「将来的には子どもを持てて、一緒に子育てして、家族ができてっていうのが夢」。
4年前に交際をスタートさせ、都内で暮らす亮一さん(37)と翔太さん(25)。2年前、東京・中野区のパートナーシップ制度を利用し、同性カップルとして公的に認められたものの、日本では同性婚は未だ認められておらず、将来についての様々な不安がよぎる。
・【映像】"子育てへの壁"子供を望む同性カップルの期待と不安 精子提供の課題と実情
そんな2人が望んだのが、“子どもを育てたい”という思いだった。現在、日本でゲイのカップルが子どもを持つためには、主に2つの方法があるという。一つが、様々な事情で家族と離れ施設などで暮らす子どもを一定期間引き取る「養育里親」。もう一つが、海外に渡りどちらかの精子を用いて第三者の女性に妊娠・出産をしてもらう「代理出産」だ。
ところが、彼らに必要な情報は少なく、ネット上には「親が同性なんて子どもがかわいそうだ」「子どもがいじめられるだけ」といった偏見に基づく書き込みもあるのが現状だ。
■つきまとうリスクと不安
ぽっちさん(27)とみちこさん(29)も、4年前に付き合い始めた当初から、どうすれば子どもを持てるかについて話し合ってきたという。
レズビアンカップルの場合、第三者の精子提供で子どもを授かることができるが、婚姻関係が法的に認められないため、原則的に国内の医療機関では人工授精などの医療行為を受けることはできない。
そのため、もらった精子を注射器で吸い取り、自ら体内に注入する「シリンジ法」、そして精子提供をしてくれる男性との性交渉による「タイミング法」の二通りの手段が考えられる。
しかし「シリンジ法」は手軽な一方、感染症などのリスクが伴う。また、「タイミング法」についても、「望んでくる方がいるが、どういう目的で言っているんだろうと思うことがある」(ぽっちさん)、「善意で言ってくれているのかもしれないけれど、正直、身体が目的なんじゃないかなって疑われるのが仕方ない場合も」(みちこさん)と、懸念は払拭できない。
■情報不足に加え、経済的負担も…
そこで2人が考えているのが、“第三の道”である。海外を経由する方法だ。コロナで延期になった結婚式を終えた後、まずは年上のみちこさんが精子バンク・精子提供で妊活することを予定しているという。
ただ、やはり情報不足が課題だという。「精子バンクのセミナーに参加してみたり、精子ドナーの方を探す用の掲示板を見たり。デンマークの精子バンクから取り寄せる予定だが、ドナーの方に日本人はいないので、海外の方の精子になってしまうというのが少し懸念ではある。やっぱり情報量がかなり少ないので、本当に探り探りという感じだ」(ぽっちさん)。
いずれも3人きょうだいの家庭に育った2人。できれば子どもはたくさん欲しいと考えているが、法的な難しさもある。「婚姻ができないので、戸籍上、2人ずつ産んであげないと、社会的に1人は“一人っ子”という扱いを受けてしまうそれがかわいそうだったので、2人ずつ産んだ方がいいんじゃないかなと考えた。ただ、セミナーでは、一回の妊娠のために50~100万円くらいの費用を考えた方がいいと聞いたので、4人となると、かなりの費用がかかることになる」(ぽっちさん)。
そのため、掲示板等を通して提供者を探すことも考えているという。
■「同性婚を早く認めて」
LGBTQの妊活や子育てを支援している「こどまっぷ」の長村さと子代表理事によると、精子バンクが未整備の日本においては、知人など、信頼できる人から精子の提供を受けるケースが多いという。
「倫理の問題や産まれてきた子どもたちに関する法律面の整備はもちろん、出自を知る権利などの議論がなされている状況というのが現実だ。海外の精子バンクを利用する場合、だいたい7万円前後で、輸入に5万円ほどかかる。ただ、やはり日本では病院で受けてくれるところはない」。
最後にぽっちさんは「私たちが不妊治療を受ける権利がないというのもそうだが、まずは子作りの制度というのを整えて欲しい。そもそも婚姻していればできることはたくさんある。だから同性婚ができることに越したことはない、ということだ。日本でも、早くできるようになって欲しい」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