「2月7日の宣言解除は厳しく、延長は避けられない。一層の引き締めとテレワークの推進を」経営コンサルタントが現状分析
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 東京など1都3県に緊急事態宣言が発出されてから2週間あまり。来月7日の期限までの“折返し地点”を迎える中、西村経済再生担当大臣は25日の衆院予算委員会で「(解除の目安は)一日当たり約500人という数字が出てきているが、これを下回ったからといって直ちに解除するということではなく、病床の状況など含めて総合的に判断をしていくことになる」との姿勢を示している。

 同日の『ABEMA Prime』では、ともに来月7日の解除は難しく、3月までの延長は避けられないと主張する2人のコンサルタントに話を聞いた

■緊急事態宣言の延長は避けられない

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 まず、“未来予測”を手掛ける経営戦略コンサルタントの鈴木貴博・百年コンサルティング代表は「実効再生産数(1人の感染者が平均で何人に感染させるかを示す値)が下がりきっていない。首都圏よりも2週間ほど先行していた大阪では会食をやめるという対策によって数値が下がったが、冬場でもありリバウンドした。やはりもう一段階引き締めなければ、さらなる減少はないと思う。むしろ政府はそれも織り込んでいて、本格的な引き締めを2月にやるため、今はちょっと緩くしているのではないか」と話す。

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 次に、みずほ総合研究所経済調査部の酒井才介・主任エコノミストも「新規感染者数の減少ペースが緩やかであるということ、それよりもやや遅れて数字が変動する病床の使用率を見ると、特に重症者向けの数字が高まってきている。このままいくと、来月7日時点では病床使用率が100%を超える可能性が高く、事実上の医療崩壊状態が続いていると考えられる」と分析する。

■さらなるテレワークの推進を

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 国会では罰則の話も出てきているが、緊急事態宣言の延長に伴い“引き締め”も強化すべきなのだろうか。

 鈴木氏は「前回の緊急事態宣言の解除時点では0.54まで下がっていたので、これにどれだけ近づけるかが勝負になる。皆どうしても外に出たくなるし、それが今の数字に表れている。これから特措法で様々なことを決めていくことになるが、やはり最後は強制力だと思う」と指摘する。

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 「罰則の話もあるし、1年のカリキュラムが終わりつつある時期なので、学校を閉めやすくなる。ここで中学、高校を閉めれば、もう一段効くと思う。そして重要なのが職場だ。まだ出勤している人が多く、3割くらいしか減っていない。去年の緊急事態宣言の時には東京都で43%まで減らした。2月には、“出勤しないでくれ”という強いメッセージを出すことになると思う。それでも“7割減”は厳しいだろうが、あまり細かいことを言っても世の中はついてこない。シンプルに“7割”を言い続け、最後にギリギリ4割達成できたら“グッジョブということで良いと思う」。

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 また、酒井氏も「今回の緊急事態宣言に伴う規制は飲食店の夜間の時短営業が中心で、昨年春のものに比べて非常に緩い。商業施設も開いたままなので、発出されているという感覚自体がない人も多いのではないか。ただ、現実的には飲食業など、人と人とが接触するタイプのサービス業は難しい面があるが、政府がテレワークの雰囲気を作るというのが大事なことだ。我々の試算ではテレワークができる人の割合は全体の3割くらいなので、確かに7割というのはかなり野心的な目標だ。それでも政府が呼びかければ、経営者たちは“やらなければならない”という雰囲気になってくると思う」とした。

■GoToの再開は難しい?

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 解除後の経済の回復策も気になるところだ。政府は緊急事態宣言を解除後も飲食店への時短要請などは段階的に進めていくという慎重姿勢だ。また、GoToトラベル事業について、第三次補正予算案に追加費用1兆円が計上されていることを野党が問題視している。

 鈴木氏は「医療崩壊に近いところか、すでに入ってしまっている状況だ。最低限、これを改善させない限り、経済という話にはならない。やはり3月中旬くらいまでは医療を優先し、“なんとか我慢して”というスタンスで行くべきだと思う。一方で、緊急事態宣言が解除されれば、GoToについては1カ月以内くらいをメドに再開させるべきだと思う。例えばCOCOAを改良し、GoToを使う場合は利用を義務付けるなどの対策も必要だが、暖かくなってくれば死者数が今の規模で出るような流行は終わると思う。もちろん、そこから先も死者は出るだろうし、冬になると再流行する可能性はあるが、規模は小さくなっていくと思う」とコメント。

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 酒井氏は「世論もあるので、政治的にGoToの再開は短期的には非常にハードルが高い。ただ、来年にかけてワクチンが普及して、ソーシャル・ディスタンスの制約も緩んでくると思う。そうなった時に効果を発揮するのがGoToという政策だ。医療・検査体制が拡充され、陽性者と陰性者を正しく分けられるようになれば、陰性者にまで無理に自粛を押し付ける必要もなくなる」と指摘。

 さらに「今は雇用調整助成金や持続化給付金などによる企業や雇用の維持・存続のための政策が中心だが、これらはあくまでも短期的な止血策だ。コロナの影響は長引くし、中長期的には“アフター・コロナ”も見据え、業態転換や人の移動、リカレント教育などを支援していくことも経済政策において重要になってくると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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