「飢えと孤独」を求めて故郷を離れた男…壬生狼一輝がKrushベルトに王手
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 K-1につながる舞台でもある立ち技格闘技イベントKrushでは、常に若い選手たちが激しい出世争いを展開している。K-1より先にこのリングで勝つこと、インパクトを残すことが選手の価値、そのベースを作ると言っていいだろう。とりわけ若い選手が目立つのはバンタム級。王座決定トーナメントを20歳の吉岡ビギンが制したばかりの階級だ。

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 1月23日の後楽園ホール大会では、このバンタム級で次のタイトル挑戦を狙う新鋭同士が対戦した。赤コーナーは松本日向。『格闘代理戦争』出場で注目されるとデビュー3連勝を飾っている。欠場期間を経て、今回が復帰戦だ。

 対するは19歳の壬生狼一輝。昨年からK-1 JAPANグループに参戦している選手で、昨年11月のK-1福岡大会では元チャンピオンの晃貴に勝利している。戦績は8戦全勝。どちらも次のタイトルを狙うにふさわしいファイターだ。

 試合は小気味いい攻防が休みなく続く展開に。壬生狼は1ラウンド、右ストレートをヒットし先手を取る。レフェリーがダウンを取ってもおかしくない場面だった。

 その後もパンチで攻める壬生狼。松本もパンチを返し、そこからハイキックを繰り出したが、競り勝ったのは壬生狼だ。判定2-0。序盤の“ダウンに近いスリップ”の印象も大きかった。

 これで9連勝。壬生狼はインタビュースペースで「次はタイトルマッチかなと。もう(チャンピオンの)吉岡ビギン選手しか相手はいないでしょう」とベルト挑戦をアピールした。王座決定トーナメントは「いずれ自分とやる」と考えながら見ていたという。

 試合前の会見では「電流爆破に比べたら、松本なんか楽勝じゃ!」と、なぜか大仁田厚オマージュのマイクアピールを展開。試合後には大仁田本人からも反応があるなど話題になった。

 あらためて話を聞くと「子供の頃からプロレスファン。家がGAORAに入っていてドラゴンゲートからプロレスが好きになりました」とのこと。今回の試合に向けては「お楽しみはこれからだ!」(ハヤブサ)、「相手がワルツを踊れば自分もワルツを踊る」(ニック・ボック・ウィンクル)と往年の名レスラーの台詞もコピー。もちろんリアルタイム世代ではないものの、プロレス名言集を読み込んでいるらしい。

 そんな“プヲタ格闘家”壬生狼の芯の部分にはストイックさがある。福岡出身だが現在は静岡在住、所属も力道場静岡だ。その理由も語ってもらった。

「高校を卒業する時に、キックボクシングをやめて仕事に専念するか、それともキックを続けるか考えて。親や先輩の石井一成くんにも相談して、一気に環境を変えることにしました。地元にいるよりも1人でやってみようと。飢えと孤独を味わったほうが強くなれるだろうっていう理由ですね」

 実際、地元を離れて「ハングリー精神が芽生えました」と壬生狼。ファイターとして、常に「負けたら終わり」という気持ちでやってきたという。そして無敗のままベルトに“王手”と言える段階に。タイトルマッチが決まれば、パフォーマンスだけでなく“地力”の面でも注目度はさらに上がりそうだ。

文/橋本宗洋

Krush 2021 - 1.23 - 第6試合 バンタム級 松本 日向 vs 壬生狼 一輝 | 無料で動画&見逃し配信を見るなら【ABEMAビデオ】
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