“特措法改正”小池都知事からの要望で政府も動きやすく? “営業の自由”を制限する前にすべき議論は
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 小池都知事は23日、自民党の二階幹事長ら党3役に新型コロナウイルス等対策特別措置法の改正を要望した。強制力のない自粛要請では効果が薄いとして、改正案では休業や営業時間短縮要請に違反した事業者に対し罰則の検討を求める一方、要請を受け入れた事業者に対する協力金について国の財政支援なども要望している。

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 要望を受けた自民党の下村政務調査会長は、「協力金とかペナルティーについて、法的な根拠を設けることは理にかなっていると思うし、東京都の提案を踏まえて政府側に対応するようにお願いした」と述べた。

 新型コロナ特措法は分科会でも議論された。西村経済再生担当大臣は「改正の必要性についてはおおむね理解を得られたものと思う。次期通常国会で法案を提出することも念頭に置きながら、分科会含めて議論いただいて、政府として迅速に検討を進めたい」とした。

 新型コロナ感染者が全国各地で最多を更新する中での政府の対応について、東京工業大学准教授の西田亮介氏は「緊急事態宣言が春先に出た時も、政府は基本的に緊急事態宣言をしないと言っていたが、小池さんが3月末に必要だと言いに行って、政府は一転して態度を変えたという流れを思い出す」とした上で、「政府にしても自民党にしても民意からの要望を受け止めるという構図を望んでいるところがあって、感染拡大している首都圏、特に首都・東京の首長である小池さんや全国知事会からの要望は象徴的であるがゆえに重要視するだろう。こういう要望があると法改正の機運につなげやすいので、ある種、阿吽の呼吸で行われている」と話す。

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 一方、特措法の改正については「一足飛びで罰則強化にいく前にもう少しできることを考えられるはずだ」とし、「例えば、飲食店で感染が拡大しているのであれば、今もやっている感染拡大を防止するための設備投資や業態転換に対する補助金をもう少し幅広にやるとか、強力に推し進めるやり方もある。持続化給付金給付の条件に感染防止措置を義務付けることもできたはずだ。その場合は法改正に至らずとも各自治体でできると思う。今コロナの危機の渦中にいて、多くの人が不安に思っている混乱があり、事業者にとっても営業の自由があるわけで、それを厳罰化するような特措法改正を一足飛びに決めてしまっていいのか。夏の感染が少し落ち着いていた時期などに長期の見通しを立てておくべきで、今冷静に議論できるとは思えない。今は『飲食業をいじめる政府、首長』の構図だが、厳罰化が進めば政府や首長は違法事業者を取り締まる正義の味方だ。(政府の対応は)後手に回った対策を厳罰化で取り戻そうとしている印象を受ける」と疑問を呈した。

 また、特措法改正の議論の中で、緊急事態宣言下ではなくとも臨時の医療施設を各知事の判断で設置できるようにするという提案がなされているという。西田氏は「それは結構現実にかなった改正ではないか。つまり、政府は極力緊急事態宣言をしないと言っていて、感染状況にばらつきがある中で、各知事の判断でこれまで緊急事態宣言が出ていないとできなかった対応を認めるというのは現状に見合っているのではないか。新型コロナ特措法は、他の法律と比べても知事の裁量を大きく取っているので、そのようなことを念頭においても整合的に思える。その代わり、知事がしっかりと状況を見て判断できることが大前提になるし、これこそ私権の制限をさほど伴わないのだからもっと早くやっておけばよかった」との見方を示した。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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