いま格闘界を席巻するダゲスタン共和国出身で、“ダゲスタン・マシーン”の異名を持つヘビー級選手が登場。視聴者の期待が膨らむなか、意外すぎる“嫌倒れ”敗戦にネットが騒然となった。
ONE Championshipシンガポール大会「ONE: UNBREAKABLE II」でマウロ・チリリ(イタリア)とアブルバシール・バガボフ(ロシア)のヘビー級対決が実現。チリリが2ラウンド開始間際にローキックで崩し、パウンドの連打で勝利。最強民族・ダゲスタンとしては予想だにしない衝撃敗戦に「打たれ弱すぎる…」と落胆の声が広がった。
世界の格闘界を席巻しているダゲスタン共和国。引退を発表したUFCの最強王者・ハビブ・ヌルマゴメドフを筆頭に、ONEでもアラヴァディ・ラマザノフ、ジャマール・ユスポフ、ザイード・フセイン・アサラナリエフ、マラット・ガフロフなどがMMA・立ち技の両部門で圧倒的な強さを発揮してきた。
そんなダゲスタン旋風のなか、新たに登場したのが“ダゲスタン・マシーン”の異名を持つバガボフだ。戦績は12勝1敗、最近に限っては10連続での1ラウンドフィニッシュという驚異の成績に視聴者からも「これは連れて来ない方がいい選手」「殺し屋の目だ」など未知の強豪に期待の声が殺到した。
対する“ハンマー”ことチリリはイタリア出身のヘビー級ファイター。ケージ・ウォリアーズの元ヘビー級王者を経てONEに参戦。王者ブランドン・ヴェラに敗れているものの、この対決を制して再びタイトル挑戦のチャンスをうかがいたいところだ。
試合は組んでテイクダウンを狙うバガボフと、下がりながら打撃で勝負したいチリリという構図。下がりながら遠距離で放つチリリのハンマーのような打撃には、一発の怖さが漂う。
サークル・ケージの周囲をグルグルとまわり組みを警戒し続けるチリリだがラウンド中盤、バカボフのタックルに捕まる場面も。ここは粘り腰で回避すると、タックル狙いと打撃狙いの両者がスリリングな攻防を繰り広げるも決定打はないままラウンドが終了した。
戦前のバガボフ優勢を受け、ABEMAで解説を務めた大沢ケンジは「意外にチリリが対応が出てきた」と指摘。ダゲスタン・マシーンの圧勝を予想していた視聴者からも「チリリはタックルを全部切ってる」「これは面白いな」「意外な展開だな」と2ラウンド以降への展開に期待が寄せられた。
しかし2ラウンド、突然、呆気ない幕切れが訪れた。開始早々、積極的に足を使いながらパンチを狙うチリリは、軽く左を2発当てバガボフをケージ際に追い込むとローキック。ハムストリングスあたりを蹴りが捉えると、バガボフがヒザを突き亀のポーズに。そのまま抵抗もなくパウンドを貰い続けると、レフェリーが試合を止めた。
蹴りが効いたというよりは“嫌倒れ”に近い弱気な崩れ方に、“ダゲスタン・マシーン”の本領発揮を期待していた視聴者からは「打たれ弱かった…」「ローで一発かよ」「そんなに効いたのか」と残念コメントが殺到。一方、チリリの左ジャブについて「ジャブの破壊力半端ねえ」といった、ヘビー級ならではのパンチ力に驚く声も聞かれた。
勝利後に恐怖と緊張感から開放されたように雄叫びを上げたチリリを見た大沢は「よかったなあオマエ…怖かったんだろう!」と未知の強豪との戦いによるプレッシャーから解放され安堵したチリリを祝福。さらに「あれは恐怖心から解放された喜びですよ」とチリリの心理状態と代弁すると、ゲスト解説の 高橋遼伍も「喜び方をみると判りますね。ワールドカップの決勝戦みたいな喜び方で。それがカワイイですね、大きいのに…」と笑顔で頷いていた。