「国庫から支出された内閣官房報償費は5億円、そのうち政策推進費は約3億6000万円となっている」。先週、加藤官房長官が会見で明かしたのは、菅政権発足からおよそ4カ月半の間に使われた「内閣官房報酬費」、いわゆる“官房機密費”の支出だ。
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第2次安倍政権下では約95億4000万円が支出されているが、使途についての詳細な報告義務はなく、加藤官房長官も「明らかにすることは適当でない。国民の不信を招くことがないよう引き続き適正な執行を図っていく」と説明。今後も「政策に関する事務の遂行に支障を生じる恐れがある」として、今後も政府は詳細を明らかにしない方針だ。
官房機密費には、「政策推進費」のほかに「調査情報対策費」「活動関係費」という分類があるようだが、このこと自体、「政治資金オンブズマン」共同代表で神戸学院大学の上脇博之教授らが訴訟を起こすまでは「ブラックボックスでわからなかった。政策推進費が大体9割を占めるとされているが、これも私たちの訴訟でわかった数字だ」という。
「ジャーナリストの取材などによれば、ある程度は有益に使われていると言われている。しかし領収書も非公開なので、例えば本を買っていた場合、そのタイトルはもちろん、どこの書店で買ったのかも秘密だ。後になっても秘密だと言われる。過去に違法な支出をしていた疑惑もあるし、税金である以上、本当に必要な支出だったと国民が納得できるよう、説明する責任が政府にはある。消費税を導入するかどうかが大きな議論になった時には国会対策に使われたという話もある。政党同士の協議の中で、お金で妥協が買われたとすれば、それは国民を裏切る行為だし、民主主義社会においては許されないはずだ」。
国会では共産党の小池書記局長が「(去年)9月1日から16日までに差額4820万円が使われたことになる。総裁選に全力を集中していた時に、あなた(総理)は官房機密費を何に使ったのか。総裁選のために使ったと言われても仕方がないのではないか」と指摘。菅総理大臣が「そのようなことは一切ない」と答える場面もあった。
「外交に関係するような、今は明かせないものだったとしても、“将来は公開します”と言っておけばいいはずだ。せめて後から追及できる仕組みがあれば、“こんなことはやってはまずい。後からバレたら大変なことになるよ”という歯止めにもなる。国会議員や官僚、あるいはマスコミ、評論家にはお金を配らないというルールを作った上で、機密に応じ、これは1年、3年、5年などと細かく決めればいい。“将来は明らかにするので、これは数年間だけ秘密にさせてくれ。期限が来た時に問題があれば批判してください”というような度量を持ってやって欲しい」(上脇教授)。
ジャーナリストの堀潤氏は「国家には保持しなければならない機密もある。でも国民には政策について知る権利があるし、国家にはその説明責任があるというのが、国際社会で常識になっている“ツワネ原則”だ。その上で、日本には情報公開に関して期限の取り決めがない。しかも大切な情報を破棄したり燃やしたり隠したり改ざんしたりという、戦時中にも行われた悪い癖がある」と指摘。
その上で「フランスやドイツ、アメリカなどでは20年、30年、50年と期限を設けることなどにより、機密も守りながら国民のアクセス権も保障している。民主党政権時代には、当時の枝野官房長官が“具体的なことは申し上げられないが、震災発生以降、官房機密費等の使途についても、この震災にどうやって被災者の皆さんを支援するかということの観点で、まさに効果的に使わせていただいているというだけは申し上げたいと思っている”“私が官房長官をある程度の期間務めさせていただければそうした、どういった基準でどういったやり方をするかということをお示しできるというふうに思っている”という答弁を行っている。しかしその後、この問題が大きく前進したことはなかったし、自民党政権になってからもそれは変わらなかった。政治家にはできないというのが現状ではないか」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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