米Googleに相次ぐ提訴 ひろゆき氏「やはり使いやすいとなると制限しても誰も得しないのでは」 競争に歪みはある?
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 検索サービスが反トラスト法(独占禁止法)に違反したとして、米Googleへの提訴が相次いでいる。コロラド州など38もの州の司法長官が17日、Googleに対し反競争行為だと訴えた。

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 訴状によると、Googleが検索結果を操作して自社の商品やサービスを優先的に表示したり、パソコンやスマホでGoogleが基本設定にされる契約があることを批判している。Googleへの州政府らによる提訴は10月以来3度目。10月の提訴の際、Googleは「司法省の提訴には重大な欠陥がある。人々がGoogleを使うのは、強制されたからではなく自ら選んだからだ」と反論している。

 また、今月9日にはアメリカ連邦取引委員会がGAFAの一角、Facebookを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴。傘下のInstagramとWhatsAppの分離を含めた強い措置を求めている。

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 一方、EUでもGAFA規制の動きがある。ロイター通信によると、EUの欧州委員会は事実上、GAFAを対象とした2つの規制強化案を発表。内容は検索表示などで、自社製品やサービスに有利な表示などを禁じるものだ。違反した場合は年間売り上げの最大10%の罰金を科すなどしている。

 国際的に強まるGAFA包囲網。国家と巨大IT企業の駆け引きは今後どうなるのか。

 シリコンバレー在住で、Google本社でシニアストラテジストの経験もある「PALO ALTO INSIGHT」CEOの石角友愛氏は、「10月の訴訟の時からだが、焦点がデフォルト・標準設定になっていることがポイントだと思う。例えば10月の司法省の訴訟内容によると、GoogleはAppleに過去約1兆円近くお金を払って、スマートフォンのサーチエンジンをGoogleにするようにしていたということだ。デフォルトを消費者が変えることができるのであれば、そんなにお金を払っていなかったと思う。巨大になってマーケットシェアを取り、かつデフォルトに入り込むようにしたことで、反競争的になり新しいスタートアップが生まれなくなる。例えば今、周りで新しいサーチを起こそうとしている人は、ゼロではないがあまり多くない。そういう背景があって、ついにGoogleの根幹のビジネスであるサーチにも訴訟が来たと感じている」と話す。

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 一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏はユーザー目線として、「他に便利なものがあって、それが市場に出回らなくて消費者が困るというならわかる。でも、消費者は別のサービスを使ってくださいと言われても、やはりGoogleが使いやすいとなると、制限しても誰も得をしないのではないか」と指摘。

 これに石角氏は「おっしゃる通り。今回の訴訟に関して、私が一番欠けていると思うのは消費者の目線だ。例えば、GoogleマップやGmailを使いたくないと本当に思っている人はどれぐらいいるのか。Googleが95%のシェアを取ることで、消費者にどれだけの被害が起きているのかというところをより明確に議論しなければならないと思う」とした上で、「そのうちの一つがデータだ。Googleは無料でいろんなものを公開することで、クリックしているか、何を見たかというユーザーの行動に関するデータを集めて、そこから利益を得るというビジネスをやっている。過去5年ぐらい、特にGAFAやGoogleをはじめとする巨大テック企業に対して、プライバシーに関して懸念が生まれてきているという社会的背景もあげられると思う」と述べた。

 シリコンバレーは一連の訴訟をどう見ているのか、「GAFAは強すぎる」と考えられているのだろうか。石角氏は「立場によって変わると思う。多くのスタートアップ企業は、GoogleやFacebookに買収されることやイグジット(投資回収)することで、エコシステムとして循環していた部分がある。必ずしもシリコンバレーの技術者や起業家、またはベンチャーキャピタリストらがGoogleやFacebookが解体することを望んでいるかというと、そればかりではないと思う。ただここ5年くらいの流れから、力を持ちすぎてきている巨大テック企業に対して社会的責任があるという議論は増えてきている。私がGoogleにいた時とは比べ物にならないぐらい、それこそ自分たちが作るAIがどのように社会に影響を及ぼすかという倫理的な視点がすごく大事になってきている。その2つのジレンマの中にいると思う」との見方を示す。

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 また、個人情報の取り扱いも重要なポイントだという。プライバシーを優先してサービスを選ぶユーザーも増えているそうで、「データを統合しているからこそ生まれる、デバイスやサービスを超えてのシームレスな顧客体験を捨ててでも、自分のプライバシーを優先したいというユーザーが最近アメリカで少し増えている。Googleで検索を作っていたエンジニアがGoogleを辞めて有料の検索サービスを作ったり、『Hey』という年間1万円ぐらいで広告が一切ないEメールサービスがすごく流行っていて、それはとても使いやすい。使いやすさとプライバシーを天秤にかけて、最初のうちは使いにくいとか新しいサービスに慣れるのが大変でも、自分のプライバシーを優先したい、そのためにお金を払うことを厭わないと考えるユーザーが出てきている」と説明した。

 アメリカの下院委は10月、GAFAに対しプラットフォームの運営と連動する広告販売などの事業分離を提言した。この案に石角氏は「例えば、Facebookはこういった規制が入ってくるのを知っていたので、InstagramとWhatsAppもひとつの会社だということを打ち出している。もちろんデータもどんどん統合していくと、『もう技術的に解体できません』と言えるようにもなる。その時に、どうやってデータを切り離すかやユーザーにどういう影響が出るかなど考えなければいけない課題が多いので、現実味はまだそこまでないがゼロではないだろう」とした。

 一方で、ひろゆき氏は「分割することで競争が激しくなってサービスがよくなればいいが、サービスが使いづらくなった結果、中国の会社が伸びていって儲かるという話にしかならないのではないか。IT業界はGAFAが押さえたが、ゲーム業界は大きなところはほとんど中国のお金が入っている。おいしいところは中国が持っていくという構造が止まらないのではないか」と指摘する。

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 GAFAに対抗して、台頭しているのが中国のIT御三家「BAT(バイドゥ・アリババ・テンセント)」だ。石角氏は「GoogleやFacebookが訴訟にどう対抗するかが注目されている。そのカードのひとつが対中国。中国に対して大きな力を持つには解体されたら無理だ。同じだけのリソースとデータ、優秀な人材を集めた大企業でいるからこそ中国に対して競争力を持っていられるというのが、彼らが使うカードのひとつではないかと言われている。最近ずっと議論になっていたTikTokの件なども、まだ決着はついていない。今後どうなるか」とした。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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