怒りの乱闘、いや一方的な“制裁”だった。
12月4日、プロレスリング・ノアは記者会見を実施。今年最後にして最大のビッグマッチ、12.6代々木第二体育館大会で行われる3大タイトルマッチの調印式だ。
この大会で、GHCナショナル王座をかけて対戦するのが拳王と桜庭和志。総合格闘技界のレジェンドである桜庭は現在、ノアマットで活躍、杉浦貴とタッグベルトを巻いており、勝てば2冠となる。
リング上で睨み合いになったことから、チャンピオンの拳王は自ら桜庭を挑戦者に指名。その実績、ネームバリューを食ってやろうと燃えている。
だが拳王にしてみれば“強い桜庭”に勝たなければ意味がない。対戦が決まると、拳王は桜庭に対し「殺気がない」、「全盛期の殺伐とした試合を甦らせた上で勝つ」と挑発していた。
そしてこの調印式でも、「桜庭和志に足りないのは殺気」と言う拳王に対し、桜庭はあくまでマイペース。拳王に「おちゃらけてる」と言われれば「特におちゃらけてはいないですよ。楽しんでるんです。昔から試合中に笑ったりしてるし」と返す。この“脱力”ぶりが桜庭の強みなのだ。
「いい試合をして、結果勝てれば。勝つためにはそれなりに一生懸命というか、頑張るのは当たり前ですけど頭を使ってどう“まいった”させるか」
そう語った桜庭。あくまでこれが“IQレスラー”のスタイルなのだ。また拳王について聞かれると「印象としては、怖いですね。できれば試合を楽しみながらやりたいんですけど」。
いつもの桜庭ではあったが、それはプロレスの記者会見では異例のマイペースぶり。これに拳王がブチ切れた。
「何が怖いだよ。ナメてんのか!」
桜庭を睨みつけると掴みかかり、チャンピオンベルトで一撃。さらにテーブルに飛び乗ると得意技のフットスタンプを決めた。
記者会見の席上でボディを踏みつけられ、悶絶するはめになった桜庭。しかも拳王は革靴だったためレスリングシューズよりも固く、ダメージも大きい。さすがの桜庭もこれで火がついたか、ツイッターで逆襲を宣言した。
拳王としては、桜庭の“本気”を引き出すことに成功したという形だ。この結果、桜庭はペースを乱されたのか。それとも“キラー桜庭”が目を覚ますのか。このタイトルマッチ、レジェンドがどんなスタイルで闘うのかもポイントになりそうだ。