選手、関係者、ファン誰もが待ち望んだ発表だった。来年2月12日(金)、プロレスリング・ノアが11年ぶりに日本武道館大会を開催する。12.6代々木第二体育館大会の冒頭、スクリーンで発表されると、場内に大きな拍手が沸いた。
日本武道館は、全盛期のノアが何度もビッグマッチを開催。ファンの記憶に残る数々の名勝負が行われてきた会場だ。ノアOBの小橋建太は「日本武道館こそプロレスの聖地」と語る。
「私は昨年3月の横浜文体からノアの運営を本格的にやり始めた、ノアに関しては新参者です。ですがノアに関わるとなった時から、必ず日本武道館に戻ると意識していました」
これは旧体制で社長を務め、現在も現場を預かる武田有弘氏の言葉。そもそも武道館を借りることからしてハードルが高かったが、空き日程が出た時には無意識に「やります」と言っていたそうだ。
「高木社長、山内取締役ともCF(サイバーファイト)の目指すべき方向性というのはやはり業界トップだと常に話し合っていますし、リング上の充実やファンの皆様の期待が脳内にすり込まれてたんだと思います」
熱い試合を続けて、少しずつビッグマッチを増やし、新規ファンにもアピール。コツコツと新生ノアを広めてきた先に日本武道館がある。運営会社サイバーファイトの副社長を務める丸藤正道は「“感慨深い”という言葉を使うのは、まさにこの事だと思う」。旗揚げから団体と苦楽を共にしてきた人間だからこそ、だろう。
「偉大な先輩たちが築き上げ、そして魅せてきた武道館にまた戻れる。あの頃、僕は当たり前のように武道館で試合をさせてもらってた。それがどれだけ凄いことだったのかってのをこの数年間本当に感じてました。気づいてみれば11年。もう戻れないかもしれないと思ったこともある。でもまたあの場所へ戻れる。試合だけではなく、おそらく会場へ向かう道のりからその気持ちは高ぶっていくと思います」
ノアが日本武道館に戻ってこれたのは、“今”だからこそだと丸藤は見ている。
「ノア旗揚げからいる面子はたった数人。その数人だけじゃ絶対に戻れない場所だったと思う。このノアのリングを選び、諦めず闘い続けてくれている選手たち。同じくスタッフの皆さん。サイバーエージェント様はもちろん、過去ノアを支えてくれた方達に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そして何よりもノアを信じ続け、応援し続けてくれたファンの皆さん、新しくノアに興味を持ってくれた皆さん。感謝しかありません」
武道館で何を見せるか。それはもちろん“ノアらしい闘い”だ。
「この場所へ戻ってこれたことへの一番の感謝の表現はやはり“試合で観せて、見せて、魅せる”こと。武道館で見せるべき闘いが出来るのはやっぱりノアだというものをレスラー、スタッフ皆でお見せしたいと思います」
武道館再進出が発表された12.6代々木大会のメインは潮崎豪vs杉浦貴。チャンピオンの潮崎は「武道館のメインにチャンピオンとして立ちたい。そのためにはベルトを守らないと」。さらにその先も見据えているという。
「武道館というのは自分にとってもノアにとっても特別な場所。ここを経験することで、今の選手、スタッフも大きな経験値を得ることができると思います。またここから、ノアが一つ上のステージに行けるはず」
ただいま、聖地。ただいま、日本武道館。“名門復興”の大きな一歩がここで記され、そして新たな時代が始まる。