“スーパーノヴァ”・清宮海斗が見せた場外への芸術的なノータッチ飛翔が「全盛期の佐山サトルのようだ」「昔のサスケ」。さらに「ノータッチはすげえ」など、ファンの間で反響を呼んでいる。
11月22日に横浜武道館で開催されたプロレスリング・ノア「PRO WRESTLING NOAH 20th ANNIVERSARY NOAH the CHRONICLE vol.4」で、GHCナショナルチャンピオンの拳王が激闘の末、清宮海斗を胴締めスリーパーで葬って2度目の防衛に成功した。
エルボー合戦で幕を開けた戦い。場外フェンス越しで展開された拳王とのブレインバスターの攻防で清宮が片足を鉄柱に強打。ヒヤリとする場面もあったが、この日の両者は意外性のあるワザの応酬で新機軸を見せた。
とくに印象的だったのは、試合中盤に清宮が見せた珍しい超高角度からのネックブリーカー・ドロップ、さらにそこから怒涛のように繰り出した新ワザの数々。対角線に駆け抜けてノータッチで場外へと飛び出したトペ・コンヒーロは中でも圧巻だった。
鮮やかな飛翔にABEMAで解説を務めた週刊プロレスの井上光氏も「これははじめて(のワザ)ですね。スーパーウルトラタイガードロップみたいな感じです」と興奮気味に解説。この言葉に呼応するように視聴者からも「ノータッチはすげえ」「綺麗に決まった」「全盛期の佐山サトルのようだ」「昔のグレート・サスケみたいだ」など、空中殺法のレジェンドたちの名が次々と上がり、この試合で一番の盛り上がりを見せた。
その後も清宮がトップロープ上から突き刺すような超高角度のドロップ・キックを放つと、今度は拳王が清宮のドロップ・キックを空中で迎撃して全体重を乗せるフットスタンプ。互いに譲らない攻防に視聴者が沸いた。
清宮の閃きも光った。ロープ外から拳王のヒザ裏を狙い45度で振り落とすエルボー、さらにはニークラッシャーと見せかけて後ろに放り投げる脳天直撃の投げなど、徐々に拳王攻略に向け”裏の裏“をかく新しいワザを次々と繰り出していった。
勢いに乗る清宮のワザの数々に受けに立つ場面が目立った王者・拳王だが、一瞬で試合の流れを変える勘所の良さは抜群だ。清宮がフィニッシュを狙った2発目のタイガー・スープレックスのクラッチを振り払って背後にまわると、胴締めスリーパー。拳王の泥臭く実を取る、裸締め地獄の罠にハマった清宮は、目を見開いたままタップして壮絶に散った。
激闘から一夜明けた会見で拳王は「試合前はメチャクチャ言ってきたけど、まあ清宮海斗は本物だよな」とその実力を改めて認めていたが、敗れはしたものの、新たなアイディアを次々と繰り出す王者を追い込んだ清宮。そこに立ちはだかり持ち前の引き出しの多さを発揮した拳王。ときに舌戦も絡めつつ、リング内外で繰り広げられてきた2人の激しい抗争は、ノアマットで生まれた新たな「名勝負数え唄」だ。