強烈な右から左の連打でアゴが跳ね上がり、マットに吹っ飛んで転がった“ド派手”なKO劇に対して「アゴが跳ね上がった」「17発くらいボコボコ」「首は大丈夫か?」などと反響の声が上がっている。
11月20日に行われたONE: Championship「ONE:INSIDE THE MATRIX IV」で、日本の修斗が誇る”壊し屋”・高橋遼伍が「格闘代理戦争」出身の韓国人ファイターであるユン・チャンミン(韓国)を圧倒。2ラウンド2分52秒、ド派手なKO勝利を収めた。
高橋は吉本興業のタレント養成所に在籍経験がある元芸人という異色の格闘家。元修斗環太平洋フェザー級王者で、現在MMAの世界を席巻しているカーフキックをいち早く取り入れた使い手。過去の戦いで数多くの選手の足を蹴りで破壊したことから“壊し屋”のニックネームで知られている。
一方のユンは、「格闘代理戦争2ndシーズン」で秋山成勲に発掘された韓国人ファイター。ONEと契約後は破竹の4連勝中とネクスト・スター候補としての期待も大きい。
この対戦、日本では両選手の試合前の舌戦も話題になった。「高橋選手のファイトスタイルはもはや古い」と挑発した血気盛んなユンに対し、高橋も「TVの企画のポッと出に修斗の叩き上げが負けられない、ボコボコにしてやる」と応じている。
1ラウンド、高橋のカーフを警戒するユンは前蹴りで意識的に距離を取る。ユンが前に出てワンツーのジャブを放てば、高橋は右を合わせて応戦。遠い距離での探り合いが続くなか、カウンター狙いの高橋は距離が縮まると強烈なカーフキックを放っていく。ユンの左脚に2発目の蹴りがヒットするとユンが体勢を崩す場面も見られるなど、やはり高橋のカーフの威力は驚異的だ。
2ラウンド、カーフから入る高橋。前蹴りで距離を取って体勢を整え、ワンツーのユンが強引に距離を縮めた次の瞬間、高橋の狙い澄ました右ストレートがユンを捉える。一瞬、体勢を崩してマットに手をついたユン。ここはすぐに立ち上がったがダメージは大きくテイクダウンを許してしまう。
寝技の攻防から何とか立ち上がるタフさをみせたユンだが、足元はすでにフラフラ。一方、高橋はスタンドの攻防でも冷静だった。ユンがパンチを大きく空振りすると、それに合わせて右のオーバーハンド・フック。これを被弾したユンは前にダラりと頭を垂れながらも、何とか両足で踏ん張ったが、その後は高橋の追撃を浴びながらケージを逃げ回るのみの防戦一方。最後は高橋の強烈な右左がユンのアゴ、額のあたりを捉えると、ユンのアゴは激しく跳ね上がり、後ろに吹き飛ばされるようにマットに転倒。高橋が追撃のパウンドで襲い掛かったところで、レフェリーが間に入り試合を止めた。
衝撃的なKOシーンにABEMAの視聴者からは手数をカウントして「17発くらいボコボコ」といった驚きの声のほかに「右がモロにアゴに入った」「アゴが跳ね上がった」など興奮の声も。さらに「首は大丈夫か?」といった心配の声まで聞かれた。その後、スローのリプレイ映像が流されると「スローで見るとエグい」「精度が段違いだった」「手数少なく的確に当てる」など、高橋の打撃スキルを称賛する声が相次いだ。
快勝を収めた高橋は試合後、次戦の対戦相手に前王者のマーティン・ニューイェンらの名を挙げつつ、「もう1度タン・リーと試合がしたいです」と心境を告白。前回の対戦で敗れた現ONEフェザー級王者のタン・リーとの再戦を熱望。
さらに自身のユーチューブ・チャンネルで試合を振り返った高橋は「過去の映像を観たときに頭の位置が動かずにワンツーを打っていたので、ワンツーの“ツー”を打つときに右クロスが当たるかなとずっと思っていた」と作戦について明かしている。また対戦相手のユンについては「身体も大きく打撃のプレッシャーが強かった。印象に残っているのは力が強かったこと」と述べ、ユンの身体能力の高さを改めて評価した。