新型コロナウイルスの感染が再び全国的に広がってきている中、東京では夏以降のテレワークの実施率が伸び悩んでいるという。
東京商工会議所が実施したアンケートによると、テレワークの実施率は5月29日から6月5日の間で67%だったのに対し、9月28~10月12日の間では53%に下がった。
東京都は12月1日~来年2月28日まで冬の実践期間として、「スムーズビズ」の定着を呼びかけている。具体的には、「テレワーク東京ルール実践企業宣言」として、社内事情に合わせたテレワークのルールを定めて実践宣言した企業を都のホームページで紹介し、先進的・モデル的な取り組みを「OKYOテレワークアワード」として表彰する予定だ。宣言企業は、融資利率の優遇や信用保証料の補助などが利用できるという。
テレワークの低迷について、元IT起業家で作家の関口舞氏は「テレマークは働いている社員の方々からは好評なようで、日本生産性本部の調査によると、コロナ収束後もテレワークを続けたいと回答している人が6割いる。ただ一方で、半分以上の人が仕事の能率は下がっていると答えていて、こうなってくると当然会社側としては及び腰になってくるというのはあると思う」と話す。
また、テレワーク下で会議が増えているといい、「海外のビデオシステム会社の調査で、週に11回以上会議に出席している人はオフィスワーカーで3%だが、リモートワーカーになると14%まで上がってしまう。同じ空間で働いている時に比べて、報告や進捗確認というような形での会議がどうしても増えてしまうという、コミュニケーションの課題はあると思う」との見方を示した。
では、どうすればテレワークは浸透してくのか。関口氏は「コロナ前から研究してやっている会社が参考になると思う。アメリカのオートマチック社では、60カ国以上の700人以上の社員がコロナ前からフルリモートでオフィスがない状態で働いている。いろいろな試行錯誤の結果、会社の負担で年に数回集まって、チームビルディングの合宿をしてコミュニケーションや絆を深めるというところを担保している」と紹介した上で、「あまり整備されていない中でテレワークを始めて、うまくいかずに撤退してしまう企業もある。その0か100かではなくて、グラデーションで取り組んでいけばいいのかなと。例えば、週に1日テレワークデーにするとか、オンラインのランチ会でコミュニケーションの機会を作るとか工夫して、丁度いいラインをそれぞれ見つけていく時期だと思う。テレワークを導入して進んでいるということが採用活動におけるひとつのアピールになったり、優秀な人材を地方や海外で採用できるかもしれないので、段々と良い形を見つけていけるといいと思う」と述べた。
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