさえ存在しないならば、推奨しないがネトウヨと言われても仕方がない。なので、岡田さんが挙げられた5つの条件に合致しようがしていまいが、対話可能で対話する心構えがある以上、ネトウヨと呼ぶのは不適切かなと。その点岡田さんと考え方は少し違うと思う」。

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 ネトウヨ=侮蔑的な表現という点について、岡田議員は「ネトウヨは差別用語として使われているにも関わらず、その定義がやたら広い。昔、2ちゃんねらーやオタクなど似たような差別用語があったが、今はパソコンが詳しい、ITに詳しいということで社会に貢献できる。それと一緒で、“あいつらは会話ができない。そもそも会話ができないから排除すべきだ”と、最初から排除の体になってしまうのは良くないという問題提起だ」と訴える。

 しかし、これに元経産官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は反論。「僕はネトウヨリストみたいなものを作られて名前を挙げられている1人なわけだ。ネトウヨやパヨクというのは相手を罵るために勝手にレッテル付けをしているだけで、こういう文化、言葉がなくなってほしいと思っている。こういう言葉をなるべく使わないようにする世の中にして欲しいのに、政治家が“自称ネトウヨ”だとか言うと、この言葉を公式に認めているみたいですごく嫌だ」と語気を強めた。

■「ネトウヨ」再定義は可能?

 そもそも、ネトウヨはまとめたり再定義ができるものなのか。

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 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「在特会の人たちがヘイトスピーチをしていたとか、人種差別をしていたという人がネトウヨと言われるわけで、社会としてはそう使われている。議員がネトウヨと言うと、“ネトウヨと呼ばれている人の活動は社会に許容されている。だから人種差別してもいい”と誤解をする人が出てくる。岡田さんが言っていることは、人種差別やヘイト差別をする人が増えるし、擁護する可能性があるからやるべきではない」と主張。「そもそも社会の中で使われている言葉を再定義しようとしているのって、単に目立ちたいからだと思う」と苦言を呈する。

 宇佐美氏は「2000年くらいにネトウヨという言葉が使われ始めた頃は、そんなにネガティブなイメージがなかったから“俺、ネトウヨ”と言っていた。ちょっと右翼的なことを言っているくらいの人がネトウヨだったわけだが、どんどん拡張していった。それを原義に戻そうとするなら分かるが、今この状態になって自分勝手に再定義しようなんてやめてよと。公式な用語にしないでと思う」と訴えた。

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 一方、岡田議員は「ひろゆきさんは、ネトウヨは今こういう定義だからいまさらいじっても弊害が出ると言うが、それはやはりおかしい。2000年当時のネトウヨはこんな定義じゃなかったけど今は変わった、と宇佐美さんはおっしゃった。時代とともに定義というものは変わる」と主張する。

 物江氏は「やはり侮蔑的なニュアンスを一般的に含んでいるので、あんまり使うべきではないと思う。ただ特定の主義主張や思想を持っているだけでネトウヨというレッテルを貼るのは良くないわけだが、いきなりポジティブに変えるのもなかなか難しいと思う。そこはなかなか周囲から理解を得られないのではないか。言葉自体が消えてなくなればいいが、再定義する必要がないというのは私もそうだと思う」との考えを示した。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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