新型コロナ“変異種”の危険性、英在住の免疫学者が警告「どこかの時点でワクチンをすり抜ける形になる可能性も」
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 中国で原因不明のウイルス性肺炎の患者が相次いでいるとの報道が出始めてから1年。「COVID-19」と名付けられたウイルスは、今も世界中で猛威を振るっている。

【映像】変異種の危険性 免疫学者が警告

 これまで世界で約8500万人の感染が確認され、死亡者は180万人以上に(3日現在)。1年の時が過ぎた今注目されているのが、新型コロナウイルスの「変異種」だ。日本でも先月、イギリスでの滞在歴がある男女5人が、空港の検疫で変異種に感染していたことが確認された。

 明らかになっていない部分は多いものの、懸念されているのが“感染力の強さ”。イギリスで確認された変異種の感染報告が今、世界各国で相次いでいる。

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 タイの保健省は3日、イギリスからタイに入国した4人について、変異種への感染が国内で初めて確認されたと発表した。4人はイギリス人の家族で、先月21日の入国後、14日間の隔離期間中に感染が確認されたという。新型コロナの変異種については、ヨーロッパを中心にこれまで少なくとも38の国や地域で確認されている。

 従来型のウイルスとどんな違いがあるのか。世界各国で確認が相次ぐ変異した新型コロナウイルスについて、イギリスで免疫学を研究するインペリアル・カレッジ・ロンドンの小野昌弘准教授に話を聞いた。

 「ウイルスはたくさんのアミノ酸からなるタンパクを作るが、それが少し違う。17カ所違うというのが1つの特徴。この変異株は人から人に伝染する効率が良いのではないかということで、英国当局、英国の科学者と公衆衛生局が非常に注意して、観察してフォローしてきた変異株だ」(小野准教授、以下同)

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 やはり小野准教授も口にしたのが感染力の強さだった。

 「感染者の絶対数が増えてしまうと、(ウイルスの)重症化する率が変わらないとしたら当然、重症者や死亡者の絶対数がずっと増えてしまう」

 感染を防ぐ手立てとして始まっているのがワクチンの接種だが、変異したウイルスにワクチンは効くのか。

 「今回問題になっている英国型の変異株では、おそらくまず問題なくワクチンは効くのではないかと考えられている。最初に言った通り、変異がある、アミノ酸が置き換わっている17カ所の中でも、ワクチンの中に含まれているウイルスの材料になるところの変異の数はたしか8つだけ。その中で特に問題になりそうなのは3つくらいだということになっているので大丈夫だろうとは思うが、どこかの時点でウイルスがワクチンをすり抜ける形になる可能性も考え始めなければいけない」

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 また、小野准教授は7月の東京オリンピックについて、大勢の人が国をまたいで移動することのリスクを考慮すべきだと強調している。

 「国を越えた人の移動が大きく動くと、もし問題になるような変異株が世界のいろいろなところに存在するのだとしたら、日本を経由して広げるきっかけにもなりかねないという可能性はある。圧倒的に大きな感染者数がありつつ、比較的少ない調査しかできていない国から大量に人が入ってきた時に、日本が頑張って国内を制御していることを上回る状況が出てくる可能性も考えなければいけないのかなと、個人的には思っている」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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