主人公スバルが、死んで時を戻す「死に戻り」の能力で、目の前の難題を克服していくTVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」(以下、リゼロ)。1期では、この力によって明るく新しい未来が切り開かれたが、今年7月から始まった2nd seasonは、前半クール13話で6回の「死に戻り」しても事態が好転せず、謎は深まるばかりという展開になっている。この前半クールでメインキャストばりに活躍したのが強欲の魔女・エキドナだ。ナツキ・スバル役の声優・小林裕介に、エキドナとの関係や、墓所で与えられた試練について話を聞いた。
【動画】深まる謎をもう一度「Re:ゼロから始める異世界生活」2ndシーズン
-2期の前半クールは、キービジュアルが示したとおりスバルとエキドナのシーンが数多く描かれました。
小林裕介(以下、小林)
最初にスバルとエキドナが邂逅した時、エキドナは自分が強欲の魔女であり、世の知識をこれでもかと持っているという提示をしてきている時点で、僕自身は「これは味方フラグだろう」と思ったんですよ。死に戻りで一番必要なのは情報ですからね。だからきっと食いつくだろうと思ったんですけど、スバルがなかなか好意的な色を見せないんですよね。今までも魔女に苦しめられてきたから、「魔女」と名乗る人を信用しないのは当然なんですが、それにしてもかなり素っ気ない態度だったので、僕はちょっと驚きましたね。結局、王選関連のことに巻き込まれて長いので、簡単に人を信用しちゃいけないとか、防衛本能が植え付けられているのと含めて、なかなか距離を縮められなかったのかなと思います。
-確かにそれだけ救いになるなら、すぐに手を取るようにも思えます。
小林
話が進んでいくうちに、やはり一筋縄ではいかない存在なんだなというのがわかりました。エキドナの物言いが、いつもどこか曖昧で、フワフワしていて。(エキドナ役)坂本真綾さんの演技も相まって、つかみどころがないまま会話をしていた印象があります。ロズワールやベアトリスと同じように、言い合いにはなっているんですが、常にエキドナの手の平の上で踊らされているような不安定感はいつもありました。なんとも言えない、アフレコ現場でしか感じられない、不思議な感覚がありましたね。
-今回、エキドナからの試練として、現実世界の両親と語り合う回(29話=親子)がありました。
小林
お芝居をする上で、スバルの「家族」と「それ以外」への態度は、絶対に違うんです。スバルがみんなに対してどこかテンションが高くいるのも、自分を知らないからこそ通じているもので、それに流されている周りの人も多いんです。でも今回、親はスバルの全てを知っているので、本人が強がってもバレるし、全てを見透かされている恥ずかしさは、常にもっていたいなと思いました。スバルというよりは、僕もいろいろ経験があって、いまだに親と話す時に恥ずかしいというか照れくさいというか、そういうのが出るんですよね。それをスバルにも投影できたらいいなと思いました。
-親と子の関係は他人以上に難しいものもあります。
小林
いろいろ頑張った結果、うまくいっていない現実を親は知っていて、その結果スバルも引きこもりにもなっていて、その現実を知っているプラス、そんな中で怒りもせずに見守られていることの恥ずかしさ、なんです。本人も言っていましたけど、怒ってほしかったし、お前なんかうちの子じゃないくらい、言われた方が気が楽になるだろうし、側にいてくれることが子どもからしたら、結構しんどいこともあると思うんです。そういうのを全部含めて恥ずかしいって感じでしたね。
スバルのお父さんが偉大な存在で、スバルはやっぱり自分と比べて優劣をつけてしまう。そんな親にダメなところを見せてしまっているのが心苦しいし、なんでもかんでもマイナスに捉えてしまう。スバルは大変なところに生まれましたね。
-もう一つの試練では、スバルの死後の世界を多数見せられることになりました。(37話=魔女たちの茶会)
小林
僕自身、スバルの死後を考えなかったわけでもないし、スバルも深く考えないようにしつつも、最初の方は考えていたと思うんです。僕が考えていたのは、死んだ後の世界がどうなったのかという全体的な世界の話であって、誰が悲しむとか、どう悲しむとか、そういう一人一人のキャラクターの心情までは、実は考えていなかったです。今回、原作者が書くっていうことは、これが現実なんだと受け入れざるを得ない、過酷な状況でした。
-特に1期では、スバルの死に対して、周囲の反応もかなり温度差があります。
小林
