プロレスリング・ノアのシングルリーグ戦「N-1 VICTORY」は、中嶋勝彦の優勝で幕を閉じた。8月にタッグパートナーである潮崎豪を裏切り反体制ユニット・金剛に加入。その存在感を高めていた中嶋。決勝で清宮海斗と対戦することが決まると「お前のヒーローごっこは終わりだ」と毒づいた。今の中嶋は、いわばダークヒーローだ。
リーグ戦で拳王、丸藤正道、杉浦貴とトップ選手を総ナメにした中嶋は、10.11大阪大会の決勝戦でも実力を見せつける。
序盤はこのところ多用しているヘッドロックで清宮がペースを握る。しかし場外戦で中嶋が盛り返すと、一気に流れが傾いた。
中嶋の主武器は鋭く、重く、かつ的確なキック。ミドルキックに加え清宮の顔面を赤く腫らしたビッグブーツにトラースキック、バックキック、走り込んでのサッカーボールキックとバリエーションも豊富だ。コーナーに寝かせた清宮のボディを蹴り上げると、その体が30cmほども浮き上がった。
清宮も高さのあるドロップキック、必殺技タイガースープレックスで勝負をかけるが、土壇場の競り合いでも中嶋が上回った。大技のかわしあいから死角を突いてのハイキック一閃。これで清宮はほぼKO状態だったが、中嶋はさらにダイヤモンドボムでマットに叩きつけた。完璧な3カウントだ。
「中嶋優勝を予想してましたが、ここまで圧倒的とは...」
解説の小橋建太も脱帽する優勝劇。リングに上がってきた因縁の元タッグパートナー、現GHCヘビー級王者の潮崎豪には「優勝したということは俺が一番強いんだよ。そのベルトをかけて、チャンピオンの挑戦を受けてやる」と言い放った。
蹴りだけでなく桜庭和志とも堂々と渡り合う寝技など、これまでにも実力を高く評価されてきた中嶋。今はそこに“悪の魅力”も加わった。潮崎との運命のタイトルマッチは11月22日の横浜武道館大会。ノア初進出となる会場でのビッグマッチで、団体の今後の流れが決まる。