KO決着必至、上位ランカー同士の注目カードは蓋を開けてみたら噛み合わない展開に。互いの弱点と粗さだけが目立つ試合運びに、解説陣が思わずダメ出しをする事態に発展。さらにネットからも「なにやってんだ」「ずんどこ試合だな」など辛口コメントが飛び交った。
11月6日に放送されたONE Championship「INSIDE THE MATRIX II」でのティモフィ・ナシューヒン(ロシア) とピーター・バウシュト(オランダ)の対戦。ナシューヒンはONEの試合で左フック~サッカーボールキックという殺人コンボで「6秒KO男」として知られる豪腕。元UFC王者のエディ・アルバレスのONEデビュー戦でもKO劇を演じ、その名を轟かせた。
一方のバウシュトもONEの元王者エドゥアルド・フォラヤンといった強豪を倒し総合格闘技8連勝中。ONEのライト級ランキング3位と4位の次期挑戦者決定試合という位置づけ、ともにKO率の高さから、KO必至の激しい試合が予想された。
試合は1ラウンド、距離を縮めてパンチを振るが決定打がないナシューヒンと、前蹴りやローで距離を取り、ひたすら下がるバウシュトというじれったい展開。ラウンド後半にはナシューヒンがバウシュトの前蹴りをキャッチし、そのままテイクダウンに持ち込む場面が訪れるが、寝技にキレがない。一方、倒されたバウシュトの方も倒されてからの反応が致命的に遅い。両者が寝技に対する適応の低さを露呈してしまう。
その後も煮え切らない試合運びに試合を放送したABEMAの視聴者からも「なんかわちゃわちゃしているな」「ちょっと酷いなコイツら」との指摘が。すると解説を務めた大沢ケンジも「バウシュトは寝技の反応が良くない」と上位ランカーの思わぬ試合運びに苦言を呈した。
とくに大沢が指摘したのは、バウシュトが前蹴りを何度もキャッチされる失敗パターンだった。3ラウンド序盤、やや疲れが見えて失速ぎみのナシューヒンに対して、バウシュトの打撃が当たりはじめた矢先、この日6度目となる前蹴りキャッチ。これには大沢も「あ~、これなんだよバウシュト…何度掴まれてるんだっ!」とボヤくしかない様子。
さらに実況をつとめた西アナウンサーが「大沢さんがセコンドだったら、相当(気をつけろと)言いますよね」と話している最中に、狙っていたようにバウシュトが前蹴りを掴まれテイクダウンされると「お前のそういうところだよ。イージーだ」とバッサリ。ゲスト解説の岡見勇信も「流れが来ていたのに…」と苦笑い。
テイクダウン後に仕留めきれずにあっさり立たれてしまうナシューヒンにも、解説陣は容赦ない。大沢が「そういうところなんだよなぁ…」とダメ出しすると、岡見も「雑ですね…勿体ない」とポツリ。視聴者からも「簡単に立たせすぎ」「どっちもどっちだな…」「さすがに酷い」「ずんどこ試合だな」などと厳しい意見が寄せられた。
試合は仕留めきれなかったもののテイクダウンを奪うなど、終始優位に進めたナシューヒンの勝利。次期挑戦者を決める重要なカードにもかかわらず、両選手の粗さが浮き彫りになってしまった試合について大沢は「(両選手の)欠点がすごい見える分かりやすい試合でしたね。僕も含めて…」と、自身のやや辛口すぎたコメントに自戒を込めつつ総括していた。