「子どもに安心安全心地よい肌着」
オンラインストアのコメント欄に相次ぐ感謝の声。その声は全て、ユニクロが販売する“ある商品”に向けられていた。それが1着の「ボディスーツ」。
上半身は前開きになっていて、長い裾の下には股下を覆ってボタン止めができる。頻繁におむつ替えをする赤ちゃんが着るボディスーツと同じ形状だが注目すべきはそのサイズ。110cmから160cmサイズまでと、かなり大きめのサイズまで展開しているのだ。
なぜ、160cmサイズのボディスーツに感謝の声が相次いでいるのか。
「子どもが脳性まひの障がい児で、股のところにボタンがついていると抱き上げた時にお腹が出なくて安心でした。ただ大きめのサイズがないので、今までシャツとパンツを縫い合わせて、ボタンを自分で付けてミシンで作っていました。本当にありがとうございます」
「胃ろう(お腹に開けた穴にチューブを通し胃に食べ物を流し込む方法)や呼吸器があり、かぶり着用が出来ない子には本当に悩みの種でした。ユニクロさん、大きめサイズ、値段の抑え、完璧です。ありがとうございました」
障害を抱えていたり、胃ろうのため直接胃に栄養を投与したりする子どもを持つ親にとって、前開きで大きめのサイズのボディスーツは必需品だ。しかし、これまでは値段も高く、購入しづらかったという。
『ABEMAヒルズ』は、実際にユニクロのボディスーツの購入を決めた人に話を聞くことができた。
「子どもに生まれつきの病気があって、去年入院して手術をしたんです。頭からかぶるとなると、傷口が開いてしまったりして危ないんですけど、寝ながら脱ぎ着ができるものが必要ということで『用意してください』と言われました。病気とか障害がある子どもというのは、そういう前開きの服がすごく必要なんだなというのをその時に実感しました」
ユニクロが大きいサイズを出したことには大きな安心感があるという。
「すごく助かります。ひとつひとつがすごく高価になってしまうものなのですが、ユニクロが作ると大体1枚1000円くらいで買えるので。毎日着るもので、1日にもしかしたら何回か交換する方もいると思うので、たくさん買えるというのもすごく安心感ですね」
今回、手頃な価格と使いやすさを実現したユニクロ。商品開発のきっかけは、子を持つ親からの声だった。ユニクロは「市場調査の中で、このような商品が世の中にあまりないこと、また、あっても高額であることがわかり、実際に必要とされる方のご意見を直接伺ったときに、お母さまが手作りされていたりしているといったお話を伺いました。こういった声を受けて、子どもの下着として買い替えやすい価格で、着ている子どもが快適に過ごすことができ、さらには、親御さまにとっても着替えさせやすい商品を作りたいと思って実現に至った商品となります。今後もお客様の声に応え、商品開発を行ってまいりたいと思います」としている。
ユニクロのボディスーツについて、BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「Twitterでも話題になっていたが、すごくいい取り組み。多くの人にバカ売れするようなものではないと思うが、障害を抱えたお子さんを持つ親御さんなどは切実に必要としている商品だ。こういうものを業界のリーディングカンパニーであるユニクロが商品化するというのは、社会的な意義が大きい。企業の社会的責任(CSR)と聞くと環境保護などをイメージしがちだが、本業の中で社会の役に立とうとするこうした取り組みも、十分にCSR的だと思う」と話す。
また、環境(Environment)と社会(Social)、企業統治(Governance)に積極的に取り組んでいる企業に投資をする「ESG投資」の機運が高まっているとし、「まさにこういった取り組みが企業価値を高めることになる。“情けは人の為ならず”で、巡り巡ってユニクロ自体のブランディングにもつながっていくと思う」との見方を示した。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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