各地で医療崩壊の危機が叫ばれる中、再び飲食店などに営業の時短要請などが出された東京都。
ところが先週土曜の夜の人出は池袋で前週比2.2%、新橋でも5%増加。そして“夜の街”として槍玉に挙げられていた新宿・歌舞伎町では5.1%増となった。年末年始を控え、新宿区ではどのような対応を講じる考えなのだろうか。7日の『ABEMA Prime』では、新宿区の吉住健一区長に話を聞いた。
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■新規感染者は特定業種・年代によらない状況に
「新宿区の場合、住民としての人口は34万人だが、昼間の人口が75万人ぐらいに達する。そして新宿駅の1日の乗降客数は370万という数字だ。何をもって新宿区内でのデータにするかというのは捉え方が非常に難しい」と話す吉住区長。
足元の感染状況について、「6月、7月に最も多くの感染者を確認したが、この時期はいわゆる飲食業の就業者の間でクラスターが発生する、あるいは発生していると思われ、そこを集中的に検査させていただいた。ある意味、狙ったがごとく大量の感染者を確認した。これに対し、10月、11月には感染者が関わったリンクが非常にバラエティに富んできていて、特定業種・年代というよりも、様々な業種・年代の人に広がっている。また、“不明”が減ったというのは、職業や属性について隠す人が減ってきたということだと思う」と説明。
区ではこれらの感染者に対し、一人10万円の見舞金を支給してきた。「緊急事態宣言が発出される前に新宿区に住んでいた方、ということでやってきたが、数字上、住民票がない方も含めて自己申告なので、新宿居住が認定されている人がおよそ3600人だ。だいたいそのうち2000人強が今の段階では対象になっている」。
マスク会食や、アルコール消毒のスプレーを持参するなどして、感染防止対策に気を配りながらも、「ほぼ毎日、店を変えながら会食をしている」という吉住区長。「リモート、オンライン勤務が増えたことで、地元の定食屋さんなどに昼間お客さんが来ないということになった。飲食店に関わっている方の比率が別に高まっているわけではないが、やはり感染者数が伸びると人通りが減り、客足も減ってしまう。そのようにして夜も辛かったところに昼間もお客さんが来なくなり、廃業に追い込まれるケースが出始めている。チェーン店のところは見切りをつけて他で営業を始めることもできるが、個人はそうはいかない」と話す。
「キャバクラ、ホストクラブ、クラブ等々の接待を伴う飲食店に対し対策を行ってきたが、今後は相対で飲食を提供する、区に届け出をしている1万2000軒に対して感染予防のための補助、(具体的には)家賃補助、業態転換時の補助などについて案内をしていく。また、マスクや消毒をしてくれない、換気策について“寒いから閉めてください”といったクレームなど、お店だけの努力ではどうにもならないこともあるということが勉強会で出てきたので、区でポスターを発行、店内に貼ってもらって客にお願いをしやすい環境を作る。自分が好きになった店、親しくなったスタッフを守るためにも協力してくださいというふうに論調を変え、キャンペーンをしていこうと思っている」。
■時短要請と補償のバランスの難しさ
さらに、有数の繁華街を抱える新宿特有の難しさもあるようだ。「いわゆる繁華街には色々な過去を背負っていて、住民票を動かすと実家にばれちゃうので異動の届け出をしていない、という方などもいる。そういう方々の数字を積み上げたものが、ずれにつながっている」。
さらに吉住区長は「深夜営業のお店は24時ぐらいから準備を始めて25時ぐらいにお客さんが入り始め、明け方の5時、6時ぐらいまでやる。22時営業終了の時短要請すると、こうしたお店は“完全に店を閉めてください”という状況になってしまう。それでは家賃も人件費も払えなくなってしまうということは認識している。また、風俗店でも店舗型の場合は公安委員会等々に届け出がされているので場所の把握もできている。一方、派遣型の場合はオフィスがあるのかどうか、どこの人がどこで仕事しているかの把握ができない。いわば“流し”で動いているような人もいて、例えば他県の人が新宿で感染し、さらに東北の方で…という事例も出ている。勉強会には派遣型の社長さんが出てきてくれて、補償制度の枠外になっていることへの問いかけをいただいたことはある」と説明。
その上で、「時短要請などは基本的に都道府県知事の権限で、区が独自にお願いするかどうかということになるが、要請を約束どおり守ってくれているかどうかを職員が回って確認するのか、ちゃんとフォローしきれるだけの財源があるかどうか、そういった問題も出てくる。あるいは1社で20店舗とか持っていて、そのうち2店舗分への補償となった場合、残りの18店舗は、ということになる。さらに苦しいのは飲食業だけではないので、他の国民、都民、区民とのバランスの問題もある。補償のあり方、運用は本当に難しい。クラスターが発生したお店で、役所の要請のもとで10日間閉めた場合、東京都の補助金を使って休業協力金というものを出すようにしている。ただ、東京都の基準だけでいくと適用できないこともあるので、そこは区の独自財源から出すという方法を取っている。自治体ごとに状況が違う中で、全体の緩い基準で交付金を出してしまうと、本当に困っているところに集中投下すべきところが薄く広がってしまうことになる。国や都の基準に加え、地域性に合わせた独自の判断、独自の財源で給付金を付けていくという形が、バランスの取れた支援になるのではないか」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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