「同じ悩みを持つ女性たちが前向きになってくれるように」恋愛やセックスも諦めない!下半身麻痺の車椅子YouTuber渋谷真子さんに聞く
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 「気持ちいいか気持ちよくないかの二択だったら、気持ちいいの方なんだよね。感覚は無いけど」。自らのセックスや排泄に関する悩みなど、車椅子生活の実態を包み隠さずに語る姿が話題になっているYouTuber“現代のもののけ姫ことMaco”、渋谷真子さん(29)。その活動が評価され、東京オリンピックの聖火ランナーにも選ばれた。

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 動画配信の傍ら、リハビリの一環としてクレー射撃を楽しみ、現在は再生医療による治療にも取り組んでいる。26日の『ABEMA Prime』では、そんな渋谷さんが生出演し、YouTubeなどへの思いを語った。

■事故の時にも自撮りしていたくらい(笑)

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 渋谷さんが生まれ育ったのは緑豊かな山形県鶴岡市。高校を卒業後は地元の企業に就職するも、2018年には茅葺き職人の父の跡を継ぐことを決意した。

 怪我をしたのは、その矢先のことだった。屋根から転落して池の縁石に背中を強打、脊髄を損傷した。「作業中の不注意で、“足場がある”と思い込んで下がったら、無くてそのまま落ちてしまった。落ちてすぐ、足が痺れた時みたいな、じんわりとした麻痺があった。ドキュメンタリーとか、医療系のドラマがすごく好きだったので、“これは歩けなくなる系のやつかな”と察した」。

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 7時間にも及んだ手術。結局、みぞおちから下が麻痺して動かなくなってしまった。26歳にして始まった車椅子生活。痛みはもちろん、熱い、冷たいといった感覚も下半身から失われてしまった。それでも持ち前の明るい性格から、ショックは無かったという。

 「救急車が来て運ばれるという時にも、“一生に一度しかないだろう”と、自撮りしていたくらい(笑)。もちろん、これからどうやって生きていくのだろうという不安はあったけど、車椅子生活を送っている人、下半身麻痺の人は私以外にも世の中にたくさんいるし、工夫して頑張れば、私にも色々なことができると思った」。

■“鬼バズり”した、排泄の悩みを明かした動画

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 そして翌2019年、渋谷さんは自身の車椅子生活をYouTubeで配信することを思い立つ。キャッチコピーは、“現代のもののけ姫”。山奥に住んでいること、狩猟免許を所持していることから思いついた。

 「最初に運ばれた地元の病院では、脊髄損傷の患者さんを診たことがない看護師さん、理学療法士さんがほとんどだった。私もSNSで“#車イス”“#脊髄損傷”とかも調べてみたけど、私が求めている情報はネットにも見つからなかった。でも英語で検索してみると、海外のキラキラした女子の写真がたくさん出てきた。これからも脊髄損傷をしまう人はどうしても出てくるはずだし、私のように困ってしまう人も出てくると思ったので、“私はこうしているよ”という発信を始めようと思った」。

 これまでで最も再生回数が多かったのは、排泄障害の悩みを明かした動画。「上げて数本目くらいで鬼バズりした(笑)。みなさんこういうことに興味があるんだなと気付いた」。

■「同じ悩みを持つ女性たちが恋愛に前向きになってくれるように」

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 さらに注目を集めているのが、自らの恋愛やセックスについても包み隠さずに明るく話す姿勢だ。「健常者として、ずっと普通にやってきたことだし、ケガをした時にも仲良くしていた方がいた。やっぱり“できるのかな?できなくはないだろうけど、相手を満足させられるかな?もしかしたら、男性が離れていくのではないか”という不安があった。これから恋愛をしていく上でも大事な部分だけど、ネットにもそういう情報は無いし、同じような状態の女性から実体験を聞くことも難しかった。

 それなら、私が経験したことについて、同じ悩みを持っている女性たちに向けて“できました。良かったですよ”と伝えられたら、勇気が湧いてきいたり、もっと恋愛に前向きになってくれるのではないかなと思った。男性たちに対しても、ちゃんと女性として見て欲しいというのをアピールしたかった。だから話し方も下ネタトークのようなストレートな感じにはせず、“女子トーク”という感じで話している。非公開になってしまった動画はないが、YouTube広告の制限には引っかかってしまうので、ほとんど収入には繋がっていないが…」。 

 こうした動画の撮影は家族が手伝うこともあるという。「両親はYouTubeを見るような世代ではないが、ガラケーからスマホに変えた父が私の動画見ているので、セカンドバージンについてのものも見ているのではないか。でもオープンな家系なので、何の問題もない」。

■自身の細胞を培養、再生医療にも取り組む

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 そんな渋谷さんが挑戦しているのが、再生医療だ。2006年のiPS細胞開発をきっかけに研究が盛んになっており、2019年2月には脊髄損傷治療の臨床研究が承認された。慶応義塾大学医学部の中村雅也教授は「治療法がない脊髄損傷の患者さんたちはすごく期待をされているし、本当に目の前にきていると思う」と話している。

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 早稲田大学先端生命医科学センターの宮田俊男教授は「脊髄損傷を負ったマウスに神経の元となるiPS細胞を移植したところ、4週間後に脊髄機能の回復が見られたという結果が出ている。人間に対する臨床研究も国が認可していて、治験が順調にいけば、数年後には条件付きで治療の承認が降りる可能性もある。現在認可されている心不全の再生医療の場合、千数百万円くらいかかってしまうが、再生医療製品として認可されれば、保険適応になる」と説明。

 渋谷さんが取り組んでいる再生医療について「渋谷さんも自身の脂肪の細胞から元気な幹細胞を取り出し、それを培養している。もちろん効果についてはまだ未知な部分もあるので、リハビリもしっかり組み合わせ、回復に向けて頑張ってもらいたい」と話した。

■「できれば35歳くらいまでに結婚したいし、子どもも欲しい」

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 渋谷さんの活動について、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「障害や病気を抱えた人はかわいそうな弱者だから大切に扱わないといけない、あるいは“汚れなき存在”だから触ってはいけない、と思うあまり、社会から隔離してしまいがちなところがあると思う。しかし、障害や病気を抱えていることも多様性の一つだと言われる時代だし、皆さんも社会の中で生活を送られている。そういう、当たり前の部分を見せていかないと、いつまで経っても“脊髄損傷を負った人はセックスもしない”というような決めつけを皆が持ったままになってしまう」と指摘する。

 将来について渋谷さんは「できれば35歳くらいまでに結婚したいし、子どもも欲しいと思っている。車椅子に乗っている分、お腹の中の赤ちゃんの体重の分だけお尻に負担がかかったり、腕の力だけで動いたりすることのリスクが高まる心配はある。それでも帝王切開などを使えば出産そのものができないわけではないし、いいパートナーを見つけたい。お箸の持ち方が綺麗で、自己成長を常に望んでいる人がいい(笑)」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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