「既存のまちづくりにSDGsのラベルを貼っただけの“後付けマッピング”ではダメ」 経済と環境の両立には資本主義を変えるくらいの取り組みが必要?
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 「SDGs(持続可能な開発目標)」と言えばどんな取り組みが思い浮かぶだろうか。紙ストローやリサイクルなどのエコ活動に、貧困問題や食品ロスなど。しかし、SDGsはそれだけではない。

【映像】SDGs“11番目の目標”に関する取り組み

 コンクリート3Dプリンターで公衆トイレを印刷、おがくずに含まれるバクテリアが排泄物を分解してくれる曾澤(あいざわ)高圧コンクリートの「オフグリッドトイレ」。昭和男性のバイブル『Hot-Dog PRESS』が始めた新連載「モテるSDGs」。離島に招いた参列者に自然豊かな魅力を感じてもらい、また旅行で訪れてもらうという地域活性化が目的の、ワタベウェディングの「リゾートウェディング」。地域で着なくなった服のお下がりを次に繋げる制服リユース「リクル」なども立派なSDGsだ。

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 17日の『ABEMA Prime』では、SDGsの11番目の目標「住み続けられるまちづくりを」に関する取り組みに焦点を当てた。

 自治体と民間の連携が欠かせないまちづくりにおいて、注目されているのが「地方創生SDGs」。SDGsの理念に沿って、地方創生の取り組みを官民連携で進めるものだ。例えば、長崎・対馬市では、移住サポートとして生活・雇用に関する支援や移住お試し住宅を無料(光熱費等として日額500円)で貸し出ししたり、若者定着支援として高校生を対象に「島内企業説明会」「企業訪問ツアー」を実施したりしている。

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 地方移住やまちづくりの観点から地域社会を研究しているKAYAKURA代表の伊藤将人氏は「例えば、地方が抱える問題として、人口問題・人口減少が様々なところで見られるわけだ。ポイントとしては、全体の人口が減っていく中で、全ての自治体が『うちは人口を増やそう』『Iターンを増やそう』と言ってもパイが限られていること。それらは持続可能ではないという時に、対馬の場合は元々住んでいた人にUターンでしっかり帰ってきてもらうような策を取っている。元々住んでいる高校生などを対象に、もっと島の中の魅力や企業を知ってもらって、住んでもらおう、選択してもらおうと。サーキュラーエコノミー(循環型経済)といったものと絡めて考えている」と説明する。

 国土交通省政策研究所によると、2040年までに896の自治体が消滅の可能性(福島県は調査対象外)があるという。伊藤氏は「2030年までを目標、ゴールとして取り組みを行っていこうというところで、SDGsはまだ始まったばかり」とした上で、「これから事例が共有されていって、より良いものを様々な自治体や企業が選択していく形になればいいなというのが1つある。ただ、SDGsと絡めた形で補助金・助成金が出て、それがあるからやるけれども、SDGs事業自体の持続可能性がないということが一部で生まれてきているところもある。そういうところにはしっかりと上からメスを入れないといけないというのは、研究していて客観的に感じる」との見方を示した。

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 また、SDGsの“後付け”に疑問を呈し、「SDGs自体は具体的な手段を特に何も示していない。“後付けマッピング”というが、既存の総合計画などにSDGsを絡めていく形で『私たちの自治体はSDGsに取り組んでいる』という自治体が最近増えているが、それだけではダメだ。SDGsをベースにして総合計画を作るとか、SDGsのアプローチを使って政策を作る“先付けマッピング”をしていく。総合計画だと5年ごとに作っていくことになるので、次の5年後にしっかりそれを取り入れられるのかというところが、自治体は地方創生と絡めた時には考えていかないといけない。そうでないと、ただSDGsのラベルを貼っただけということになってしまう」と指摘した。

 一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「地方自治体も日本政府も5年後、10年後に日本をどうするのかをちゃんと考えないといけないが、いまだに少子化対策を放っておいたりしている。おそらく日本の政治家にそこを期待するのは無理なのではないか。人が減るから過疎化するわけで、持続可能にしたいのであれば日本人がどんどん増えないといけない。SDGsの一番基本である人を増やすことができていないのに何をしているんだろうと思う」との考えを示す。

「既存のまちづくりにSDGsのラベルを貼っただけの“後付けマッピング”ではダメ」 経済と環境の両立には資本主義を変えるくらいの取り組みが必要?
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 さらに、「SDGsはおしゃれじゃないといけない感がちょっと違うと思う」とし、「さっきのオフグリッドトイレは、持続可能なトイレにしたかったら穴を掘って排泄して埋めればいいだけだ。おがくずも交換する人が必要だから、穴を掘ってやった方が全然いい。でもおしゃれじゃないからそれは普及しない。おしゃれ優先主義なSDGsというのがちょっと微妙だと思っている」と疑問を呈した。

 伊藤氏は「おしゃれみたいな文脈が出てくるのは、やはりそこに企業が絡んでくるから。内閣府の調査でも明らかになっているが、上場企業三千数百社を対象にした地方創生SDGsの調査では、回答企業の7割近くが現在の収益事業の一部と位置づけてSDGsを行っていきたいとか、企業のブランディングにつながるのではとか、新卒に入ってきてもらえるような可能性を高めるんじゃないかといったことと結びつけている。CSRなどの取り組みと絡めて良いことと言えるが、一方で経済思想史家の斎藤幸平さんが最近指摘するのは、経済と環境は成り立たないんじゃないかと。資本主義を変えるくらいのもっと抜本的な取り組みをしないとダメだという意見が出てきているのも事実だ」とした。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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