杉浦貴&桜庭和志のノア・GHCタッグ王者コンビが2日連続で後楽園ホール登場を果たした。
10月27日、桜庭がプロデュースするグラップリング大会『QUINTET』では、エキシビションマッチで両者が対戦。足関節技を禁止したグレコローマンルールで、一本となっても8分間フルタイムまで試合が続くアイアンマンマッチだ(一本数1-0で桜庭勝利)。8分間とはいえいつもと違うルール・競技だけにかなり疲労度も高かった模様。それも含めて「刺激になった」と杉浦は言う。
翌28日はノア後楽園大会で王座防衛戦。挑戦者のマサ北宮&征矢学は団体でも屈指のパワーファイター。桜庭はQUINTETの会場でも「相手がデカいので気をつけないと」と語っていた。
とはいえベテランならではの余裕と経験値もある。桜庭はチャンピオンベルトとともにおなじみのオリジナルベルト「SAKUベルト」を巻いて入場。杉浦も「SUGIベルト」とGHCタッグでベルト2本。杉浦曰く「自称・二冠王」だ。
試合開始直前「桜庭出てこい!」と吠える征矢に、桜庭は「呼び捨てすんな!」。ベルト奪取に燃える挑戦者をあしらうと、ゴング後は弾道(ラリアット)を武器にする征矢の腕に関節技地獄。杉浦はマット界随一の鋭さを誇るエルボーを連打していく。
桜庭が北宮のセントーン、ブレーンバスターで悶絶するなどピンチの場面もあったが、サブミッション一発で試合を決められるのが桜庭の強み。勝負どころと見た征矢の突進に飛びついて腕を取り、腕を固めてタップを奪った。
試合後のリングには丸藤正道が上がり、タイトル挑戦表明。パートナーは船木誠勝だ。桜庭と船木という“U系”がルーツにある選手同志がノアのベルトを争うのは興味深い。杉浦と船木の激突も新鮮だ。
「桜庭さん、ノアのリングでプロレス楽しんでますね。そのベルトかけて、もっと楽しみませんか」
丸藤の言葉に桜庭はインタビュースペースで答えている。
「本当に楽しいですし、楽しんでやったほうがいいですからね。(杉浦が)頑張ってるんで自分も頑張らないと」
杉浦は丸藤の挑戦表明に「いつにする?」と即答。モチベーションの高いベテラン4人には、次のビッグマッチである11.22横浜武道館大会でのタイトルマッチが用意された。
ちなみにフィニッシュの技名は「変型キーロック2」に決まったが、桜庭は取材陣に「杉浦ロックでいいんじゃないですか?」。さすがに「オレ何もしてないじゃん(笑)」(杉浦)ということで却下となったが、51歳の桜庭と50歳の杉浦は最後まで肩の力が抜けた名コンビぶりを見せたのだった。
文/橋本宗洋