いけないと分かっていても…緊張や不安などを感じると爪や髪の毛を食べてしまう「異食症」の女性
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 現在公開中の映画『Swallow/スワロウ』。夫やその家族との生活がうまくいかず孤独を抱える主人公の女性が異物を呑み込むことで自分を取り戻していく、というショッキングな物語だ。しかし、これは何も映画の中だけの話ではない。栄養価のないものや、食べ物ではないものを1カ月以上にわたり食べてしまうことは、摂食障害の一つ、「異食症」と呼ばれている。

・【映像】毛髪や爪など異物を口にする"異食症"当事者が明かす苦しさ

いけないと分かっていても…緊張や不安などを感じると爪や髪の毛を食べてしまう「異食症」の女性
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 山本さん(仮名・20歳)も、幼少の頃から異物を口にしてきたという。4歳ごろからは爪、小学生時代は指の皮、そして中学生になると再び爪に戻った。今は、気付くと何本も髪の毛を抜き、口に入れてしまう。口元に近い髪は直接咥えて噛みちぎってしまうため、長さはまばらだ。「やめたくてもやめられない。我慢しようとしても、つい。よく“そういうカットなの?”と聞かれるが、そうではない。髪を結んだ時とかに目立ってしまうことがあるので気になっている」。

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 「“人前ではダメだ”ということを、自分の心の中で“差別化”できていると思う」と話すとおり、確かに人前では髪の毛を食べるということはない。それでも周囲に誰もいない中、緊張や不安などを感じた時には、つい口に入れてしまう。一人でいるところを撮影させてもらうと、確かに髪の毛を食べてしまっていた。

 今のところ健康診断で異常は出ていないというが、髪の毛を食べ続けた末に激しい腹痛や嘔吐に襲われたロシア人女性の手術の映像には、摘出された毛の塊が写っている。このケースでは胃や腸の中に約2kgもの髪の毛が入っていたという。「大量に摂取すると胃液では溶けなくなるという話もあり、健康被害が不安だ」。

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 取材に応じてくれた理由について尋ねると、「ネットで調べても、どこに相談したらいいのか、どこで診断してもらえるのか分からない。最近では友人に話すようにはなってきたが、去年くらいまでは美容院の方に伝えるのもすごく嫌だった。それでもネットの動画で異食症のことを知って、“言って大丈夫なんだ”という気持ちも出てきた。伝えていくことも必要だと思った」。

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 同様の症例を数多く診てきたという名駅さこうメンタルクリニック院長の丹羽亮平医師は「子どもが食べ物ではないものを口に入れる行為も異食症といえば異食症だが、普通は自然に無くなっていく。本当の異食症を呈する方の場合、カウンセリングの過程でネグレクトなどのトラウマ体験や、過度なストレスがあったことが見えてくることもある。ティッシュペーパーなどの異食をする方もいるし、髪の毛も少量であれば大きな問題にはならないことが多いが、年月を重ねて体中に溜まると、最悪の場合は腸閉塞・腸捻転を起こして緊急の手術が必要になるケースもある」と話す。

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 山本さんのケースについて丹羽医師は「髪の毛は女性にとってすごく大事なものだし、やめたいと思っていてもやめられない。これは強迫的な行動だ。まずは心療内科や精神科ではなく、近くの内科のクリニックでもいいのでまず行ってもらえればと思う。採血によって異食症を呈する原因の一つである鉄欠乏性貧血かどうかがわかるし、そうであれば鉄分の補充で一部改善することもある。そうではなく、精神的な症状やトラウマなどが表面に現れて来るケースの場合についてもクリニックの紹介などにつながる場合もあると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

毛髪や爪など異物を口にする"異食症"当事者が明かす苦しさ
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