「新語・流行語大賞」に「3密」、「今年の漢字に」「密」が選ばれるなど、新型コロナウイルスに翻弄され続けた2020年。ネット上には、ネガティブな言葉の数々も溢れた。
ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「炎上ウォッチャーとしては、非常に多かったなと感じている。コロナ以外にも、“スポーツ選手は政治的な発言するな”と大坂なおみさんが叩かれることもあった。ただ人権の問題として意見しただけであって、安易に政治と結び付けなくても良かったはずだ。やはりネットを見る時間が増えたことで、考え方の違う人同士の言い争いも増えてしまったのだと思う」。
そんな思いから、「21世紀学び研究所」が立ち上げたのが、「誰かを傷つける言葉を、来年には持ち越したくない」がコンセプトの「流行禁句大賞2020」だ。
自宅でのテレワークを続ける家族への「えっ…今日も家にいるの?」という発言や「ごめん、しばらく帰省しないで」といった発言のほか、「え、なんで鬼滅見てないの?」と、今年大ヒットした『鬼滅の刃』にまつわる“キメハラ”など、4人の選考委員が選んだ言葉が並ぶ。
企画に携わっている中川氏も「これってあんまりよくない言葉だったんだな、と思い返してもらうとともに、傷ついた人には、これ以上あなたは傷つかないでいい、ということを伝えたい。特に“女性はいくらでも嘘をつける”など、生まれついての属性、変えられないものに対して偏見をもとにディスるのはいかんということだ」。
とりわけ目立ったのがコロナにまつわる言葉の数々については、次のように指摘する。
「経済を回すことの方が重要だという考え方もあるが、やはり恐れている人に対して“コロナはただの風邪”などと言って押し付けてはいけない。あるいはコロナの陽性反応が出た人を“気の緩みがある”とか叩いたり、謝罪に追い込んだり。議員や大臣までそんなことになった。感染したかった人なんて一人もいないはずだし、海外なら“早く治してね”だけで終わるはず。しかし日本では職場で差別されたり、医療従事者の子どもが保育園に来ないでくれと言われてしまったり。中には引っ越しを検討しなければならなくなったという話もある。“感染した人は悪くないよ!!”という意識をみんなが持たなければならないと思う」
今年後半、生活の拠点を佐賀県に移した中川氏自身も、コロナをめぐって嫌な思いをしたことがあるという。
「佐賀はコロナに対しても寛容で、東京から来た私に対しても、みんな全く気にしなかった。ただ、髪を切りに行った時、“初めてか?”“どこに住んでいるか”と聞かれ、もともと東京に住んでいたことが分かると、“じゃあダメだ”と言われた。引っ越して50日も経っていたのに、“それでもごめんなさい”と。やはり高齢者のお客さんを安心させたかったというのもあると思が、悪気なく人を傷つけてしまうのも、今回のコロナがもたらしたことの一つだと思う。他県のナンバー狩りのように、“安心したい”という気持ちが差別につながっていく」。
「流行禁句大賞2020」はTwitterで27日24時まで投票を受け付けている。大賞の発表は翌28日を予定している。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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