副作用に変異株…リスクあおるワクチン報道も 専門家「ワクチンもアップデートしていく」
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 新型コロナウイルスの感染拡大からもうすぐ1年。今でもその封じ込めに苦心している中、期待されるのがワクチンだ。

【映像】どうしてリスクあおる?ワクチン報道に反発も

 政府は、総理官邸のホームページにワクチン情報の特設サイト、そしてTwitterの専用アカウントを開設。ワクチン接種担当となった河野太郎行政改革担当大臣は、特設サイトに掲載した動画で「万全な体制を確保し、できる限り2月下旬までには医療従事者から接種を開始できるよう準備する」と発信した。

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 しかし、問題は政府内の連携だ。坂井学官房副長官は21日、「本年6月までに接種対象となるすべての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と発表。一方、河野大臣は22日、「6月中に数量の見込み云々という発言が(官房)副長官からあったが、申し訳ないが政府内の情報の齟齬があった」と説明。全国民の接種に向けたスケジュールは未定だと、坂井官房副長官の発言を訂正した。

 またワクチン接種をめぐっては、インターネット上で「医者が接種しないとか言ってるんでしょ」「リスクについてはっきりしない限り打たない」と抵抗感を示す声も。

 ワクチンは安全なのか、それとも危険なのか。副作用のリスクをあおるような報道もある中、22日の『ABEMA Prime』では現時点でわかっている知識とその伝え方を考えた。

■ひろゆき氏「“重篤化しないために打っておく”というだけの話ではないのか」

 メディアがワクチンのリスクをあおっているのだろうか。『新型コロナワクチン、6割超「受けたくない」 女子高生100人にアンケート』という記事をオリコンが配信し、毎日新聞なども掲載したところ批判が集まり削除した。また、“ワクチンを医師が接種したくない”という趣旨の記事に対し、取材先が「発言意図と違う」と撤回を要求して削除されるケースもあった。

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 ワクチンをめぐる情報について、2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「普通に生活しているとコロナにかかるという状況なので、“コロナにかかった時に重篤化しないためにワクチンを打っておいた方が安全だ”というだけの話ではないのか」と指摘。

 イギリスに在住する医師で免疫学者の小野昌弘氏(インペリアル・カレッジ・ロンドン准教授)は、「ひろゆきさんが言ったことが的確で、やはり大局が大事。コロナにかかってしまったらどうなるかということを踏まえた上で、今のワクチンがどれぐらい安全なものかをみてみたら自ずと答えは出てくると思う」と話す。

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 ワクチン接種が先月8日に始まったイギリスでは、人口約6680万人に対し460万人への第1回接種が完了した(2回目の接種は最大3カ月遅らせる決定)。2月中旬までに1500万人の優先グループに接種予定だという。

 イギリス国内でのワクチンへの反応について、小野氏は「特に副反応が話題になっているとは思わない。アナフィラキシーというきついアレルギーが出ることは割と早い段階でわかっていて、それについての注意がなされた上で接種が進んでいる」とした。

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 ワクチン接種によるアナフィラキシー・ショックなどの重篤な副反応が起きる割合は、新型コロナワクチンの場合は米国で9万人に1人、インフルエンザワクチンの場合は国内で140万人に1人と、新型コロナワクチンの方が高いことが抵抗感を覚える背景にもあるとみられる。

 小野氏は「アナフィラキシーが多少高く出るという傾向があることがわかっていれば、それに対して備えができるということだ。アナフィラキシー・ショックを起こしやすい人には接種を控えてもらう形で回避している」とした。

■1年経たずに出てきた変異株…「これからもワクチンをアップデートする」

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 新型コロナワクチンの有効性は、ファイザーは95%、アストラゼネカは90%以上、モデルナは94.1%。この90%以上という数字について、小野氏は「症状が出るようなコロナを90%抑えられるということ」と説明。

 効果については「データで見る限り、重篤化も重症化も防ぐ傾向ははっきり見えている」とする一方、「もちろんそれを科学的に結論づけるためには、たくさんの数がないとできないという意味だ。やはりこれから検証していかなくてはならない」と話す。

 ワクチンに対し驚異を与えているのが変異株の存在だ。南アフリカで検出された変異株に対して、ワクチンの効果が弱くなる可能性を研究チームが指摘している。一方で、イギリスで検出された変異株にはファイザー製のワクチンで効果が確認されたという。

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 変異株への対応について、小野氏は「科学者からすると懸念している。我々の大事な仕事は、みんなよりも先を見て先に懸念しなければいけないという、そういう意味での懸念だ。従来型のコロナにかかってできるような抗体では十分にブロックできないのではないかというデータが出てきているのは確か。ただし、それは100が0になるという意味ではなく、免疫はいろいろな形でウイルスから体を守る。抗体だけではなく、T細胞というのもいる。9割以上効くという効果が仮に減弱するとして、9割から8割になるのか、どんな程度なのかということを綿密に見ていく段階にきている」との見方を示した。

 さらに、「今回できあがったmRNAワクチンという新しいタイプのワクチンは柔軟性が高い。前のワクチンの作り方に比べてはるかに早く、新しい変異株に対応できるようになっている」と続けると、ひろゆき氏は「それはいいニュースだが、1年の間に南アフリカ株ができたということは、ワクチンを打ったからコロナウイルスが絶滅した、終わりというわけにはいかず、毎年いろんな株向けにワクチンを打つということを世界中でやり続けないといけないのではないか」と指摘する。

 小野氏は「それは非常に大事なポイントだ。ワクチンができた時、これでコロナは収束、パンデミックは終わりと思った人が多かったが、これからもワクチンをアップデートする。それ以外の方法でも、人類をコロナから守るためにいろいろなことをしていかなければならないことが明らかになった」とした。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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