1ラウンド37秒、全身バネのような肉体から、相手の死角より繰り出された戦慄の左ハイが炸裂。衝撃の失神KO劇に実況が絶叫し、視聴者からも「やばい倒れ方」「あっという間に終わった」などの反応が多数寄せられた。そんな中、KO決着後にケージ内を飛び回る勝者の様子に「身体能力おばけw」「瞬発力がスゴイ」「とんでもないのが出てきた」など驚きの声も相次いだ。
12月4日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE:BIG BANG」に日本のパンクラスでも活躍したボカン・マスンヤネ(南アフリカ)が参戦。ONEストロー級の実力者であるレネ・カタラン(フィリピン)を左のハイキック一発で見事に沈めてみせた。
レスリング出身でMMA無敗のマスンヤネは、昨年行われた「パンクラス307」での荻窪祐輔戦で、3ラウンド15分投げに投げまくった“スープレックス男”として、無尽蔵のスタミナとフィジカルの強さで話題になった選手。この日のABEMAでゲスト解説を務めた高橋遼伍も「動きが跳ねていてスーパーボールみたいだ」とその身体能力の高さに驚きを隠せない。ONEのルールでは前述のパンクラスのようなスラムは反則となるが、ONEストロー級のトップランカーを相手に真価が問われる一戦だ。
1ラウンド、両者サウスポーに構えて向かい合う。カタランが右ローから、右フックでキレのある動きを見せると、マスンヤネが組みからの離れ際にハイキック。これはカタランがすんでのところで避けたが、あわやという緊張感が走る。
両者距離を保ちながらも、速い打撃が空を切るスピーディな展開。マスンヤネが一気に距離を縮めて組み、左ヒザを叩き込むと、これを嫌ったカタランが、低い姿勢で足を狙う。と、次の瞬間だった。体勢を崩したカタランの離れ際、マスンヤネが顔面を目がけて強烈な左ハイキックを一閃。死角から繰り出されたこともあり、まともに被弾したカタランは後ろに大の字になって倒れ、失神。試合時間はわずか37秒だった。
一瞬の出来事を受け、スローのリプレイ映像で確認すると、最初の左ヒザを被弾したカタランが、低い姿勢からタックルを切るが失敗。離れ際を追走するように、マスンヤネが体を預けるように鋭い蹴りを打ち込んでいる様子が確認できた。
解説を務めた大沢ケンジも「このタイミングで(蹴りが)来るとは思わなかったんでしょうね」と不規則な角度、死角からのハイキックについて言及。実況を務め、その瞬間に思わず絶叫した西達彦アナウンサーも「サッカーのボレーシュートみたいな蹴りですね」と今度は冷静に振り返った。
勝利のゴングとともに、ケージ内を飛び回ってど派手なパフォーマンスを見せたマスンヤネ。金網を蹴ってくるりと一回転。さらにリングでバク宙を繰り返す様子はまるでスーパーボール。その能力の高さにカタランは脱帽し、苦笑いを浮かべ勝者に拍手をおくっていた。