未完の大器・稲村愛輝が有り余るパワーを開放。ノアのレジェンド・力皇猛の必殺技「無双」の封印を解き価値ある1勝を挙げた。
12月6日に代々木第二体育館で開催されたプロレスリング・ノア「NOAH the BEST ~FINAL CHRONICLE 2020~」。ノア正規軍・清宮海斗、稲村愛輝、谷口周平、稲葉大樹とM's alliance・武藤敬司、丸藤正道、船木誠勝、宮本裕向の8人タッグマッチで、未完の大器・稲村が怪物ぶりを覚醒させ“パワー全開”の豪快な投げ技を連発。放送席や視聴者から「気合っぷりはアニマル浜口」「スティーブ・ウィリアムズのような投げ」「キングコング・バンディみたいだ」など、レジェンド・レスラーの名前とともに驚きの声が上がった。
拳王率いる「金剛」から離脱した稲村は清宮ら正規軍と共闘し、自らの成長のため日々激闘の真っ只中。12月19日には直訴が叶って清宮とのコンビで、杉浦貴、桜庭和志のGHCタッグ王者組への挑戦も決定した。
しかしこの日、なかなか稲村の出番は回ってこない。試合後半にリングコーナーから「オレ、オレ、オレ行きます!」と大声を張り上げ、志願してリングインを果たすと、その気持ちの強さにABEMAでゲスト解説を務めたSKE48松井珠理奈も「気合が凄いなあ」と驚嘆。さっそく宮本に滞空時間の長いブレーンバスターを放ったがカウント2で返されると「ヨッシャー」と声を張り上げる。そんな稲村の様子にファンから「いい気合!」「アニマル浜口みたいだ!」「キングコング・バンディを思い出した」などの反応が。
さらに宮本とのリング中央での攻防でもパワー勝負で圧倒した稲村は、豪快なオクラホマスタンピート。塩野潤二アナウンサーが「スティーブ・ウィリアムズみたいですね」と興奮気味に語ると、ゲスト解説の小橋建太も「僕もそう思いました」と頷く。
その後、丸藤のトラース・キック、船木の鋭い蹴り、武藤のシャイニングウィザード、宮本のムーンサルトダブルニードロップなど、M's allianceの猛攻を耐えしのいだ稲村は、宮本へのチームメイト3人の連続ジャーマンの援護を得て、さらにヒートアップ。
清宮と互いに鼓舞するポーズから、宮本へフラップジャック式ボディプレスの連携ワザ、さらに解説の週刊プロレス・井上光記者が「ゲーリー・オブライトばり」と評した圧巻のベリー・トゥー・ベリーでぶん投げると、最後は宮本をタックルでコーナーまで吹き飛ばし力皇猛の必殺技「無双」でフィニッシュ。見事カウントスリーを奪った。
稲村が次々と放った豪快な投げワザにファンも「なんだ今の」「綺麗なスープレックス」「すっ飛んだぞ」「突き飛ばしてタックルとか、もはや交通事故」と興奮。さらに「懐かしい」「令和の力皇」「無双が似合う」など、ノアのレジェンドの大技を継承した稲村に好意的な意見が並んだ。
このワザは稲村なりのメッセージも込められていたのだろう。試合後、小橋が「これオレが武道館で獲られたやつだ…」と口にしたとおり、無双は力皇猛が2005年の日本武道館で小橋建太を下してGHCヘビー級王座を奪取し、小橋の2年間に及ぶ長期政権に終止符を打ったフィニッシュホールドだった。
来年2月に10年ぶりに決定したノア日本武道館大会への強烈なアピールとともに、ノアの歴史を背負う大器が魅せた覚悟の大技解禁だった。