下馬評も技術も上回っていた相手に一時は防戦一方となるも、“一発”をきっかけに形勢は大逆転。1ラウンド残り1分30秒から怒涛の3ダウンを奪い、タオル投入の劇的KOで見事なジャイキリを果たした34歳のファイターに称賛の声が寄せられている。
12月19日に東京・後楽園ホールで開催された「krush.120」で大番狂わせが起こった。寺島輝と斉藤雄太の一戦は、斉藤が防戦一方の劣勢から繰り出したショートフックで奪ったダウンをきっかけに怒涛の攻撃で2つのダウンを重ね、1ラウンドでタオル投入の劇的KO決着。圧倒的不利の下馬評を覆してトップ戦線の一角である寺島から3ダウンを奪う逆転KO勝利を収めると、34歳が披露したジャイアントキリングに「オヤジの逆襲だ!」「オッサンなめるな」など、ネットは一時騒然となった。
エステサロンを経営する実業家ファイターという異色の肩書でも注目を集める斉藤。昨年4年越しで5連敗から脱出し、その後、1つの負けを挟んでの一戦となる。対する寺島は3月の「K’FESTA.3」で現K-1スーパー・ライト級王者・山崎秀晃に敗れたものの、それまでは4連勝と勢いを見せていた。復帰戦で勝利し、再浮上のきっかけを掴みたいところだ。
戦前の下馬評は明らかに寺島有利。その見方のとおり、1ラウンド序盤、軽快なステップから蹴り、ボディ、フックと打ち分けながら早々に試合の主導権を握った。ABEMAでゲスト解説を務めた武居由樹からは「寺島選手は冷静にやれば倒せるんじゃないですか」など、序盤ながらに勝利予想まで飛び出す順調な滑り出し。
さらにボディ、ヒザをもらい後退する斉藤に視聴者からも「寺島余裕だ」「レベルが違いすぎる」など辛辣なコメントが。しかし次の瞬間、コーナーに押し込まれた斉藤が至近距離で放った右のショートフックが寺島をとらえると、寺島がまさかのダウン。何が起こったのか理解できず、あ然とした様子でカウントを聞く寺島。視聴者からも同様に「ダウン?」「押しただけに見えたけど」など、まさかのダウンにさまざまな反応が寄せられた。
しかし試合が再開されると、形勢が逆転。息を吹き返した斉藤は連打からバックブローと流れるような攻撃を見せ、揉み合うような展開から左、右フックを叩き込んで寺島から2度目となるスタンディングダウンを奪う。
再びカウントを聞く寺島、顔は至って冷静に見えるが、足元は千鳥足でおぼつかない。前に出て仕留めにかかる斉藤が強烈なヒザを繰り出し、試合の残り時間は30秒。一気呵成にロープ際に寺島を追い詰めた斉藤が、変則的な右ストレート。これをまともに被弾した寺島は大きく仰け反り、斉藤に抱き着くように3つ目のダウン。斉藤が崩れ落ちると同時に、セコンドが投げ入れたタオルが宙を舞った。
大方の予想を覆して3つのダウンを奪い斉藤が勝利を収めると、ネットからは「オヤジの逆襲だ」「奇跡の逆転ファイター」「オッサンなめるな」と反響が。解説の石川直生も斉藤の試合の流れを変えたショートフックについて「斉藤選手は本当に針の穴を通すようなチャンスをものにしましたね。それだけ寺島選手の攻撃力とスピードがありましたからね」と話し、強敵をねじ伏せた斉藤を称賛した。