今年6月、東京・新宿の歌舞伎町では“スカウト狩り”が横行し、ネット上では「#スカウト狩り」という文字とともに歌舞伎町での乱闘騒ぎが数多く投稿され、社会に不安が広がった。先週水曜日には集団で殴る蹴るなどの暴行を加えた疑いで指定暴力団住吉会系の組員・吉川八代隆容疑者と職業不詳の西田寛昭容疑者ら男7人が逮捕された。スカウトと暴力団員…いま、歌舞伎町で一体何が起こっていたのか。
自身も歌舞伎町に住み、裏社会を中心に取材活動をする裏社会ライターの國友公司さんは今回の騒動の背景について「コロナ禍でスカウトは大忙し。緊急事態宣言の時、(風俗嬢やキャバクラ譲は)都内で稼げないのでみんな地方へ出稼ぎに出た。地方に出たことでよりスカウトの力が必要になった」と話し、人材不足の夜の街において繰り広げられた熾烈なスカウト競争が今回の騒動の発端になったと指摘する。また、本来ではご法度とされている他グループからの優秀なスカウトマンの引き抜き行為が頻発したことも、騒動を大きくする要因になったと述べた。そこで、騒動の調整役として登場したのが、それぞれのスカウト会社と繋がりのある暴力団だった。
歌舞伎町で4人のスカウトに声をかけられたという2人組の女性は「キャッチもキャッチで仕事。逆に仕事を失った人が、仕事を求めてスカウトを探している」など、コロナ禍で変わりつつ夜のスカウト事情について明かすと、別の2人組の女性たちは「もうスカウトは路上に立たないでネットに移行する人も多い。違う職業だった人がスカウトやキャッチに入ることが多くなった印象だ」などと話した。
スカウト歴6年の現役スカウトの男性は「新宿でうまくいかないスカウトマンが、競争や規制の少ない銀座に流れている傾向がある」と最近のスカウト事情について明かすと「警察の取り締まりは六本木も渋谷も歌舞伎町もどこも厳しい。そういう人は銀座に来ることが多い。銀座は(条例や規制が)緩い」と続けた。
またスカウトした際にもらえる報酬については「歌舞伎町で10万~20万。すごくいい子だと30万~50万ということもある。トップスカウトマンであれば、月の収入が3桁から4桁に届く人もいるが、コロナの影響で減ってきているので、他の地域に誘導してあげるというのが、今の仕事になりつつある」と業界の今を明かした。
基本的にスカウトが得る収入には紹介契約と売り上げ契約の2種類がある。紹介契約は前述の通りで、売り上げ契約については、紹介した女性の月の売り上げから10%(100万円を売り上げたら10万が入る)が主流で、女性が紹介した店舗を辞めるまで、この契約は継続されるという。
今回の騒動について「以前から話題になっていた」と話すのは週刊SPA! 副編集長の田辺健二氏だ。田辺氏は先日行ったという歌舞伎町スカウトマンへの取材で聞いた話として「コロナ禍で派遣切りや職を失った非正規雇用の女性がスカウトされるために歌舞伎町に来るというケースは増えている。その他にもSNSを活用し、東京のスカウトマンが地方の女性をキャッチするなどの遠隔スカウトが流行っている」などと“夜の街”の実態を明かした。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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