ストライカー同士の壮絶な打撃戦が展開され、殴っても殴っても一向に倒れない…。くわえてレフェリーも止めてくれない…。解説を務めた現役ファイターが思わず「見ていてしんどかった…」と漏らした凄惨な光景に、ネットからも「ゾンビみたいだ…」「本能で戦ってる」「根性がすごい」など驚嘆の言葉が殺到した。
1月29日に放送されたONE Championship「ONE: UNBREAKABLE II」でチェン・ルイ(中国)とクォン・ウォンイル(韓国)が対戦。クォンの怒涛のラッシュをまともに貰い、顔を血まみれにしながらも、倒れずに真正面から打ち合うチェン。タフだが見ていて心配になる程の打たれ強さに、視聴者から「本能で戦ってる」「全部当たってる」「ゾンビみたいだ…」など驚きのコメントが寄せられた。
テコンドーベースのクォンは、人気漫画『ドラゴンボール』を見て格闘技を始めたというチェンと共に20代半ばの同世代。さらに打撃を得意とした“打ち合い上等”のファイト・スタイルなど、二人の共通点は多い。
そんな両者の試合は1ラウンドから期待を裏切らないバチバチの殴り合いで幕を開けると、”バシッ、バシッ”と両者のパンチの音が鳴り響くスタンドでの攻防が続いた。
中盤、クォンが組みへのトライによってテイクダウンに成功。肩固めに決め手を欠いたが、強烈なパウンドでチェンを一方的に殴る。いや、殴り続ける。トップポジションから1分以上殴り続けたクォンだったが、チェンの信じがたいタフネス、そして一向に止める気配のないレフェリーの様子見も相まって、息苦しいほどの第1ラウンドを終えた。
2ラウンドに入っても、再び激しい打撃戦が展開される。クォンのパンチが冴えるが、チェンもフックをまとめつつ、ボディと顔への打ち分けで反撃に出る。クォンの猛打によりチェンの足が止まるシーンも見られたが、その度にフラフラになりながらも打ち返すチェン。一方的に被弾するも、戦意喪失の様子が見られないため、レフェリーもなかなかストップに踏み切れない状態が続く。
そんな様子に視聴者からは「もう倒れるだろこれ」「タフだけど無理だな」という声もチラホラ。さらに勢いづくクォンは、バックブロー気味のヒジでチェンのアゴを捉える決定的な場面を演出したが、それでもチェンは倒れない。
これにはABEMAで解説を務めた西達彦アナウンサーも「ちょっと心配になるダメージだ。チェン・ルイ頑張ってるけれど心配ですね…」とポツリ。そんな周囲の心配をよそに、クォンの強打を貰い続けたチェンはふらつきながらも“試合続行可能”をアピール。すると次第に、「根性が凄い」「本能で戦ってる」「チャイニーズ・ゾンビ」「ゾンビ頑張れ」など、チェンに対する声援の声が多くなっていく。
精も根も尽きたような表情を浮かべながらも、必ずフックやアッパーを返すチェンのファイティングスピリットに解説の大沢ケンジは「すごい」と絶叫しながらも、「レフェリーが倒れるまで止められなくなっている」と、倒れずに反撃の意思を示すチェンの扱いに困っているレフェリーの心理を代弁した。
3ラウンドのゴング前、死闘を繰り広げてきた二人だからこその珍しいシーン。グローブを合わせ、互いの健闘を讃えるようにハグを交わしてからファイト。直後に右ストレート、左ハイを打ち込むクォン、潜るような左右のフックをチェンが返すと、渾身の左ボディをねじ込むクォン。再びパンチを返したチェンだが、さすがに足が止まると、何度目かのボディショットにヒザを着いた瞬間、レフェリーがすかさず割って入って試合を止めた。
勝負後、KO勝利を収めたクォンが力尽きたようにリングに大の字に倒れ込む姿も印象的だったが、試合後、血まみれの顔でにこやかに勝者を祝福するチェンの姿も強烈なインパクトを残した。そんな様子に視聴者からは「勝った方が疲れてる」「チェン、笑ってるよ。ゾンビだわ…」「何で嬉しそうなんだよ」などの声が寄せられたが、この死闘を見届けたゲスト解説の高橋遼伍は「見ていてしんどかったですね(苦笑)」とファイター視点の本音を漏らしていた。
(C)ONE Championship