2月3日に行われた世界テニス国別対抗戦ATPカップ、グループCのイタリア対フランスの試合で、テニス界随一ともいえる気性が激しい者同士のカードが実現。「今日は何本のラケットが犠牲になるのか…」との声が視聴者からあがるなど、試合結果だけでなく、プレー中の二人の行動にも注目が集まった。
イタリアのフォニーニ、フランスのペールは気性が激しいとされる二人だが、気持ちの変化が分かりやすく見て取れることから、ファンも多い。
試合はまず、ペールが「らしさ」を見せる。プレーの調子が上がらずミスを量産すると、1セット目の最後のゲームはほとんど全てのポイントを雑にプレーして落とし、ふてくされてベンチに戻る。2セット目が始まってもプレーは上向かず、ついにラケットを地面に叩きつけてしまった。
これを見かねたフランスチームは、次のチェンジコートのタイミングでベンチ総出となってペールを慰める事態に。ATPカップでは試合中の仲間からの激励やコーチングが許されている。個人戦であればあっさり試合が終わっていたかもしれないが、自分のためだけでなく、チームとして、フランス代表として戦っている。徐々にやる気を取り戻したペールが一気に5ゲームを連取して、試合を振り出しに戻すべく奮闘する。
しかし、この展開に心中穏やかではなかったのが、対戦相手のフォニーニだ。勝利目前から追いつかれそうになったことでいら立ちを募らせ、簡単なボールをミスしたところでラケットをコートに叩きつけた。ラケット破壊本数でも1-1で互角の勝負だ。
テニスはメンタルのスポーツとも言われるが、気持ちのアップダウンが手に取るように分かるだけにハラハラする展開に。試合は2セット目終盤の重要な局面でフォニーニがスーパーショットを決めて息を吹き返し、再び落ち着きを取り戻すと、そのままフォニーニがタイブレークも取ってストレート勝ち。チームも勝利してイタリアはグループCの1位が確定。ベスト4進出一番乗りを決めた。
試合終了後はピリピリした空気になるかと思われたが、コートを後にしながら二人で明るく談笑する姿も。相手だけでなく、自分自身との戦いを終えた二人同士にしか分からない通じるものがあったのかもしれない。