NHK改革だけじゃない?“Eテレ売却論”をぶち上げた高橋洋一氏の真意
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 『受信料義務化、建て替え計画…迷走するNHK改革は「Eテレ売却」が特効薬だ』(現代ビジネス、11月30日)

 『菅首相ブレーンのNHK改革案「Eテレ売却で受信料は半額にできる」』(マネーポストWEB、12月3日=週刊ポスト2020年12月11日号)

 「内閣官房参与」として、菅政権のブレーンも務める高橋洋一・嘉悦大学教授がぶち上げた“Eテレ売却論”。若い世代がテレビを見なくなったにも関わらず周波数帯の多くを独占している公共放送・NHKのスリム化にも繋がること、受信料が下がり、Eテレが使っていた周波数帯域を通信会社などが利用できるようになることから、NHK、国民の双方にとっても“ウィンウィン“だと主張、また、Eテレの良質な番組はネット配信をすることも提案している。

NHK改革だけじゃない?“Eテレ売却論”をぶち上げた高橋洋一氏の真意
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 ところがこのプランには、視聴者や有識者からも異論が相次ぎ、NHKの前田晃伸会長も「教育テレビはNHKらしさのひとつの象徴。売却すればいいという話には全くならないと思う」と反発している。高橋教授がこのタイミングで「Eテレ売却」を訴えた“真意”とは…

・【映像】"Eテレ売却論"主張の高橋洋一氏&堀潤&ひろゆきが議論

■文科省の「GIGAスクール構想」も背景に?

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 4日の『ABEMA Prime』に出演した高橋教授は、まず、これらのプランは総務相だった竹中平蔵氏のスタッフだった頃からの持論だったと説明。「現代ビジネスでは丁寧に書いたつもりだが、乱暴な話だというのはそうかもしれない。ただ、あくまで最初のアイデアだから、ここから建設的な議論をしていければいいなという思いだった」と話す。

 元NHKアナウンサーでもあるジャーナリストの堀潤氏は「今回は“Eテレ売却論”というのがキャッチーだったことで注目を集めたが、やはり公共放送というのは我々の放送局でもあるわけだから、いろんなところで色んな人たちが議論することが必要だ。ただ、電波の利用の問題、NHKの経営効率の問題、あらゆる論点がごっちゃになってしまっている上に、だからEテレ売却だという論の立て方は、やはり乱暴だ」と反論する。

 「まず、高橋さんは“良いコンテンツは国が買い上げればいい”と書いていたが、これこそNHKが抱えるジレンマだ。その“良いコンテンツ”というのは誰が判断するのか。NHK総合は権力に“NO“と突きつけるのに常に苦労しているし、Eテレのドキュメンタリーだって、政府が買いたいと思うようなものばかりではないはずだ。国が安易に介入できるようにする必要も全くないし、逆に経営委員会を政府から独立させるための法案などについての議論をすべきだ」。

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 「2ちゃんねる」創設者のひろゆき(西村博之)氏も「他国には教育番組だけのテレビ局なんてほぼないと思う。それは民間がやっても売上が立たず、成立しないからだと思う。つまりEテレを民間企業が買った結果、ペイできないからやめるという判断もありえるわけで、そうなると公的な教育コンテンツを出すところが無くなってしまう可能性がある」と指摘した。

 こうした意見に対し、高橋氏は「Eテレのコンテンツは優良だし価値があるわけだから、受信料だけに頼らず、例えばインターネットで課金もできると思うし、より政府の関与が少ない形でも残っていくと考えている。そして、私が改めてEテレ売却論を書いた理由の一つにあるのが、文科省が熱を入れるとしている“GIGAスクール構想”だ。そこの予算との組み合わせということも考えられる」と説明した。

 しかしリディラバ代表の安部敏樹氏は「GIGAスクール構想というのは経産省からスタートした政策が転がっていき、世耕元経産相が頑張ってお金つけて、文科省と一緒になって校内のネットワーク回線整備、PC1人1台配布にチャレンジしようという話だ。それに加えて、教育コンテンツの部分にまで大きなお金を落とすというのは現実的に難しいのではないか」と反論。堀氏も「経産省の方でもオンライン教育のための教材の取り組みをやっているし、やはり文科省の話と電波の話とNHKの話はセットにしないほうがいい」と重ねて主張した。

■民放も同時配信ができるようになれば…?“携帯料金値下げ”という大きな方針にも関連?

