菅総理の発言はなぜ、国民の心に響かないのか。ネット上で「中身スカスカ」「内容や熱意が全く伝わらない」など厳しい意見が散見される中、今月7日に発出された2度目となる緊急事態宣言を経ても、15日時点での人出は1回目の緊急事態宣言下に比べ、およそ2倍だった。菅総理のメッセージが国民に届いているとは言い難く、人流の抑制はもちろん新型コロナウイルス感染拡大防止にも歯止めがかかっていない。
菅総理は1月4日の年頭会見において、言葉の語尾に「思います、思っています」を計39回使用した。そのことについて文筆家の古谷経衡氏は「『思います』と言われても、経緯はどうあれ私たちの総理大臣なのだからきちんとしてほしい。失言を防ぐため、言質をとられないための話し方だ」と指摘。さらに「官房長官が長かった菅総理の癖。総理は断定してもいいが、官房長官はあまり断定をしてはいけない」と原因を分析する。
では、安倍前総理と比較して菅総理の話す力はどうなのか。元衆議院議員の金子恵美氏は「(安倍前総理は)ときにワンマンや強権的と見られていたが、演説の中に気持ちが入って伝わっていた演説力だった。菅さんはとつとつと話すところが菅さんらしいのだが、国会答弁では数字などの間違いはいけないので官僚の書いたペーパーを読み上げるのはいいが、いまはそういう状況ではないとなれば、もっとシンプルで強いメッセージを無機質ではなく伝えなければならないタイミングに来ている」と述べ、“分かりやすさ”の重要性を説いた。
「なぜ、カメラ目線をしないのか」
お笑いコンビTKOの木本が素朴な疑問をぶつけると金子氏は「しゃべり方のスキルより、目線も含めて思いというかパッション。いま政治家に必要なのは情熱だが、そこが足らなくなっている。それが政治への頼りなさにつながっている」と応じた。
一連の問題にニュースを読んでいた経験から私見を述べたのは元TBS解説員で日大法学部新聞学科教授の柴田秀一氏だ。柴田氏は「アナウンサーは最後の語尾は顔をあげるという特徴がある。下を見たままだと『この人は伝えていない』と視聴者が思ってしまう。強い視線を視聴者や国民に与えることによって、自分はこうしたいという意思になる」と話すと、今月7日と13日の菅総理の会見における文尾で、顔を上げた割合は7日が全69回のうち5回(7%)。13日で全42回のうち7回(17%)であったことを示すと、1月4日の年頭会見の時に29回多用した「思います」については、13日の会見では2回と減少して「改善していた」などと述べる一方「官僚文章ではなく、自分の分かっていることを、自分の言葉で話す。強く表現することが重要だ」とも指摘した。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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