イギリスでは英国版“Go To イート”で経済活動を早く回しすぎた?…欧州で再び感染が拡大中
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 新型コロナウイルスの深刻な拡大が続いているヨーロッパ。フランス・パリでは約1カ月間の予定で2度目のロックダウンがスタート、イギリスでも5日からロックダウンが始まった。また、ドイツでも娯楽施設の閉鎖が決定、来年5月上旬までという長い緊急事態宣言に入っているスペインでは規制に反対するデモも起きている。

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 キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷健司氏は「自分の意見を主張する方も結構いるし、たまにデモも起きているが、多くの人はマスクを着け始めているし、警戒もしている。陽性者数の増加は、一つには無症状者、軽症者も含めて検査をしているので増えているというところがある。ただ、同時に陽性率も非常に高くなっているし、死亡者も増えてきているので非常に警戒しているところだ。今、日に20%ぐらいずつ患者は増えているので、重症者、死亡者もこれからさらに増えていくと思う」と話す。

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 渋谷氏の住むイギリスでは、日本の「Go To イートキャンペーン」に似た政策が感染を拡大させたとの指摘もあるようだ。「バカンスが明け、8月から“Eat Out Help Out”という、外食産業を助けようというキャンペーンが始まった。それによってかなり密な状態ができたり、気が緩んでマスクをしない状態が増えていたことが指摘されている。第1波で早め早めの対処が必要だと学んだはずだが、やはり欧州の経済状況が非常に悪いので、なんとか経済活動を止めたくないという思考があると思う。9月の後半には専門家会議が短期間・限定的なロックダウンを提案したものの、拒否された。結局、今になって大がかりな長期のロックダウンに入った。やはり安心して経済活動できない状態が続いている」と説明する。

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 「人が動けばウイルスは動くし、市中感染もまだまだ起きる状態だ。基本的にはコロナは山火事と一緒で、至る所にボヤが起きるので、クラスター対策をするということが必要だ。あとで検査を増やしても遅く、ボヤの段階から火種を潰していくしかない。こちらでも検査、追跡、隔離をやろうとしていたが、それが拡大する前に一気に広がってしまった。手を洗い、マスク、ソーシャルディスタンスに加えて、検査の網を広げて早期に対応していく。それしかないと思う」。

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 翻って日本では新規感染者数の増加は抑え込めているように見えるものの、北海道の鈴木知事は「感染が拡大をしていった場合、道民の皆様に対する不要不急の自粛など、さらに強い措置もお願いせざるを得なくなる」と警鐘を鳴らしている。関西福祉大学教授の勝田吉彰氏は冬場の北海道について「気密性の高い“二重窓”の住宅が多いため、密閉空間が発生しやすく、飛沫感染・エアロゾル感染が増える。換気することが大事だ」と指摘している。

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 渋谷氏も「こちらのメディアや学者の間でもアジア・太平洋の活動、特にニュージーランドとかベトナム、中国、韓国、台湾の抑え込んでいる状況は日々報道されているし、そこから学ぼうという姿勢は少しずつ出ている。ただ、やはりこれは時間との勝負なので、後手に回ったら大変だというのを第1波で学んだはずだが経済を回さないといけないというジレンマがあって今に至ってしまった。イギリスでも8月以降、乾燥した室内で過ごす時間が増えることで感染リスクが高まっている。日本でこれを繰り返してほしくない。北海道もここまで広がってくると、厳しい状況も考えないといけないかなと思う。やはり基本をきちんとやった国とやらない国の差が出ている。本当に早期対応。政府も含めて早期にやるかやらないかを示すことが大事だと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

渋谷氏「経済を回さなきゃいけないジレンマがある」
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