IQレスラー・桜庭和志の関節ワザ“唯一”の弱点が再び露呈した。
12月6日に代々木第二体育館で開催されたプロレスリング・ノア「NOAH the BEST ~FINAL CHRONICLE 2020~」。GHCナショナル王者・拳王と桜庭和志のタイトル戦は、桜庭が変形の足関節で拳王をあと一歩と追い込むも、足関を極めたまま丸め込まれよもやの3カウント。ファンからも「内容では勝っていたのに…」「これは納得がいかない」など、あと一歩でタイトル奪取に失敗した桜庭の惜しむ声が上がった。
拳王と桜庭、"混ぜては危険”を通り越し、本来混ぜるべきではないマッチアップは、2日前のタイトル調印式から不穏な空気に満ちていた。殺気立つ拳王は終始マイペースの桜庭に「なめんじゃねーぞ!」と激昂。会見に悪絡みし、最後は怒りのフットスタンプで踏みつけ、試合前に早々と"オヤジ狩り”を決行。これで終始穏やかだった桜庭の心にも火がついた。
試合開始とともに桜庭がこれまでの鬱憤を晴らすように、掌底の連打からヒザと打撃戦で拳王に怒りの制裁。拳王も桜庭の打撃戦に応じ、バチバチに殴り合うと、ABEMAのコメント欄は「昔のUWFインターみたいだ」「Uより速いぞ」「すごい打撃戦だ」と大盛りあがり。
拳王もマウントポジションでパウンドをみせたり、足関節を仕掛けたりグラウンドの展開に持ち込むなど、桜庭のフィールドで戦いを挑んでいく。しかし餅は餅屋、下から桜庭が仕掛けた変形のキーロックで拳王の腕があらぬ方向に極まると「痛い、痛い」と大悶絶。なんとかロープに逃げるが、一瞬で終わりかねない腕地獄に「見たことのない関節」「ヘンな形で極まってた」「やっぱ怖いな」「命拾いしたな」とファンも反応した。
この日の桜庭はリング上でグラップリング勝負に誘い込む総合格闘家の一面を見せつつ、リング下でカウントを聞き深呼吸するなど、巧みにインターバルをとる老獪さもみせた。紛れもなくノアマットに参戦して培われた“プロレスラー・桜庭”の姿だ。拳王の得意とするスタンドでの激しい蹴り合いにも真っ向から応じる懐の深さ。拳王の蹴りを貰いながら「クソ」と声を出し、51歳が顔をしかめながら応戦するなど殺気も見せた。
後半は桜庭が得意とする関節ワザのオンパレード。拳王の逆エビ固めを返し上になるとくるりと回りながら腕固め、同時に足関節を極める複雑な技。さらに三角絞めのように身体に絡みつくと、再び拳王が思わず声を張り上げた。
再び登場した名前のない関節地獄に視聴者からの「一体、どうなってるのw」「腕も足も危険だ」との反応をよそに、今度は相手の膝を背後から折りたたみ足をキーロックのようにガッチリと固めた。これには「変形膝固め、危ない!」「バリエーションが豊富すぎる」「これはエグイ」「地味だけどすごく痛そう」の声。次々と登場する見たことのない拷問ワザに拳王は頭を抱え、苦しんだ。
もはや「ギブアップか」と思われた危機的状況の拳王だったが、極められた体を起こしそのままブリッジ。足関節をガッチリと極め動けない桜庭は、肩をつけたまま、まさかの3カウントを聞いた。ゴングが鳴るとレフェリーに指を3本掲げ、呆気に取られた表情は印象的だった。
ゲスト解説を務めたSKE48松井珠理奈も「えーそんなことあるの!」と驚きを隠せない逆転劇。視聴者も「なんじゃこりゃ」「さすがにないわ」と不服そうなコメントも。一方、「拳王よく耐えたな」「うまい拳王」「これは作戦勝ちか」と技ありのフォールに対する称賛も寄せられた。
天才・桜庭の死角を再び露呈した形となった痛恨の敗戦。タイトル奪取への期待からか、ファンからは「これは納得いかない」「うまく攻めてたのにな」「内容では勝ったのに…」とボヤきコメントが並んだが、「こんな終わり方もあるのがプロレス」「UWFスタイルに付き合った拳王もすごいよ」など、思いのほか噛み合った両者の熱戦を受け、早くも再戦を望む声まで聞かれていた。