悲しむだけじゃなくて、ラムなんか嫌悪感を示して吐き捨てたりもするし、エミリアも周回によっては、結局、スバルとはなんだったのかわからず終いで戸惑っている、ただ悲しんではくれないんだという現実を見せつけられましたね。思った以上に、薄情な世界もあるんだとは思いました(苦笑)。僕ですらそのちぐはく加減がすごく苦しかったので、スバルはもっとつぶされそうだったんじゃないかと。(原作の)長月達平先生もおっしゃっていましたが、この試練はスバルにのみとんでもない、過酷なものだったなと思います。
(C)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
アニメ『 Re:ゼロから始める異世界生活』放送回一覧(動画リンクつき)
話数 | サブタイトル(タップで動画へ) | 見どころ |
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1 | 始まりの終わりと終わりの始まり | はじめての死に戻り |
2 | 再会の魔女 | 激怒するエミリア |
3 | ゼロから始まる異世界生活 | イケメンがみんなを救う |
4 | ロズワール邸の団欒 | 目覚めると双子のメイドが |
5 | 約束した朝は遠く | 目覚めて気づく死に戻り |
6 | 鎖の音 | 敵の正体はまさかのレム |
7 | ナツキ・スバルのリスタート | 崖から飛び降りリスタート |
8 | 泣いて泣き喚いて泣き止んだから | エミリアたんの膝枕 |
9 | 勇気の意味 | 鬼化して高笑いするレム |
10 | 鬼がかったやり方 | ラムを投擲するスバル |
11 | レム | 「鬼がかってますね」 |
12 | 再来の王都 | 王選候補者・フェルト |
13 | 自称騎士ナツキ・スバル | スバルを拒絶するエミリア |
14 | 絶望という病 | レムに膝枕されるスバル |
15 | 狂気の外側 | 脳が、震える震える |
16 | 豚の欲望 | 霧から覗く巨大な目玉 |
17 | 醜態の果てに | ラムにも忘れられるレム |
18 | ゼロから | 1から、いいえ、0から |
19 | 白鯨攻略戦 | 妻を愛するヴィルヘルム |
20 | ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア | ヴィルヘルムと妻の過去 |
21 | 絶望に抗う賭け | 白鯨との戦いが決着 |
22 | 怠惰一閃 | ペテルギウスを撃破…? |
23 | 悪辣なる怠惰 | 体を乗っ取られるスバル |
24 | 自称騎士と最優の騎士 | スバルとユリウス共闘 |
25 | ただそれだけの物語 | 「レムって誰のこと?」 |
26 | それぞれの誓い | 新たな魔女教大罪司祭 |
27 | 次なる場所 | “強欲”の魔女エキドナ |
28 | 待ちかねた再会 | エキドナとお茶会 |
29 | 親子 | 目覚めると現在の日本 |
30 | 踏み出した一歩 | エミリアを抱きしめる |
31 | 少女の福音 | レムと再会するラム |
32 | ユージン | 捕らえられたスバル |
33 | 命の価値 | 兎に食べつくされる… |
34 | らぶらぶらぶらぶらぶらぶゆー | “暴食”の魔女ダフネ |
35 | 地獄なら知っている | ペトラとデートの約束 |
36 | 死の味 | 泣きわめくベアトリス |
37 | 魔女たちの茶会 | 目覚めたらレムが… |
38 | 泣きたくなる音 | “嫉妬”の魔女サテラ |
39 | STRAIGHT BET | パックと契約破棄 |
40 | オットー・スーウェン/信じる理由 | 大きな喧嘩とキス |
41 | クウェインの石は一人じゃ上がらない | “見えざる手”アッパー |
42 | 記憶の旅路 | エミリアの過去の記憶 |
43 | 平家星の笑った日 | “虚飾”の魔女パンドラ |
44 | エリオール大森林の永久凍土 | フォルトナの最期 |
45 | 聖域の始まりと、崩壊の始まり | スバルVSロズワール |
46 | 咆哮の再会 | ラムVSロズワール |
47 | 水面に映る幸せ | 号泣するベアトリス |
48 | 血と臓物まで愛して | エルザと決着のとき |
49 | 俺を選べ | スバルを選ぶベアトリス |
50 | 月下、出鱈目なステップ | スバルとエミリアのダンス |
51 | 劇場型悪意 | おぞましすぎるシリウスの力 |
52 | 氷炎の結末 | 掛け声まで可愛らしいエミリアのバトル |
53 | ゴージャス・タイガー | ガーフィールの男気、ミミの「よしよーし」 |
54 | 都市庁舎奪還作戦 | スバル、渾身のお姫様抱っこ |
55 | 濁流 | “ゲス顔エミリア”の罵倒 |
56 | 騎士の条件 | プリシラの圧倒的火力 |
57 | 最も新しい英雄と最も古い英雄 | 心震わす大演説 |
58 | いつか好きになる人 | 反撃の狼煙が上がる! |