キャリア3戦の新星が王者撃破の“大番狂わせ”! 田渕涼香を後押しした“画面の向こうの応援”
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 今年、大会場でのトーナメントが開催され一気に注目度を高めたRISE女子戦線に、とてつもない新星が現れた。

 12月18日の後楽園ホール大会。もともとこの日は小林愛三vs内まどかの女子フライ級王座決定戦(トーナメント決勝)が行われるはずだったが、陣内が負傷により欠場。小林が暫定王者となり、試合はノンタイトル戦として代打選手と対戦することになった。

【映像】20歳の新星が“大番狂わせ”

 急きょ出場が決まったその“代打”が田渕涼香。20歳、3戦3勝(3KO)のキャリアを持つ大阪の新鋭で、RISE初参戦にして東京での試合も初めてだった。

 準備期間が短く、相手はチャンピオン。「自分がどこまで頑張れるかという挑戦でした」、「正直、怖さもありました」と田渕は言う。もちろん、ほとんどの人間が小林の勝利を予想していたはずだ。ジュニア空手で結果を残し、プロでも3戦オールKOという田渕の戦績が侮れないにしても、だ。

 だが東京で初めてづくしの闘いに挑んだ空手着の若者は勇敢だった。ベースである空手のステップと蹴りで間合いを掴み、右ストレートを絶妙なタイミングでヒットさせる。これも空手のタイミングだったそうだ。顔面をスコンと打ち抜かれた小林は腰が落ち、ダウンカウントが入る。「顔面パンチはまだ慣れてないです」と本人は言うが、であるならば抜群のセンスというしかない。

 そこからの小林の猛反撃は「さすが」と言うべきものだった。常に前進し、絶え間なく攻撃を繰り出す。田渕は鼻血を流し、空手にはない組みついてのヒザ蹴りにも苦しんだ。「ダメージはありました。いいパンチを何発ももらったので」と田渕は振り返る。本来は下の階級だけに、フィジカルの差もあった。

 だが田渕も粘る。小林のラッシュを受けながら胴回し回転蹴りをヒット。カウンターの右パンチも入る。ペースを取り戻して試合を終えた田渕を、ジャッジも支持した。ダウンのポイントをキープして判定2-0。プロ4戦目の選手がチャンピオンを下してみせた。

 自分でも信じられない勝利に涙を見せた田渕。苦しい場面で頭に浮かんだのは「応援してくれる人たちの顔」だったそうだ。

 プロキャリアはまだ浅い田渕だが、空手を始めたのは3歳から。兄に着いて見学しに行った道場に、自分も入門したのだ。現在は介護士として働きながら夜に練習。道場では少年部の指導もしている。

 地元・大阪の道場では“先生”の大勝負を応援するために生徒たちが集まっていた。道場にプロジェクターを置いてABEMAの生中継をみんなで見ていたそうだ。

「空手の仲間、応援してくださる人たち。みんなの顔が頭に浮かんで、それで最後まで頑張ることができました。絶対に負けれないって」

 チャンピオンに勝った以上、田渕はこれからRISEトップ戦線に入ってくることになる。本人も「目標はRISEのベルトです」と言う。

 RISEの伊藤隆代表は「次は小林愛三とのダイレクトリマッチ、タイトル戦を組みたい」とコメント。ただ田渕は本来の1階級下で闘いたいという希望もあり、これから調整していくことになりそうだ。

 1階級下のミニフライ級には、秋の『QUEEN of QUEENS』で優勝した寺山日葵がいる。激戦区に田渕が参入すれば、そこでも大きなインパクトを残しそうだ。

 来年は後楽園ホールで女子大会を開催するプランもあるという。今回の大番狂わせは、RISE女子飛躍の時に新たな主役候補が誕生したという意味でも大きな意味があった。

文/橋本宗洋

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