11月17日の記者会見で、K-1は2021年最大のビッグマッチ『K'FESTA.4』(1月24日)の開催を発表。会場は新生K-1としては初進出となる、国立代々木競技場第一体育館だ。
そこに“帰ってくる”ことが発表されたのが京太郎である。旧体制のK-1でヘビー級タイトルを獲得。その後ボクシングに転向すると日本ヘビー級、OPBF東洋太平洋ヘビー級、WBOアジア太平洋ヘビー級と3つのベルトを獲得した強豪だ。コロナ禍により海外の選手と闘うことが困難となり、一度ボクシングのライセンスを返上。そこで選択したのがK-1だった。
「K-1には遊びに来ました。でも遊びも真剣なやらないと成功しない」
「先日、卜部の兄貴(卜部弘嵩)に会ったんですけど、K-1に出たら芸能人と結婚できると聞いて」
会見では取材陣を笑わせた京太郎。実は以前からK-1復帰の話があったという。ただその時は「ボクシングでやり残したことがあった」ために実現しなかった。卜部兄弟や武尊はかつて所属したジムの仲間。彼らが活躍する新生K-1には親近感もあったようだ。
「旧K-1がなくなってKrushでみんな頑張ってK-1がまたできて、これしかないと頑張ってきた。僕がまたここにこれたのも、みんなが盛り上げてくれたおかげ。僕はそこで全力で遊びたい」
会見後の単独インタビューでそう語った京太郎。2011年に転向したボクシングとK-1の違いについては、こんな表現をしている。
「ボクシングは勝敗がすべて。それに対してK-1には負けの美学もあります。ストーリー性があってエンターテインメントでもある。みんな(会見などで)ケンカするじゃないですか、ののしり合って。“自分が絶対勝つ”って。僕は“どっちか負けるのに”って思っちゃうタイプなんですよ。争いごとが嫌いで(笑)」
K-1では「派手にやらかしたい」という思いが強いそうだ。
「ヘビー級を体現しながら、K-1をにぎやかしていきたいですね。みんな真面目なんで、僕はこういうタイプで。それで僕が求められたと思ってるので」
元K-1王者、しかし蹴りの練習はほぼ10年ぶりとなる。久しぶりに蹴ってみたところ両足の皮がむけ、スネも柔らかくなった。
「なんせ蹴れないですね。ボクシングでは“蹴ったら3秒なのに”と思ってたんですけど(笑)」
ただボクシングで身につけた技術はK-1でも活きると考えている。ボクシング再進出も諦めてはいない。
「40歳までにボクシングの世界ヘビー級王座に挑戦したい。その時はK-1のベルトを持って上がりたいですね。それができるのは、アジアで僕だけだと思ってるので」
ボクシングと他競技の同時進行ができる環境を作るのも、自分の役目だと考えているのだ。
「これから格闘技をやる子たちに選択肢を作りたい。ファンの人もボクシングとK-1を行き来してもらえたら」
そんな野望とともに「17歳の時に目指した、テレビに出て有名になるっていう目標への新たなスタート」だとも。その意味でABEMAでの中継に映ることも嬉しいと京太郎。
「なんか(恋愛リアリティショーなど)いろんな番組あるみたいじゃないですか。ABEMAさん、今後ともよろしくお願いします。何でもやりますんで(笑)」
ちなみに初戦の対戦相手については「誰でもいいです。誰とやってもファイトマネーは一緒なんで。ファイトマネーが一緒なら弱いヤツがいいっていうのもあるんですけど」
とはいえ主催者からの期待は大きい。1.24代々木では「ワクワクするような」(中村拓巳プロデューサー)マッチメイクのプランもあるようだ。さまざまな可能性を秘めたK-1復帰と言っていいだろう。
文/橋本宗洋