ブーメラン恐れ? 菅総理の著書改訂で「公文書管理」の記述消える 「削る必要はなかった」
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 政権発足後、初めての外遊でベトナムとインドネシアを訪問中の菅総理大臣。そんな菅総理の著書『政治家の覚悟』が20日に発売された。

【映像】菅総理の著書改訂で「公文書管理」の記述削除

 野党議員時代の2012年に刊行した単行本を改訂した新書で、全244ページ。官房長官時代のインタビューが追加収録される一方で、「公文書の管理の重要性」を訴える記述があった章は削除されている。

 2012年に単行本として発売された『政治家の覚悟 官僚を動かせ』は、菅総理の就任後、ネット上で高額で取引されていたという。今回の改訂版で削除されたのは、旧民主党の政権運営などを批判した章。この中で、東日本大震災後の民主党政権の議事録の保存状態を問題視し、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と公文書管理の重要性を訴えていた。

ブーメラン恐れ? 菅総理の著書改訂で「公文書管理」の記述消える 「削る必要はなかった」

 そして、きょうの加藤官房長官の会見でもこの本が話題に上がった。加藤官房長官は「総理が政治家として出版された著書なので、政府の立場としては発言は差し控えたい」とした上で、「公文書を適正管理するのは重要である。引き続き、行政の適正かつ効率的な運営や国民の皆様への説明責任を果たすべく、公文書管理法のルールにのっとり取り組んでいきたい」と述べた。

 公文書管理の記述が消えたことについて、BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「右か左か、保守か革新かは関係なく、公文書をきちんと残すというのは民主主義の土台。未来の人たちが“この時、何があったんだろう”と検証する時に、その資料がないと困る。本にもともと入っていた記述はとても良いことを言っていたし、削る必要はなかったので残念だ。官房長官時代に記者会見で書籍のこの発言について突っ込まれていることもあって、“ダブルスタンダード”“ブーメラン”だと言われることを避けるために削除したのかなと思う。言行不一致という批判を受けた時に、発言を変えるか行動を変えるか。今回は行動を変えたくないので発言を削除したのかな、と思ってしまう」との見方を示す。

ブーメラン恐れ? 菅総理の著書改訂で「公文書管理」の記述消える 「削る必要はなかった」

 また、中曽根元総理の書籍の「政治家の人生は、その成し得た結果を歴史という法廷において裁かれることでのみ、評価される」という発言を紹介し、「その言葉の通り、中曽根さんは生前の活動記録を国会図書館に寄託している。新聞報道によると、秘書には『いいところだけ出すと歪みが生じる。全部出さないと公正な判断ができなくなる』と語っていたという。中曽根さんは毀誉褒貶の激しい人だが、菅さんにとっては保守政治家の大先輩であり、自民党の先達でもある。(中曽根元総理の葬儀で)政府は最高裁や大学に弔意を表明するように要請したが、それよりきちんと公文書を残して後世の歴史の審判に委ねるという中曽根さんの政治姿勢を見習い、受け継いでいってほしい」と述べた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

※追記

 なお、改編の理由について、文春新書編集部からは以下の回答が得られた。

 本書は、2012年3月に刊行された単行本「政治家の覚悟 官僚を動かせ」をもとに、菅氏の官房長官時代のインタビューなどを加えて新たに編集したものであり、特定の文言の削除を意図したものではありません。

 今回、2012年3月刊行の単行本をもとに新たに新書版を編集する過程で、菅氏が2012年12月に官房長官に就任して以降の発言を加えたいと考え、官房長官時代に月刊「文藝春秋」で行ったインタビュー記事4本を再録することにいたしました。その部分が、新書版の「第二部 官房長官時代のインタビュー」(187ページから242ページの計56ページ分)にあたります。

 一方で、単行本「政治家の覚悟 官僚を動かせ」の「第三章 政治主導をはき違えた民主党政権」と「第四章 東日本大震災で露呈した政府の機能不全」(179ページから212ページの計34ページ分)については、本の総ページ数など全体のバランスを考えた上で、編集部の判断で割愛することにしました。

 今回、一部報道で単行本から削除されたと指摘のあった「千年に一度という大災害に対して政府がどう考え、いかに対応したかを検証し、教訓を得るために、政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。」という箇所は、「第四章 東日本大震災で露呈した政府の機能不全」の中で、当時の民主党政権の東日本大震災への対応について述べたものです。当該箇所のみが意図的に削除されたかのような報道も散見されますが、そうした意図は全くなく、上記に述べた編集上の理由によるものです。

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