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 ここまでの議論を受け、テレビ朝日平石直之アナウンサーは、「やはり売却せずにネット同時配信でもいいのではないか」とコメント。しかし高橋氏は「やはりネットの良いところはアーカイブで好きな時間に何回でも見られること。ただ、同時配信について、NHKだけは制度改正をしないとできなかった。むしろ民放の方が制度上できるのに渋っていたので、そこを刺激するためにNHKの制度改正をした経緯もある。民放でもできるようになれば、電波を空けていただいても結構かなと思う」と主張。

 また、堀氏は「NHKといえば、災害と選挙だ。僕はNHK総合を24時間ニュース専門チャンネルにして、政治に対してジャーナリズムを発揮できる機関にしてほしい。そしてイギリスでは文化、福祉などを担う専門の公共放送が運営されているので、Eテレも残してドキュメンタリー、文化、教育コンテンツを放送する枠にしてほしい。その上でBSなどは見直し、受信料をいかに効率よく回していくかの議論をすれば良いと思う。放送法が変わったことで、地上波の番組をネットで同時配信できるようになった。もちろんそこにはEテレも含まれている。ただ、アーカイブの使い方、開放の仕方には大きな課題があると思っている。今はここが有料だが、僕はフェアユースの観点を入れて無料にするなどして受信料に見合うよう視聴者の参加できるようにしてほしいし、民放が使えるようにしてもいいと思う」と話した。

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 さらに高橋氏は「私が記事を書いたのは、GIGAスクール構想があったからだけではない。“携帯料金値下げ”という大きな方針もある」とも話す。「テレビの地上波が使っている周波数帯は、携帯電話で利用しやすい周波数帯“プラチナバンド”に近い。この領域を利用した方が、基地局の設備投資の必要もないので携帯料金は下がることになる。私が総務省時代に地デジ移行で空いた領域が携帯向けになったと思うが、今の携帯電話の勢いから見ても、これから足りなくなってくるのではないかという問題意識があった。他国でも、こうした帯域は地上波よりも通信の方に回していった方がいいという話になっている」。

 堀氏は「そこは僕も大賛成だ。これからドローンなども普及するし、電波の問題は国の成長戦略にとっても大切だと思う。電波オークションに関しても賛成の立場だ。だからといって、Eテレを真っ先に売却するというのは違うと思う。公共放送は、あらゆる人に情報を提供するインフラであるからだ。本当に電波を整理しよう、電波オークションを導入しようというのであれば、まず民放テレビ局が持っている部分に切り込んでほしかった。日テレ、TBS、テレ朝、テレ東、MX、どうなんだと。アメリカでは、もう地上波を運営するのはしんどい、というテレビ局が電波オークションに名乗りを上げているし、日本のテレビ局でも、“そろそろ電波を政府に返した方がいいのではないか”という株主提案があったと思う。政府に近い高橋さんがそこに真正面から切り込んでこそ議論が生まれると思うので、すごくもったいない」、ひろゆき氏も「山間部など、電波が届かない地域がある。そういうところに住む人に教育コンテンツを届けられるという意味では、地上波が“最後の砦“とも言える」と訴えた。

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 しかし高橋氏は「堀さんの言われる話は2006年くらいにやったわけだが、NHKと民放のタッグに一敗地に塗れた。そういう過去の苦い経験があるからこそ、私はいろんな案を出している。ひろゆきさんの話にしても、やはりGIGAスクール構想がクリアするということになっている。その先に、Eテレ売却の話なんかも出てくるのではないか」と反論した。

 4日の会見でこの問題について問われた加藤官房長官は、「NHKは公共放送として放送法に基づいて、広告主の意向や視聴率に囚われない、豊かで良い番組を全国にあまねく放送するなどの、重要な社会的使命を担っていると考えている」と述べた。高橋教授の大胆な提案に、菅総理は…?(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

"Eテレ売却論"主張の高橋洋一氏&堀潤&ひろゆきが議論
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