同性婚の法制化を 賛同企業を“見える化”し「大きいうねりを起こすきっかけに」 多様化は「必然」のJTの取り組み

 今月18日、LGBTQ支援・当事者団体が、婚姻の平等に賛同する企業を可視化するため発足したキャンペーン、「Business for Marriage Equality(BME)」。このキャンペーンでは、同性婚に賛同する企業や同性カップルに向けた各企業の取り組み、さらには企業のトップや社員のメッセージなどをウェブサイト上で公開。キャンペーンに賛同する企業を「見える化」することによって、日本における同性婚の法制化を後押ししていきたいという取り組みだ。

【映像】同性婚に賛同する企業を“見える化”

 キャンペーンを運営する団体の一つ、同性婚訴訟を支援する団体「Marriage For All Japan」の代表を務める寺原真希子弁護士は、次のように話す。

同性婚の法制化を 賛同企業を“見える化”し「大きいうねりを起こすきっかけに」 多様化は「必然」のJTの取り組み

 「個々人が声を上げるということももちろん大切だが、企業が“企業として行動することが必要だ”ということを表明し、可視化するということが、同性婚の法制化の後押しとして非常に重要。企業が、人という意味でも経済という意味でも同性婚は必要だという声を上げるということが、大きいうねりを起こすきっかけになると思っている」

 現在、日本では海外と比べ、LGBTQの当事者たちに対する法律が十分に整備されていないということが課題となっている。OECD(=経済協力開発機構)が35の加盟国を対象にまとめた報告では、性的マイノリティーへの差別をなくすための法整備の状況は、日本は下から2番目の34位に当たるという調査結果も報告されている。

 寺原弁護士は、各自治体で導入が進んでいるパートナーシップ制度など「ここ数年で確かに進歩はあった」と振り返る一方、“世界との差”も痛感しているという。

同性婚の法制化を 賛同企業を“見える化”し「大きいうねりを起こすきっかけに」 多様化は「必然」のJTの取り組み

 「まだLGBTに関して日本にある法律は1つだけ。性同一性障害の方の性別の取り扱いの特例を定める法律1つだけで、諸外国だと同性婚の法制化もそうだが、性的指向とか性自認に基づく差別はダメだという包括的な禁止法が存在する。日本ではそれもないので、(LGBTQの)社員の方々の私生活が法的に安定していないという中で、職場でパフォーマンスを100%発揮しようと思っても、なかなか難しいという状況にあると思う」

 その上で、今回のキャンペーンのように一企業が旗振り役となり、アクションを起こすことに意義があると話す。

 「この同性婚の法制化への賛同表明へ象徴されるような、個々人を見た取り組みというのを企業がすること自体が、社員や我々個人からしてもとても勇気づけられるもの。『この企業が賛同表明するんだったら自分も声を出すことが怖くない』『勇気を出して言っていける』という励ましになるんじゃないかなと思っている」

同性婚の法制化を 賛同企業を“見える化”し「大きいうねりを起こすきっかけに」 多様化は「必然」のJTの取り組み

 そんな思いから立ち上がったこのキャンペーンには、現在134社の企業が賛同を表明。その多くを外資系企業が占める中、日本の企業である日本たばこ産業(JT)も賛同を表明している。

 JTでは2016年から、自社の社員のLGBTQの理解促進に向けた本格的な取り組みを開始。社員へのeラーニングや講習会などを継続的に実施している。その取り組みが評価され、LGBTQに関する取り組みを評価する「PRIDE指標2020」において、5年連続で最高位となる「ゴールド」を受賞した。

 JT・人事部次長の多田羅秀誠さんは、自社の取り組みについて次のように話す。

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 「例えば、育児介護に関する休暇だったり、休職だったり、住宅関係の補助も世帯ありという形で使用できたりする。人事配置についてはいろいろな場面があるが、基本的には区別をしないような形にしていて、結婚しているものと同等の扱いとしている」

 その一方、日本企業におけるLGBTQ当事者を取り巻く就業環境は、いまだ十分な整備がされていないのが現状だ。auじぶん銀行がビジネスパーソン1000人に対して行った調査によると、およそ半数が「自らの職場で制度が整っていない」と回答したという。

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 多田羅さんは、LGBTQ当事者への理解を深め多様な人材が活躍できる環境をつくることは、自社の成長に欠かせないことだと話す。

 「今だと、新入社員や新しく管理職になる社員に対する研修の中には、多様化という文脈の中でLGBTQの関係の話をしっかり入れるようにしている。会社として、多様化というのは必然であって、すごく重要なことだと位置付けて、経営課題のひとつにもしている」

 全ての人々が、幸せになるために声を上げる。これは決して特別なことではない。

同性婚の法制化を 賛同企業を“見える化”し「大きいうねりを起こすきっかけに」 多様化は「必然」のJTの取り組み

 「今回みたいな取り組みが『当然だよね』『当たり前だよね』という意見がたくさん増えるような、そういう世の中になって欲しいなと思っている」

 こうした取り組みについて、日建設計で新規事業のコンサルティングを行い、トランスジェンダーとしてLGBTQに関する講演会も行う建築家でモデルのサリー楓氏は「大きな企業が声を上げることで、その関連会社や子会社にも大きく波及していく非常にいい試みだと思う」とした上で、現状の課題について次のように指摘する。

 「パートナーシップ制度と同性婚は大きく異なる。パートナーシップ制度は自治体レベルで取り組まれているもので、例えば引っ越した先が制度のない自治体だと引き継ぎが難しかったりする。そういった場合に、結婚しているとみなすかどうか、社員の福利厚生に反映させるかどうかは、企業の判断による」

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 サリー楓氏は、髪についてひとりひとりの個性を考えるパンテーンの「#PrideHair」キャンペーンのCMに出演しているが、「多くのユーザーに支持されるブランドとして社会的なミッションを果たそうとしている、と捉えている」とした上で、「池上彰さんが『消費は投票である』とおっしゃっていた。消費者が何を買うのか、どんな製品を使うのかは、そのブランドが目指している世界観に共感し、投票を行うということである。ブランドがユーザーを作っていくのではなく、ユーザーがブランドを作っている。私たち消費者がどの製品をどのような理由で支持するのかが、結果的にブランドのあり方を決めていくと思う。消費が民主的になってきている時代の広告のあり方だと思って出演させていただいた」と考えを示した。

 では、こうした活動やCMによって若者にも考えは広まっていくのか。「取り組まれている企業を見ると、若い世代を客層としたメーカーが目立つ。彼らが日常的に触れている商品やサービスを提供する企業が同性婚の取り組みに名前を連ねていると、非常に勇気をもらえると思う。当事者だけでなく非当事者の方々も、いい世の中に向かっていると実感できるのではないか」と述べた。

(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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